韓国における対人地雷被害問題――終わらざる冷戦に巻き込まれる人々

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地雷という兵器は、第一次~第二次世界大戦時に広く使用されてきた。人間の体重がかかると爆発する対人地雷の役割は、大きく3つある。第一に敵兵を「負傷」させることにある。あえて殺傷しない意図は、負傷兵を後退させる救護者も戦場から後退させることで戦場の戦力のバランスを自軍にとって有利にするためである。第二に負傷者の治療や後遺症のケアのために、敵国の予算を圧迫することができる。第三に地雷が埋設されている可能性がある土地への居住や耕作を不可能にさせることができる。

 

冷戦終結後、アジアやアフリカで国内紛争が頻発するようになり、政府軍、反政府軍ともに、大量の対人地雷を使用した。無秩序、無計画に埋設された対人地雷は、紛争が終結したのちですらも国内社会に潜み続け、時として民間人を殺傷している。

 

このような状況に対して行動を起こしたのが、1991年に欧米の6つのNGOによって立ち上げられた「地雷廃絶国際キャンペーン(ICBL)」である。ICBLはNGOの国際ネットワークを形成し、各国政府に対して、対人地雷の製造、貯蔵、使用を禁止する国際条約作りをはたらきかけた。ICBLはそのキャンペーンを広く浸透させるために、対人地雷の非人道性を前面に掲げ、戦闘員でもなく、女性や子どもまでもが紛争が終わった後にもかかわらず死傷していく現状をアピールした。英国の故ダイアナ妃がこの問題に関心を持ち、世界の地雷被害者を訪問する姿が広くメディアで取り上げられたことも大きなアピールとなったとされる。

 

ICBLはカナダなどのミドルパワー(中級国家)と連携し、「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約(オタワ条約)」の起草に参画した。条約は1997年にノルウェーのオスロで開かれた条約起草会議で署名され、同年ICBLはノーベル平和賞を受賞した。しかしながらこの条約にはアメリカ、ロシア、中国といった地雷を製造し輸出している国、そして60年間「休戦」状態が続く韓国と北朝鮮も、国防上の理由から地雷が必要であるとして加盟していない。

 

 

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韓国における民間人の対人地雷被害

 

民間人の対人地雷被害は、アジアやアフリカの紛争終結国、つまり日本から遠く離れた国の問題というイメージが強い。しかしながら日本の隣国である韓国は、知られざれる地雷被害者の国なのである。

ICBLが毎年刊行している報告書「ランドマインモニター(“Landmine Monitor”)」の国別レポートによると、韓国における近年の地雷事故は、以下のように報告されている。

 

 

2010年

7月、北朝鮮から流出した「木箱地雷」により、1名が死亡、1名が負傷。また1名が対人地雷で負傷。両方の事故とも京畿道にて発生。

 

2011年

7月、京畿道漣川郡で1名が掘削作業中に事故に遭遇。11月には江原道楊口郡で1名が負傷。

 

2012年

5月21日、京畿道の74歳の男性が、坡州市近郊で野草を採集していた際に、対人地雷を踏んで負傷。

10月31日、白翎島において基地建設作業に従事していた2名の兵士が対人地雷で負傷。

 

 

このように件数こそ多くはないものの、毎年のように死傷者が出ている。そして事故の多くは北朝鮮との軍事境界線の近辺において起きている。

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

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