初学者のためのロケット開発史入門

将来、応用

 

LE-7エンジンの出力を計算してみました。真空中排気の速度エネルギは、およそ2.3GW(~320万馬力)となります。大型発電所が100万kW(~130万馬力)の規模ですから、ロケット技術とは、軽量脆弱な構造でいかに大規模エネルギを制御するか、限界を探る技術とも言い替えられそうです。まさに、かかる怪物どもを飼い馴らすための悪戦苦闘だったと振り返っています。

 

 

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ところで、人類が利用しているエネルギの大部分は、太陽起源(水素核融合)なのですが、少なくとも数億年かけて地球に蓄積したその缶詰たる化石燃料をわずか200年間で枯渇させる勢いです。

 

一方、その根源たる水素は、宇宙規模で最も豊富に存在する元素と言われており、環境汚染のないエネルギ源として、燃料電池など多方面に応用拡大が期待されています。いまや液体水素の大口需要も半導体製造産業などに軸足を移していますが、たった数十年前には、ロケット燃料が唯一の用途であり、当時関係者の開拓の成果が大きく実ったものと考えています。

 

さて、宇宙への進出も現実となり、将来宇宙輸送・推進系として、探査機「はやぶさ」で実証できた電気推進のほか、ソーラーセールなどが今をときめく話題となっており、あるいは宇宙エレベータなどの実現性について議論も始まっています。それでも、宇宙空間、あるいは地球外天体で、どう推進薬を獲得するかは、永遠の命題であり、月、火星などに、水が見つかるか、関心が集まっています。火星には、希薄ながら二酸化炭素の大気(1/100気圧)が存在するため、水分解水素ばかりでなく、メタンとして合成する研究も行われています。木星・土星は、水素のガス惑星であるところから、空気吸い込みならぬ、水素吸い込みエンジンが成立するかもしれません。

 

しかしながら、現状輸送概念の延長では、太陽系内はともかく、わずかお隣の恒星(4.3光年)にさえ、とても手が届きません。後世の革新的技術進化に期待したいところです。

 

いずれの時代にも、開発の一線は、時間とストレスに追われ、帝国海軍巡洋艦が1隻進水するたびに、技術者1名が精根尽きて亡くなったと聞いたことがあります。

 

1991年8月9日早朝、三菱重工業から緊急電話を受けました。深夜のエンジン検査中に金谷有浩さん(23歳)が殉職された知らせでした。その電話の相手、長谷川恵一氏もその後病を得られ、故人(58歳)となりました。粉骨の貢献を果たし、礎となられた石川島播磨重工業の大木俊英氏(38歳)、北村彰氏(39歳)、また、宇宙開発事業団の谷口浩文氏(53歳)を含め、深く哀悼の意を表するとともに、確かに書き記しておきます。(2014年1月 JAXA総合開発棟にて)

 

参考文献:『ロケットターボポンプの研究・開発―35年間の思い出』上條 謙二郎(東北大学出版会)

 

 

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