わたしたちの自由はどうやって守られているのだろう ―― 繊細な憲法を壊さないために

法曹と法学者の違いって?

 

―― 法学だからこそのアプローチがあるわけですね。最後の質問に入る前に、お聞きしたいのですが、検事や弁護士、裁判官といった法曹と法学者ってなにが違うんですか?

 

理論と実践ですね。医者でいう研究医と臨床医のようなものです。

 

難しい理論を研究したり追求することが面白いと思う人は法学者になると思いますし、日々、クライアントの相談を聞いたり、問題を解決して喜んでくれる人がいることが生きがいだと思う人は実践する側になるのだと思います。

 

 

多数派のあなたも少数派のあなたも

 

―― なるほど、ありがとうございます。それでは、最後に高校生に向けてメッセージをお願いします。

 

そうですね、ふたつのパターンがあります。

 

まず自分は常識人であって、多数決によって行き着いた結論にほとんど疑問をもったことがないタイプの人。そういう人は、ぜひ憲法を勉強して、自分とは全然違うタイプの人も世の中にたくさんいて、そういう人とコミュニケーションをためにはどうすればいいかということを勉強してほしいと思います。

 

一方、多数決の結果に納得できないことばかりだって人もいっぱいいると思います。そう人も、やはり憲法を勉強して、自分が憲法によって守られていることに気付いてほしい。さらに、納得のいかない決定が、正統性のある決定と考えられるのはどうしてか、どういう決定なのかを考えて欲しいと思います。

 

このようにスタンスによって憲法の関わり方は変わってきますが、両方の観点から勉強できるものですから、それぞれの姿勢で憲法学を勉強してもらえたらいいなと思いますね。

 

 

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憲法学がわかる! 高校生のための3+1

 

 

とても敷居の低い法学入門です。舞台はとある丘の上の喫茶店。紅茶と掃除をこよなく愛する倉井さんがマスターを務める喫茶「赤ひげ小人」に、メニューを見たまま動かなくなっているお客さん。そこに主人公がやってきて……。と、こんな感じの出だしです。

 

 

 

憲法は、多数決の限界を定めています。そもそも多数決とはなんなのか? なぜ多数決に従わなくてはならないのか? そんな根本的な問題から考え、憲法9条の意義について考えます。平和と非武装のどちらが大事か? という視点から考える9条論は新鮮です。

 

 

 

長尾先生は、日本を代表する法哲学者。憲法学者とは違った視点で、ズバズバ憲法問題に切り込みます。終戦直後、日本人はマッカーサー氏にどんな手紙を送ったのか? 日本憲法学にどんな批判があるのか? 衝撃的な内容が続きます。

 

 

 

インタビュー後半は、法的視点を実践に役立てる具体例として「違法PTA」の話をしていますが、PTAにまつわる諸々を考える出発点になるのがこの本です。高校生の皆様にとって、近くて遠い組織のPTA。ぜひ、この本を手に取り、PTAいかにあるべきか、考えてみてください。

 

(2013年5月27日 木村草太先生研究室にて)

 

★高校生のための教養入門コーナー記事一覧

https://synodos.jp/intro

 

★ジレンマ+:木村草太×浅羽祐樹トーク(全4回)

http://dilemmaplus.nhk-book.co.jp/talk/4582

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.276 

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・三谷はるよ「市民活動をめぐる“3つの事実”――「ボランティア」とは誰なのか?」
・五十嵐泰正「『上野新論』――「都市の時代」が危機を迎えたなかで」
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