まず顔を洗うべし!――最新・花粉症対策

いよいよ花粉症シーズンの到来! 花粉症はどのようなメカニズムで発症するの? 簡単にできる対策は? 最先端の治療法は? なにを食べればいいの? 花粉症にまつわるありとあらゆる疑問に、医師の久住英二氏と管理栄養士の成田崇信氏が答えます。TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」3月17日放送分より抄録。(構成/山本菜々子)

 

■ 荻上チキ・Session22とは

TBSラジオほか各局で平日22時〜生放送の番組。様々な形でのリスナーの皆さんとコラボレーションしながら、ポジティブな提案につなげる「ポジ出し」の精神を大事に、テーマやニュースに合わせて「探究モード」、「バトルモード」、「わいわいモード」などなど柔軟に形式を変化させながら、番組を作って行きます。あなたもぜひこのセッションに参加してください。番組ホームページはこちら → http://www.tbsradio.jp/ss954/

 

花粉症到来!

 

荻上 暖かい日が続くと、花粉症の人にとっては、むずむず、くしゅくしゅ、じゅるじゅる、涙ぽろぽろという状況であった方も多いと思います。私もその一人です。リスナーの方も花粉症の方が多いようですね。沢山メールをいただいています。

 

「私は軽い花粉症という感じです。今日は目がかゆかったです、日本では杉の花がすごいですが、花粉症って日本だけなんでしょうか。日本以外の国でも花粉症で悩む方はいらっしゃるのでしょうか。」

 

「5歳の娘が去年からこの時期になると涙目になり鼻水が出るようになりました。いわゆる花粉症は何歳ごろからなるものなのでしょうか。また、なにか医療機関で検査してもらえるのでしょうか。」

 

そこで今夜は花粉症のメカニズムとその治療、花粉症をはじめとするアレルギー治療についてお話を伺っていきます。今日のゲストは医師の久住英二さんです。よろしくお願いします。

 

久住 よろしくお願いします。

 

荻上 久住さんは花粉症ですか?

 

久住 花粉症ですよ。家の玄関を出るとき、花粉の壁を感じます。自分が花粉症であるからこそ、鼻水や目のかゆみのつらさが非常に共感できますので、一生懸命治療しようと思っています。

 

荻上 久住さんはいつごろから花粉症になられたのでしょうか。

 

久住 東京に出てきて数年たった、2001年頃からですかね。私の地元は田舎で、車のボンネットに花粉が積もって黄色く見えるほどでしたが、その頃は花粉症なんてどこの国の話だよと思っていました。しかし、東京にきて花粉症になりました。

 

荻上 東京に来ると花粉症になるとよく聞きますね。関連はあるのでしょうか。

 

久住 私の場合、花粉症と大気汚染物質の両方が悪さをしているのだと思います。一般的に「花粉症」とは言いますが、花粉だけではなく、化学物質と花粉が一緒になることで反応が起きやすくなる複合的なものだと考えています。

 

 

花粉にちょっかい

 

荻上 花粉症のメカニズムを教えてください。

 

久住 花粉症はアレルギーですが、「アレルギー」は本来無害なものに対して体が免疫反応を起こしてしまうことを指します。一言で「アレルギー」といってもいくつかの種類があります。花粉症はⅠ型アレルギーに分類されます。Ⅰ型の特徴はアレルゲンが身体に入るとすぐに反応が出ることです。

 

アレルゲンが入ってくると、肥満細胞からヒスタミンという物質が放出されます。(肥満細胞といっても肥満には関係ありません。ヒスタミンを蓄えた小袋がいっぱいつまっているので、肥満細胞というネーミングになったそうです)

 

そうすると、花粉症の場合は、鼻水が出たり、粘膜がむくんで鼻がつまったり、気管支ではぜんそくが起きる。食事アレルギーでは、ピーナッツやソバのアレルギーでは強い反応であるアナフィラキシーショックが起きて、死に至る場合もあります。

 

荻上 免疫が過剰に反応していると聞いたことがあります。

 

久住 そうですね。花粉症は免疫力が落ちているのではなく、免疫がやらなくてもいいことまでやっているため、過剰に反応している状態だと言えます。なぜ過剰な反応が起きるのかについては、詳しくはまだわかっていない部分が多いです。

 

荻上 免疫力は「つければいいもの」という印象がありますが、花粉症についてはそう単純ではないのですね。

 

久住 免疫を高めるといいますが、免疫細胞が活発になっている状態は、インフルエンザに罹ったときのような状態です。過剰に働くと、自己免疫疾患、例えばリウマチのように自分の身体を壊してしまいます。免疫は高まらなくていい、適切に働いてもらうのが一番です。人間の免疫システムは非常に強いのですが、花粉にまでちょっかいを出しているのですね。

 

 

花粉と排気ガス

 

荻上 リスナーからこんなメールが来ています。

 

「花粉症は誰でもなるのでしょうか。花粉と排気ガスが結び付くとなると聞いたことがありますけど、私にはよくわかりません。眼鏡に沢山花粉が付着しますが平気です。免疫があるのかな」

 

久住 誰でもなり得ますが、発病する方としない方がいます。体質と、環境と、様々な要素が関係するのだと思いますが、その理由について、詳しくは分かっていません。

 

荻上 「何歳ごろから花粉症になるものなのでしょうか」

 

久住 実は症状を感じ始める前の、子どもの時から反応は起きているんですね。0歳の赤ちゃんでも花粉症になる場合はなります。

 

子どもへの花粉症対策ですが、アレルギーの治療は症状のコントロールが目的です。ですから、ちょっと鼻水が出たり目がかゆいからといって薬を飲む必要はありません。もし、目の周りを掻いて赤くなっている状況や、鼻がつまって口呼吸になって、つらそうな状態でしたら、治療してあげたらいいと思います。

 

荻上 遺伝はありますか?

 

久住 やはり、親が花粉症やアレルギーがあると子どもも発病しやすいというデータがあります。

 

荻上 このような質問も来ています。「肥満や飲酒が症状を悪化させると聞いたことがあるのですが、花粉症には現代病や贅沢病の側面も存在するのでしょうか。花粉症そのものが昔からあったと記憶していますが、国民全体に蔓延しているのは近代になってからなんじゃないかな」

 

久住 そうですね。社会構造の変化によって花粉症が増えていることもあるでしょう。たとえば、都市化が進み、アスファルトに囲まれているため、花粉が吸収されづらい状態のところに人が沢山住むようになりましたし、大気汚染との複合によって発症されている方もいます。それから、ストレスを強く感じているときは炎症が強くなります。

 

荻上 こんなメールも来ています。「日本だけなんでしょうか。花粉症って」

 

久住 世界中にあります。日本の杉に反応していた場合、海外に行くことで症状が軽くなることはあるでしょう。

 

荻上 これからの社会構造の変化によって、アレルギー反応が出るか出ないかが決まってくると。

 

久住 そうですね。アレルギーの不思議な点は、沢山浴びているからといって発症するとは限らない点です。たとえば、舌下免疫療法という治療法があります。毎日、杉のエキスを舌の下にためて飲み込む。何年か続けていると、身体がスギ花粉に反応しなくなるのです。身体にアレルゲンが沢山入ると反応しなくなり、少し入ると反応するのです。

 

ですから、杉が多いところで育った人は、スギ花粉を大量に摂っているでしょう。地場の野菜などは花粉が沢山ついているでしょうから、自然に舌下免疫療法と同じような効果が得られている可能性がある。あくまで仮説ですが、花粉を多くとっているという点で、花粉症が田舎の方では問題にならない可能性があります。

 

 

kusumi

 

 

花粉症の薬

 

荻上 花粉症の薬によって相性はあるのでしょうか。

 

久住 花粉症の薬は、「抗ヒスタミン剤」といって、このヒスタミンの作用を邪魔するものです。ですから、花粉症に限らず、ダニのアレルギーや食事アレルギーなどにも効き目のある薬です。いわゆるかゆみ止めとしても使われています。

 

抗ヒスタミン剤の特徴的な副作用は眠気です。昔からある抗ヒスタミン薬はすごく眠い。実際に、市販されている睡眠改善剤の成分は抗ヒスタミン薬です。それは眠くもなるでしょうし、口もかぴかぴに乾きます。

 

最近、メインで使われるのは第二世代の抗ヒスタミン薬です。これは、ヒスタミンの働きを抑える力をなるべく残したまま眠気を出にくくした薬なんです。とはいえ、それぞれの薬によって強さや服用する回数が違いますから、ピークの時は強いものがいいとか、今年は弱い薬にするとか、細かく使い分けられたら一番いいのですが、頻回に通院することになり、現実的じゃありませんね。

 

ですから、ベースの薬をずっと飲みつつ、症状が強いときに点鼻薬などや、漢方薬を足すことで、かなり快適になるのではないでしょうか。

 

荻上 花粉症のシーズン前に薬を飲んでおくといいという話を聞きますが。

 

久住 症状がはじまる前に薬をもらいにいきました、と言う人が多いです。正月明けくらいでしょうか。でも、鼻の中をみるとすでに腫れている場合が多いですね。だんだん腫れてきて、鼻が詰まってしまう前に、最初の段階からブロックしておくと、ピーク時には楽に過ごせると思います。

 

荻上 点鼻薬はどうですか。

 

久住 点鼻薬は、副腎皮質ステロイドの入ったものが有効です。ステロイドは、アレルギー反応を抑える非常に良い薬ですが、飲み薬として飲むと骨粗鬆症や月経不順、高血圧、糖尿病などの副作用が出るため、花粉症治療として内服するには強すぎる薬です。点鼻薬は、鼻の粘膜表面にしか作用しませんから、効果は強く、かつ全身への副作用が出ませんので、非常に有効だと思いますね。

 

市販の薬で気をつけなきゃいけないのは、血管収縮薬(塩酸トラマジリン、硝酸ナファゾリン、硝酸テトラヒドラゾリン、塩酸オキシメタゾンなど)です。すぐに鼻の通りがよくなるんですが、慢性的に使っているとその薬物のある状態がノーマルになり、その薬がなくなるとすぐに鼻が詰まるようになります。ですから、点鼻薬を買う時はこの成分が入っていないものを選ぶといいと思います。

 

荻上 病院から処方される薬と、市販との処方の違いはどこでしょうか。

 

久住 最近は OTC 薬で、処方薬と同じ中身の抗アレルギー剤が販売されるようになりました。たとえばアレグラやアレジオンをお医者さんでもらっても薬局で買っても効果は一緒です。忙しくてお医者さんにかかれない方には福音だろうとおもいますね。

 

荻上 対症療法ではなく治療法を知りたい方も多いと思うのですが、舌下免疫療法以外の治療法はあるのでしょうか。

 

久住 根本的に体のアレルギー反応をなくすのは難しい。一過性に症状を抑えるのであれば、鼻の粘膜を焼くレーザー治療があります。ただし、これは粘膜が再生したらもとに戻ります。運転手さんのように、職業上の理由で眠気を催すような薬が絶対飲めないような方にとっては有効でしょう。

 

また、後鼻神経切断術という鼻の神経を切る手術もありますが、受けたことのある方は、あまり拝見しません。鼻水が出ない弊害がないとは限りませんから、まずは薬を飲んでみることが第一歩ですね。薬はやめるとすぐにもとに戻せますから。

 

荻上 薬だったら飲むのが面倒だったり、忘れる人がいるかもしれませんね。

 

久住 いやー、それが、症状のつらい人は飲み忘れる方は少ないんですよ。高血圧やコレステロールのように自覚症状のない薬は飲み忘れてしまう方が割といらっしゃるのですが、花粉症でつらい方はだいたい飲んでいます。【次ページにつづく】

 

 

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