福島で生きるための放射線知識

 「福島おうえん勉強会」は、放射線の影響が心配な小さなお子さんをお持ちのお母さんたちの疑問に応えるような勉強会を、東京でやっていこうということから始まりました。講演会などで先生方のご意見を聞いてもどうも腑に落ちないことが多い、これを消化するには小さな勉強会で悩みを打ち明けながらやればいいのではないか、と集まりを企画したのが最初になります。現地の方たちはどういうことを考えて、どういう生活をしているのか、ということを、私たち東京近辺にいる人間は学ぼうと、市井で活動を続けるお二人をお招きしました。(主催者挨拶より)

 

 

自己紹介

 

ただいまご紹介にあずかりました、郡山市で「佐藤塾」という学習塾を経営している佐藤順一といいます。それではまず、そもそもなぜ単なる塾の教師である僕がこういうふうにお話をすることになったのかという経緯を、簡単に説明させていただきます。

 

去年の3月11日に地震が起き福島第一原発が水素爆発を起こして、僕が住んでいる郡山市にも放射性物質が飛んできているというニュースが流れました。最初は情報がまったくなかったので、僕自身も非常に不安な気持ちでテレビのニュースを見たり、ツイッターで情報収集したりしながら心配していたんですが、そのときに、塾で教えている生徒たちから携帯電話やパソコンのアドレスにメールがたくさんきていたんです。

 

僕は元々物理学を専攻していて、偶然ですがγ線検出器の開発をテーマに卒業論文を書いていて、そのあと修士課程に進んだときも宇宙物理でX線望遠鏡の開発をやっていましたから、元々ある程度放射線について知識があったんです。そのことを生徒たちも知っていたので、「今の福島や郡山は大丈夫なんでしょうか?」「ここにいたら私たち危ないんですか?」「これから原発はどうなっちゃうんですか?」という質問がたくさんきていて、子供たちが非常に不安がっていることがわかったんですね。それで「これは僕が不安がっている場合じゃないな」と思って、真面目にいろいろ調べ始めたんです。

 

現状の郡山市の放射線量とか、福島第一原発がどういう構造になっていて、現在どういう状況になって、今後どう変わっていく可能性があるのか、というのを自分なりに考えながら資料を作成したりしました。それで、3月の後半に入った段階で放射線量がだんだん下がっていっているのが、グラフを取っていてわかったんですね。最初に放射性物質が飛散したときから県が発表する放射線量を毎日プロットしてグラフを作っていたんですが、その形が放射性ヨウ素の半減期のグラフと非常に似ていたんです。大体半減期のグラフの形通りに数値が減衰しているということは、最初の事故の際に放出された放射性物質が残っているだけで、これからは線量が下がっていくんじゃないか、と予想することができました。

 

 

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それで、4月初めくらいの時点では郡山市はパニック状態で、マスクをしないと外にも出られないし、放射性物質が身体に着いてしまうかもしれないからと、誰も外を歩いていないような状態だったんですが、僕は「少しでも不安を払拭してやろう」と思って、あえてマスクをせずTシャツ・ジーパン姿で自転車に乗って「そんなに最悪な事態ではないですよ」ということを近所に説明して回ったんです。僕の塾には近所の子たちが来ていることが多いので、最初はその父兄の方々のお宅を回ったりしていました。

 

それでもどんどんどんどん不安の声や質問が集まってくるようになったので、「じゃあ僕の知っていることをご説明いたしますので、塾のほうに集まってきてください」というふうに言って、塾のほうで説明会をやったんです。その父兄の方のなかに銀行の支店長さんがいて「銀行の債権者の集まりでお話をしてください」と言われたり、「近所の中学校でぜひやってください」と言われてお話をしたり、講演も去年10回ぐらいやることになりました。僕はただの塾の先生で、今まで講演なんてやったこともないですしやるつもりもなかったんですが、「お願いされたらとりあえずお応えするようにしよう」と決めていましたので、あちこちでお話をしていました。

 

巡り巡って今回のようなとても大きな会になってしまったわけですが、そういうふうに県内のいろいろなところでお話をさせていただく機会がありましたので、福島県のお母さん方の声については、僕以上に聞いている人はいないんじゃないかというくらいで、これに関しては自信があります。

 

たとえば、郡山市に「プチママン」という子育て支援のNPO法人があって、そこで講演を依頼されて4月25日に100名ほどのお母さん方の前で講演する機会があったのですが、そこでアンケートを取らせていただきました。今日はそのアンケート用紙を持ってきていますので、それもお話に絡めて、福島県のお母さん方がどう考えているのか、福島県について他県の方にどう理解していただきたいのか、ということも含めて説明していきたいと思っています。

 

 

 

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