性差別野次からみる、日本一議会改革の遅れた東京都議会の問題

みんなの党が自由主義政党だということの意味

 

飯田 当然のことですが、野党間でもいろいろと距離感があると思います。

 

例えば、みんなの党が自由主義政党だという点は、今回の問題に大きな意味を持つと思うんですね。女性差別に特に注目した野次報道のあと、塩村議員に対する誹謗中傷コメントがたくさん出てきました。女性が権利を主張するというだけで左翼的な行動だと感じる人がいる――これだけで日本の保守・自由主義がまだまだ未発達であることがわかると思うんです。でも彼らがイメージするほど女性議員も一枚岩ではない。当然ながら、党によって性別に関する考え方は違いますし、各議員によっても違うと思います。

 

上田 そうですね、みんなの党が、極左でもなければ保守政党でもないことは意味があると思います。女性差別をなくしていくことは大切なんですが、いわゆる左翼的なやりかたは、問題がこじれてしまって結局どうにもならないんです。

 

みんなの党は、まず権利意識をもうちょっと高めていきたい。自由主義は「人権なくして自由なし」ということです。自分の権利に神経質な人は、人の権利にも神経質なんですよね。権利意識って利害調整に一番大切なんです。そうしたアプローチで、女性差別をなくしていきたいです。リバタリアン系女子が増えるといいですよね。

 

塩村 リバタリアン系女子(笑)。

 

 

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飯田 僕個人の要望としては経済の問題に明るく、自由主義的な、さらに望むならばハト派の女性政治家が増加することは国政・都政ともに非常に重要なことだと思います。こういう人が与党内、そして与党と切磋琢磨する野党に増えていくと政治も変わるのではないかと。与党が言っていることには全て反対という野党もいるわけですが。

 

塩村 まあ、ぶれなくていいんじゃないですかね、それはそれで。

 

飯田 お二人にはそうした姿勢とは一線を画して活動して欲しいと思います。様々な提案を与党に「飲ませる」必要がある。いまお話いただいた塩村議員が目指していることも、実現のためには与党をどう説き伏せるかがキーになるわけですよね。

 

塩村 そうですね。「反対!」か「お願いします」を繰り返していても、与党が飲んでくれるとは思えません。それに数が小さすぎても難しい。丹念に準備をして、最後の最後に飲んでもらえるような状況を作り出すことが大事だと思います。

 

上田 自民党の改革派の方々は「みんなの党がうるさいからさっさとやっちゃいましょう」って考えると思うんですよね。私たちは別にいい政策が通れば、自民党のお手柄になっても構わないと思っています。いま安倍総理が通している法律も、みんなの党発案のものは多いですよね。私たちはまっとうな経済原則と調査に基づいた提案をしていますから、きっと自民党さんも乗りやすいんじゃないかと思います。

 

塩村 あとは数ですね。このバランスの悪さだとなかなか話を聞いてもらえないから。

 

上田 でも今回の騒動で変わっていくと思いますし、変えていかないといけないと思いますよ。

 

飯田 それこそ、これから東京オリンピック・パラリンピックに向けて巨大な金が動くわけですよね。これまでの隠ぺい体質でうやむやのまま進めていくか、効率的なインフラ整備を行うことができるかは、東京の30年後を決めることになるんだと思います。

 

上田 まさに「みんなの日本2050」ですね。

 

飯田 東京都のGDPは韓国、メキシコと同じくらい。人口もベルギーとほとんど一緒の、けっこうな「大国」なんですよね。動物愛護、いじめ、首都圏の保育園待機児童問題、レイシスト、いろいろな問題がある中で、経済界が動くと、自民党もすぐ動いてくれるように思います。自由主義を掲げているみんなの党らしいご活躍を今後も期待しています。また改めてゆっくりお話させてください。今日はお忙しいところ本当にありがとうございました。

 

(2014年6月23日収録)

 

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

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