「21世紀最大の難問」――『ナショナリズム入門』(植村和秀)他

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『ナショナリズム入門』(講談社現代新書)/植村和秀

 

数学の図形問題。「複雑怪奇!絶対解けない!」とあきらめていても、補助線を一本引くだけで、解けてしまうことがある。

 

今回、紹介する『ナショナリズム入門』では、21世紀の最大の難問「ナショナリズム」を扱っている。「ナショナリズム」を「『ネイション』への肯定的なこだわり」と定義し、ネイションとは何か、を考察する。ここで「ネイション」と表記することが、ナショナリズムを解き明かす補助線になっている。

 

ネイションとは、国家や国民、民族と日本語で翻訳される。しかし、日本は国家と民族とが一致している、世界的にも珍しいネーションだ。(アイヌや沖縄という例外はある)。なので、多くの日本人にとっては、「ネイション」の感覚の理解が難しい。「国家」「国民」「民族」という日本語を当てはめると、どうしても、日本の事例に即した意味合いを持ってしまう。そこで、「ネイション」と言葉をそのまま使用することで、日本の感覚を一度離して、ナショナリズムについてより理解を深めることができる。

 

第一章の「ネーションの作り方」では、フリードリヒ・マイネッケのネイション論に基づき、ネイションをつくるためのハウツーが述べられている。まず、ネイションをつくるためには、土地を用意する。次に、歴史を積み重ねる。歴史の中には、文化的なものや、国家的なものを詰め込む。さらに、人々のあだでネイションへの意識と意欲を目覚めさせ、ネイションとしての認知を獲得する。巨大な人間の集合体がどのように「ネイション」になるのかが良く分かる。

 

ネイションの材料を確認した後に、日本、ドイツ、ユーゴスラヴィア、アメリカなど、具体的なネイションの分析を読むと、ナショナリズムの形がだんだんと見えてくる。「ネイション」という言葉によってひかれた補助線によって、浮かび上がってくる「ナショナリズム」の姿をぜひ確認してほしい。(評者・山本菜々子)

 

 

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