あなたの盲点がここにある

鵜呑みにできない

 

―― 就活の話にも触れていますね。ずばっと、いってくれたなとおもう人も多いんじゃないかなと。

 

嬉しいな。そうおもってもらえれば。友達を見ていると、70社も80社もエントリーシートを出すでしょ。そして、そのほとんどからダメ出しされるわけです。そんなにダメ出しされたら、人間落ち込みますよ。自分は社会で通用しないんだ、無能な人間だと際限なく言われているようなものじゃないですか。

 

就職活動をするせいで、勉強も充分できません。その難関をくぐりぬけて就職できても、学生時代にしっかり勉強できていないから、会社で教えられる仕事以外のことをできなくなっちゃうわけです。自分の時間が全部仕事に割かれて、プライベートも確保できない状態でしょ。そこまで尽くしたからといって、会社の業績が悪化すれば、義理人情で残してくれるわけでもない。そんな会社になんですべてを投入しないといけないのか。会社に洗脳されて、人生のほとんどを台無しにしているように見えます。もったいないですよね。

 

大学の4年間で勉強を充分にして、その後、仕事について考える時間をつくるというのが理想だとおもいます。安倍首相は4年生の4月から就活を開始するといっているんだけど、それでも早いとおもいます。例えば、卒業したら6カ月間は新卒の人達に生活の保障をして、その間にみんなが仕事をじっくり捜すような取り組みをやったらどうかな。でも、空白期間があることが日本では嫌われるんでしょ。それがおかしくてしょうがない。

 

みんな考える間もなく、どんどんベルトコンベアーにのせられて行く感じがします。日本は少子化で若者が少なくなっているんだから、数少ない若者の生活の質がよりよくなるように国も力を入れてやらないといけないとおもうんです。

 

 

―― アブディンさんの本を読んでも、お話をしてみても、社会の通説を鵜呑みにせずになんでも一から考え直そうとしている姿勢があるなとおもいました。

 

そうですね。鵜呑みにできたら楽なんですけどね(笑)。

 

 

―― これからやりたい事はありますか。

 

沢山あります。まずは論文を出したあとに、ぼくがおかしいとおもっている社会問題について、やわらかく書いていきたいです。

 

それから、紛争で亡くなった同級生についての物語を書きたいですね。あの時、ぼくも目が見えていたら、戦地に行っていたかもしれません。「行かなければ男じゃない」といった雰囲気があったんですよ。みんな、その雰囲気にのせられてしまいました。戦場がどんなに激しくこわいものか想像できない。しかも、10代でイケイケの時期だから、ちょっとした冒険みたいに行ってしまったんですよ……。

 

この話はスーダンだけでなく、普遍的な話です。日本だって過去に国のために戦った人達がたくさんいたわけです。でも、本心では何をおもっていたのか。亡くなった友達の家族や友人にインタビューしながら、彼らの気持ちを代弁して書きたいんです。

 

また、NPOも時間がある限りやっていきたいです。自分でできることと人が集まってできる事は違うので、周りも巻き込んでいけたらいいなと思います。本来、こういうことは国家の仕事だとおもいますが、取りこぼされている子ども達がいるからには、対処していくしかないですよね。

 

 

―― 最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

 

騙されたとおもってちょっと本屋で立ち読みして頂けたらなとおもいます。自分のイメージを覆す、新たな視点というのかな、「盲想」だから盲点と言えばいいのか、あなたの人生にプラスになる材料があるとおもいます。立ち読みして、その勢いで買ってくだされば、ぼくには印税が入ってくるんで(笑)。ぜひ、読んでみてくださいね。

 

 

 

1 2 3
シノドス国際社会動向研究所

vol.276 

・橋本努「新型コロナウイルスとナッジ政策」
・三谷はるよ「市民活動をめぐる“3つの事実”――「ボランティア」とは誰なのか?」
・五十嵐泰正「『上野新論』――「都市の時代」が危機を迎えたなかで」
・倉橋耕平「メディア論の問いを磨く――言論を読み解く視座として」
・山田剛士「搾取される研究者たち」
・平井和也「コロナ情勢下における香港と台湾に対する中国の圧力」