山形浩生は何を語ってきたか

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現場をどう切り取っていくか

 

荻上 山形さんが本業でやられているような調査と実践というのは、守秘義務などで公開できないものもあったりするんでしょうか。

 

山形 開発援助にかんしては、公のお金でやってるので、最終結果の守秘義務はないです。基本報告書はJICAの図書館にいって読めます。もちろんそれをやってる最中に、「次は◯◯省でこういうことをやるらしい」といったことはいえませんが、少なくともこんな方針で援助しましょうとか、この援助国ではこんな汚職が問題になっているとか、そういう話はできます。

 

荻上 であれば、ぜひ、山形さん自身による開発支援論というのも読んでみたいんですね。被災地支援もそうですけど、「ダメ支援」「ムダ支援」「イイ支援」というのはそれぞれありますから、失敗学と成功学を積み重ねていかなくてはならないと思うので。今後、そうしたお仕事をされる予定はあるのでしょうか。

 

山形 いろいろアイデアも出てくるし、依頼もいただくんだけれど、やっぱりもう少し手早くやらなければいけないですよね。以前やろうと思っていたファイナンスの入門書も、書きはじめた1990年代だったら通用したんですけれども、はっと気がつくとリーマンショックが起きて、昔は万能と思われていた株式市場の価値評価(バリュエーション)だって全然信用できないというのが露になってしまい、今だと株式市場を信頼しきった入門書ではつらい。面白いネタはその都度いろいろあっても、なんだかどんどんタイミングを逸していきます(笑)。

 

荻上 足が早すぎるタイムリーなテーマに取り組んでいるから、という感じですかね。

 

山形 他のことに手を出し過ぎているというのもあります。

 

荻上 一年経つとがらりと風景が変わってしまうテーマは、本にするのに迷うところもありますよね。ルポや報告書などの別の発表形式のほうが向いている場合も。タイムリーなエッセイになるか、数十年スパンの本に偏ってしまって、5年、10年単位の本が出にくい事情もあるのかもしれない。忙しい人は書けない、書く暇があるやつは現場を知らないといった非対称性を埋めるというのはなかなか難しいのかなという気がします。

 

山形 そうですね。その点は『ヤバい経済学』みたいに、ジャーナリストと学者の組み合わせみたいなものが、もっと上手く機能するようになるといいのかもしれませんね。『貧乏人の経済学』もそれに近いけど、そういう成果をもっともっと読みたいな、と思っています。

 

 

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(2012年2月6日丸の内にて収録)

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.267 

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