橋下徹大阪市長「性風俗業と従軍慰安婦問題」についての発言【3】(2013年5月16日)

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―― さきほど、番組でもおっしゃられていましたけど、やはり、海外出身の方からの指摘というのが、この間の思い直しということには、影響は大きかったんでしょうか?

 

そうでしょうね。アメリカ、欧米の人たちの価値観、感覚っていうところの意見で、なるほどね、やっぱり日本の中だけにいると、ちょっとその感覚っていうものは、僕は国際感覚はなかったんでしょうね。ただ趣旨としては、僕は何か撤回するとか、そういう風には思っていなくて、言い方とか、価値観の理解とか、そういうところをしっかり踏まえた上で、取れる方策についてしっかり考えてください。日本ではこういうことがあるけれども、でもそうなった場合には、アメリカの方から、「いや、それは無理ですよ」と「自分たちの価値観から言えば、それは無理だ」って言われれば、ま、それで、そうですかと。

 

それは、「こーだ」「あーだ」「ピューリタニズムの考えから、買春はダメなんだ」って言えば、「いや、買春、売春じゃなくても」って話をすれば、「いや、それもダメだ」っていうような話になれば、そういうことでいろいろ議論すればいいと思います。ただ、最初の提案といいますか、そういう話の中で、選択肢、いくつか出していく中での一つというよりも、そこだけが、ぼんと強調したような言い方になったっていうことは、日本と国の違う、また価値観、そういういろんなところの考え方の違う他国に対しての話の仕方としては不適切だったのかもわかりませんね。

 

 

―― 慰安婦制度について確認したいんですけれども、市長は要は太平洋戦争当時の慰安婦制度については、13日午前の段階から一貫して「容認はしていない」と、それを「容認している」と伝えられたのはメディアの報じ方が間違っていると。そういう認識で、間違い、変わりはない?

 

そうです。

 

 

―― 参院選の憲法問題質問なんですけど、自民党のほうが最近、幹部クラスが憲法改正は論点・争点にならないのではないかと発言されていて、国民の機運が高まっていないということを言っているのですが。代表はこれまでむしろ、機運は高まっていると。自民党の動きをどうみられている。

 

選挙を意識しているんでしょうね。だから選挙で勝つことが目的になっているんでしょう。維新の会の場合には、ありがたいことにみんな、ありがたいことにというかメンバーみんないろいろ思いあると思いますよ。なんでこんな時期にあんな発言するんだって思いもあると思いますけど、非常に建設的な意見が多くてですね。選挙で負けるから、選挙に影響するからなんとかしろって意見はいまのところ維新の中からはでてきていません。

 

ただ建設的な意見はいっぱいでてきています。文化の違い価値観の違い、話し方だったりとかそういうところで。まあ言わんとしている論点については、多くのメンバーが理解してくれているところでもありますのでね。そこは非常にありがたいことですし、選挙で勝つことだけを意識して、選挙の影響で発言をこうしろああしろってことは維新の会にはないですけども。

 

自民党の方は、あれだけ憲法改正が???(聞き取れず)だと、憲法改正のために自民党を作ったのだと言っておきながら、結局選挙ですか、と。選挙で勝つことが目的なんですかと。これだったら財政再建だとかそういうところもまったく期待できないんじゃないですかね。参議院選挙で自公過半数になれば、財政再建派遠ざかってしまって、おそらく国民の嫌がることは何もできないと思いますね。次の選挙のことも考えるんでしょうね。

 

憲法改正もできなくなっていくんじゃないですか。憲法改正については賛否両論ありますから、いろいろやったらいいと思いますよ。毎日朝日がアサインだしてどんどん出してくれればいいと思いますけれども、もしやらなくてはいけないという思いが政治家にあるのであれば、選挙がどうであれそこは訴えて改正できるように、民主主義のルールで議席を得ていくのが政治家の役割だと思います。

 

 

―― ???(聞き取れず)自民党が引っ込めた以上、維新が憲法改正を主張していくことは、自民党との違いを明確にできるポイントになるのでしょうか。

 

ただ参議院で3分の2って自民党が、もし衆議院で3分の2協力してくれないってことになればなにもできないですからね。そのあたりについては、どこに、演説なんて時間限られていますから、どこに重きを置くかってのは選対で考えるんでしょうけど、しかし選挙に勝つ負けるということで、憲法改正の主張を引っ込めるなんて、情けないことは僕はできないですね。あの演説でどこに重きを置くかはその場その場で変えていきますけども、憲法改正で必要なのは選挙で勝つ負けるではなくて、これは日本で必要だと思っていますね。

 

まあだから従軍慰安婦の問題についても、強制連行の有無、やっぱりいまもクルマの中で考えていたんですけれどもね、強制連行の有無、これはやっぱりね、僕はずーっと、ここを曖昧にしていることは大問題だっていう風に、ずーっと言い続けてきましたけどもね。やっぱり日本的な態度、振る舞い、ここがやっぱり一番問題だと思いますよ。国内においてとかね、当事者に対して、慰安婦の方に対して、責任を認めるとか、謝罪をするっていうこと、そのことを考えればね、そのことだけを考えればね、強制連行の有無なんてことは関係ないんです。強制連行があろうとなかろうと、軍が関与をしていて、兵士の相手をさせられていた。そういう状況にあったということであれば、それは恥ずべきことだし、やっちゃいけないこと、それは強制連行の有無関係なくね。慰安婦の方に対しては、そういう態度でいいんですけれども。

 

やっぱりね、この問題については、国際的にどう見られるかっていう、その視点が根本的に欠けていると思いますね。いろんな識者の人は強制連行の有無は関係ないんだと、責任さえ認めればいいんだ、謝ればいいんだと。それはそうかもわからんけど、強制連行があったということになると、一気に日本がやってた、その行為というものが、世界が見ているよりも、今回の僕の米軍に対するコミュニケーションの取り方の失敗のようにね、世界がどう見ているかっていうところから日本を見直さないと、やっぱり大失敗すると思いますよ。

 

強制連行の有無は、今、日本においてはハッキリ言って、よくわからない状況になっているから。あるんだったらある、なかったんだったらない。これをハッキリね、特に国外に対してハッキリ言わないと、これは強制連行があったという前提の中でね、性的奴隷を使っていたんだという、欧米とは違って、日本だけ特殊の制度を使っていたんだというところを見られてしまっているというところは、僕はここは違うところは違うってことをしっかり言わなきゃいけないと思ってます。ただ、強制連行があったんだったら、これは1億2000万人総懺悔をしなければいけないけどもね。それが、あったのか、なかったのか、これは曖昧にはね、この問題できないですよ、これは。

 

それは当時の河野談話発表した時には、多分、その時の政治家のメンバー、外務官僚はね、目先は韓国だけ、当事者だけを見ていたんでしょうね。世界でどう見られるかっていうような視点がぬけていたんだと思いますよ。取りあえず、目の前の当事者に対して、問題点、問題と言いますか、そういうものを解決すれば良いっていう視点だけでやったんでしょうけどもね、これが日本の外交力のなさだと思いますね。

 

目の前の当事者に謝る、あるいはきちんとお詫びをする、そこにいたわりの言葉をかける、これは当たり前ですけれども、それは強制連行があったかなかったかということで、その当事者に対するお詫びの話は別にね、世界からどう見られるかっていう視点が日本には決定的に欠けていたんでしょうね。ですから、僕は河野談話の問題、それから2007年の閣議決定、ここでもう強制連行の有無は曖昧になっているんでね、ここはハッキリ決着をつけなきゃいけないと思ってますね。軍の管理はあったことは間違いないですし、慰安婦の移送とか、募集に関して、特に移送に関して軍も関与していたんでしょう。募集に関しては民間の業者がやっていた、ま、民間業者に頼んでいた、軍が頼んでいたという事実もあるんでしょう。

 

しかし、そういうことを超えてね、強制連行をしてきて、無理矢理そこに連れてきて、あの甘言とかそういうことではなくて、それを超えて、無理矢理連れてきて、無理矢理やらせていたっていうようなね、そういうことが本当にあったのかどうなのかっていうのは、当事者にお詫びをするとか、日本の責任を認めるっていうことを超えて、世界からどう評価されるかっていうことに非常に影響するんでね、僕はこれは政府は逃げちゃいけないと思いますね。あったんだったら、あった。なかったら、なかった。しっかりとこれをハッキリと明確化することがね、日韓関係を最終的に解決することだと思ってます。

 

 

―― ???(聞き取れず)いわゆる、証拠は、なかったことを証明することは極めて難しい、証拠も見つけることよりも、証拠がないことを証明することの方が難しい。いつまでも、どこかにあんじゃないかという風に曖昧になるということはないですか?

 

いや、ですから、今回閣議決定で新しい証拠が出てくる可能性があるっていう、そういう予防線を張ったのかもわかりません。ただね、直接証拠っていうのは、ヒアリング、あの文献だけじゃなくてね、その慰安婦の方のヒアリングをやりながら、それと客観的な証拠を付き合わせながらね、直接証拠ってのは出て来るんですよ。

 

だから、ヒアリングやってるんでしょ、政府は。で、やってる中で、それでもなお、大議論が巻き起こっているじゃないですか。強制連行はあった、なかったって大議論が巻き起こっている。これはあったか、なかったか、決着つくようにね、とことんまできちんとやったらいいんですよ。だからヒアリングをやって、そのヒアリングの中でね、他の物的な証拠がなくても、そのヒアリングの整合性っていうものを、これは裁判でもそうですけれども、複数の証言っていうものをつなぎあわせてね、照合しながらね、物証がなくたって証言だけで事実を認めるっていうのは、これは裁判の世界でもやるわけですよ。物証がなくたって証言だけでなんとか、自白だけではダメですけれども、第三者の証言とか、そういうものを入れながらね、事実を認めるやり方っていうのはあるわけですから。だから今、証拠がなくても、その証言とかそういうものをきちんとつぶさに見てね、事実を認定するっていう作業は必要だと思いますよ。逃げてますよ、政府は。

 

で、それでもやっぱり、今、議論があるっていうのは、証言がやっぱり信憑性がなかったり、強制連行の事実っていうものが出てこなかったり、そういう証言が多いから、これは反対論の人たちから言えば、強制連行はなかったっていう風になってるわけでしょ。政府がとことんまで力を入れて、証言をつぶさに見て、ハッキリ政府の責任で、そりゃ批判が出るかもわかりませんけどね、強制連行があったのか、なかったのかっていうことはハッキリ示したらいいと思いますよ。

 

ただ、間違っちゃいけないのは、一部の政治家、一部の論者が言うように、強制連行がなかったからといって責任が全部回避されるっていう問題じゃないんでね。そこがごっちゃになっているんですよ。強制連行がなかったっていう話になると、慰安婦そのものを否定したっていう話につながるから。そうじゃないですよと。慰安婦については、これは日本持ったし、それは活用したし、それはやっちゃいけないことだし、これからは二度と繰り返さない。そういう話をしながらね、そこはしっかり認めながら、強制連行があったかどうかは、じゃあこれは世界から特別に非難を受ける性的奴隷なのかどうなのかっていうところは、確認させてくださいっていうような話をすればね、僕は周辺諸国にも理解を得られるという風にも思いますけどもね。だから強制連行の有無っていうものが責任回避の議論にどうしてもつながってきた、そういう政治家の発信があったから、周辺諸国は誤解をされていると思うんで、これは日本の責任でもありますけれども、そうじゃないってことは、今回の件でそれはスタートになりますけど、いろんなところから問い合わせがあれば、それは地道にやっていきたいですね。

 

慰安婦の問題、これを正当化するつもりもないし、責任回避するつもりもないし、強制連行がなかったからと言って日本は別に間違ったことをやっちゃいない、そんことは言うつもりはないけれども、やっぱり強制連行の有無っていうものは、世界的な視点での評価からすれば、性的奴隷に関わる問題だから、ここはきちんと確認させてくださいと。強制連行がなければないで、あの、なかったとしても、きちっと責任は認めるっていうような話をしていきながら、僕は強制連行の有無は、政府は責任をもってね、確定すべきだと思いますね。それはね。

 

だから、こういう風に曖昧になって、いつまでたってもいろんな議論が噴出して、そして他国に対していろんな誤解を与えてしまうので。これはやっぱり、強制連行の有無、これはあったのか、なかったのか、あったんだったら総懺悔しなきゃいけないし、なかったらないでしっかりそのことは世界に言わなきゃいけない。でも、なかったからと言って慰安婦問題っていうものを正当化するつもりはないですよってことも、きちんと周辺国の方に伝えてですね、これは決着を図らなきゃいけないと思いますね。やっぱり政治のね、曖昧さ、これはもう政治行政の、官僚の曖昧さっていうか、そういうところが一番出てきてしまって日韓関係こじれてしまってるんじゃないでしょうかね。

 

 

―― それを個人の考えから、政党の考えにしていくっていう可能性はあるんでしょうか?

 

これは僕はだから維新の会で、今回の発言の、その真意といいますか趣旨っていうものを維新の会にしっかり伝えて、僕は強制連行の有無について疑問を持っているメンバー、維新の会に非常に多いと思いますけども、しかし、強制連行がなかったから、手を挙げて日本は何も問題ないんだ、それは違いますよっていうことは、党内でしっかり議論進めたいと思いますね。まずはこれはやっちゃいけないことをやってしまったっていうところからスタートしながら、強制連行の有無については、これは性的奴隷にあたるかどうか、世界的な評価の問題だから、しっかりここは確定していきましょっていう、こういう理屈で党内、僕は党の見解にしていきたいと思いますけども。

 

ただ、これは党内でまだ議論していませんから、今後もしっかりやっていきたいと思いますね。あの強制連行の有無にこだわっているメンバー多いですけども、強制連行がなかったから、日本は何も謝ることはない、そういう意見ももしかしたら出てくるかもわからないから、それは違うよっていう話をしっかりしていきたいと思います。

 

 

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.267 

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