ハードウェアはゴミである――「IoT」(モノのインターネット )が生み出す未来

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「IoT」(Internet of Things)あるいは「モノのインターネット」という言葉が、ネットやビジネス誌の見出しを飾ることが増えてきた。スマートフォンや各種センサー、家電、自動車など、あらゆるモノがつながりあい、相互に通信を行うIoTによって巨大なビジネスの市場が生まれるといわれている。

 

IoTの市場においてカギを握るのが、アップルとグーグルという巨大プラットフォーム企業だ。彼らは、IoTによって何を実現しようとしているのか? 私たちの生活や社会はどう変化していくのか? 『アップル、グーグルが神になる日』の著者、上原昭宏氏にうかがった。(聞き手・構成/山路達也)

 

 

昔から提唱されてきたIoTが、なぜ今注目されるのか?

 

――『アップル、グーグルが神になる日 ハードウェアはなぜゴミなのか?』とはなんだか過激なタイトルですね。

 

タイトルは釣りです(笑)。最近、雑誌やネットで「モノのインターネット」とか「IoT」(Internet of Things)といった言葉が話題になってきています。このIoTが私たちの生活やビジネスをどう変えていくのか、妄想を膨らませたのがこの本です。

 

 

――IoTとは、いったい何なのでしょうか?

 

これまでのインターネットは、ウェブサイトを見たりメールを送ったりというように、人間同士あるいは人間とコンピュータが情報をやりとりするために使われていました。ところが今では、パソコンや携帯電話だけでなく、さまざまな機器をインターネットに接続できるようになってきています。ネットに接続できるテレビなどの家電や、フィットネス用の活動量計が販売されていますし、産業分野でもネット経由で機械を遠隔監視することが当たり前になってきました。

 

さらに、こうした機器を人間が操作するのではなく、機器同士が通信しあって自律的に動作することもできるようになってきたんです。このようにモノ同士がつながって通信することを「IoT」と呼んでいます。

 

 

――でも、ちょっと前にも「ユビキタスコンピューティング」といった言葉が流行ったことがありますよね。いったいIoTと何が違うんでしょうか?

 

同じようなものでしょう。機器同士を接続して自律的に動作させるというのは、エンジニアからすればごく自然な発想です。ただ、こうしたコンセプトが今までは実現できなかった。その理由の1つは、無線通信の技術が未発達だったからです。

 

 

――今では携帯電話網が世界中を覆っているので、これを通じてあらゆる機器がインターネットにつながるということですか?

 

いえ、電子機器を携帯電話網に直接つなげるのは無理があります。家庭やオフィス内に設置する機器ならWi-Fiを経由してインターネットに接続できますが、携帯する小型機器だとそうもいきません。携帯電話網に直接つなげようとすれば機器ごとに電話番号を割り振る必要がありますし、小型の機器ではバッテリーも保たないでしょう。そこで登場してきたのが、「Bluetooth Low Energy」(BLE)という規格なんです。

 

 

IoTを実現するためのラストピース「BLE」

 

――私はスマフォに入れた音楽を聴くのに、ワイヤレスヘッドフォンを使っていますけど、「Bluetooth」と書いてありますね。

 

そうです。Bluetoothは、パソコンや携帯電話と周辺機器をワイヤレスで接続するために作られた規格で、ハンズフリー通話用のヘッドセットやヘッドフォン、またマウスやキーボードでもよく使われていますね。

 

こうした従来の「クラシックBluetooth」に加えて、Bluetooth規格のバージョン4.0から「Bluetooth Low Energy」という仕様が取り込まれました。BLEはクラシックBluetoothよりもはるかに消費電力が少なく、スマフォと機器を常時接続していても大してバッテリーを食いません。というと大したことがないように聞こえますが、これがきわめて重要なんです。

 

スマフォと連携するフィットネス用の活動量計や体重計、自撮り棒などの機器もBLEを使っています。またBLEによって、ユーザーがスマフォを操作することなく、スマフォと機器の間で勝手に処理が行えるようになりました。BLEが登場したことで、IoTに必要な技術要素が揃った。BLEこそがラストピースなのです。

 

 

――IoTというのは、スマフォといろいろな機器がBLEでつながることなんですか?

 

それも1つの側面ではあるのでしょうが、IoTにはもっと大きな可能性があります。機器同士が自律的に動作することで、人間にとって「よきに計らってくれる」ようになるでしょう。今はスマフォやBLE機器によって、人間の状態も機械からリアルタイムに把握できるようになりました。ユーザーの体調を元に、室内の空調を適切に調節したり、気分に応じた音楽を流すといったこともできるわけです。

 

 

――ときどきニュースなどで「未来の住宅」が紹介されていたりしますが、そういうものがようやく実現するわけですね。ワクワクします。

 

いわゆるホームオートメーションは、一般消費者向けのIoT市場で目玉になるかもしれませんね。これまでにも住宅メーカーなどはホームオートメーション機能を備えた住宅やマンションを実現しようとしてきました。

 

よく例としてあげられるのは、ユーザーの乗った自動車が自宅に向かうと、帰宅時間に合わせて自宅の室温を調整するといったことです。ほかにも、人のいるところだけ空調をオンにする、外出時には自動的に施錠して照明を落とす、ペットの給餌や乳幼児の見守りを行うといったことが考えられます。でも、どうしてホームオートメーションが普及しなかったと思いますか?【次ページにつづく】

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.268 

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