日本における外国人に関する実態と将来像――「これまで」と「これから」の整理

●変わらない外国人労働者の構造

 

外国人労働者数や雇用する事業所数の増加、および「外国人依存度」の高まりという変化がみられる一方で、日本の外国人労働者に関する状況として変わっていないこともある。図表7には、外国人労働者の在留資格別割合の推移(縦棒グラフ)と、2016年10月末時点の内訳(円グラフ)を示している。これから2つのことが指摘できる。

 

 

図表7 外国人労働者の在留資格別割合の推移、2016年10月末時点内訳

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(資料)厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」をもとに筆者作成。

 

 

1点目は、日本で働く外国人の在留資格別の割合は、従来から大きな変化がみられないということである。ただし、近年在留資格「留学」の割合が増加傾向にあり、働きながら学ぶ留学生が増えていることが推測される(図表7内:ポイント(1)参照)。

 

2点目は、在留資格の内訳をみると、就労を目的とした在留資格を付与され働いているのは外国人労働者全体の18.5%に止まっており、本来は就労を主目的とせず入国・滞在を認めている外国人が大きな割合を占めているということである(図表7内:ポイント(2)参照)。

 

具体的には、「国際貢献・技能移転」のために入国を認めている技能実習生が19.5%、日本で勉強するために入国を認めている留学生が19.3%、日本人の子孫として特別な関係があるため入国を認めている日系人らが38.1%となっている。

 

上述したような「外国人依存度」の高まりと、外国人労働者の在留資格別割合にほとんど変化がない状況から、日本で就労することを主目的として入国が認められたわけではない外国人によって、日本社会が支えられている実態が認められる。

 

より生活に根ざしたシーンと関連づけると、たとえば、私たちが普段口にする野菜を考えてみても、国内における農業産出額が北海道に次ぐ2位を誇り、首都圏にも多くの農作物を出荷する茨城県では、農業従事者のうち21人に1人が外国人であり(平成27年国勢調査結果をもとに筆者試算)、とくに収穫作業の多くは技能実習生に依存している(丹野 2016)。

 

輸入品ではなく「国内産」として売られている野菜の多くも、外国人がいなければ市場に出回ることもなくなってしまう。私たちの生活は外国人による労働と無関係でいることはますます困難になってきているが、その国内で働く外国人の多くは、就労を主目的とせず入国・滞在が認められた外国人であるというのが日本の実態である。

 

 

4.「これから」どうなるのか

 

以上では、「これまで」の日本における外国人の実態把握を行ったが、本節では「これから」先、日本における中長期的な姿はどうなるのかについて概観する。

 

上述した、「外国に由来する人口」の推計として、国立社会保障・人口問題研究所の是川(2017)が行った研究がある。1960年代以降から続く入国超過の趨勢が今後も継続すると仮定し、「日本の将来人口推計(平成29年推計)」、「在留外国人統計」、1987年以降の帰化許可者数および父母の国籍が識別可能なデータに基づき、出生率と死亡率を考慮して推定を行っている。外国に由来する人口という観点から、これまでの趨勢を踏まえた一つの推定モデルとして参考となる。

 

結果をみると(図表8)、外国に由来する人口は、約25年後の2040年には総人口の6.5%に相当する約726万人、約50年後の2065年には総人口の12.0%に相当する約1,075万人に達し、今後50年間で1年間あたり15万人弱が増えていくことが見込まれている。総人口比12.0%は現在の欧米諸国の水準に匹敵し、とくに若年層ほど割合が高まり、20-44歳では総人口比18.0%を占めると算出されている。

 

総人口の将来推計と、外国に由来する人口推定の増減値を2015年時点と比較すると、人口減少分を置換するほどではないが、外国に由来する人口が増加すると見込まれている。と同時に、この推定から、「人口減少や過疎化を阻止するための外国人の受け入れ」という発想はあまり現実的ではないことも示唆され、現実を捉えた外国人の受け入れ政策や社会統合政策(注3)の検討が求められているといえる。

 

 

図表8 日本における外国に由来する人口の推定

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(資料)是川(2017)、国立社会保障・人口問題研究所(2017)「日本の将来人口推計(平成29年推計)」(出生中位推計)をもとに、筆者作成。

 

(注3)社会統合政策とは、外国人の受け入れ社会への「同化」ではなく、外国人の権利を保障しつつ義務の履行も促進し、また文化的多様性を維持して、同じ地域社会の構成員としての責任も分担することを目指す政策を意味する(井口2015)。

 

 

5.終わりに――今後に向けた論点

 

日本の総人口が減少し、外国に由来する人口が急増する社会の到来が見込まれるなか、外国人をいかに受け入れ、外国人といかに共生していくかは待ったなしの政策課題であり、外国人に関わる政策のグランドデザインを描き、議論を深めていく必要性が高まっている。

 

ただし、外国人に関する議論は印象論や情緒的な性質を帯びやすく、また、「外国人」といっても、高度外国人材や技能実習生、留学生、日系人、難民など属性が多岐に亘り、かつ、受け入れ局面とその後の社会統合の論点が絡み合うため、「どの属性の、どの局面を対象に議論しているのか」がわかりづらくなり、議論が噛み合わないことがしばしば起こり得る。

 

この点について、外国人に関わる議論においては、(1)外国人の受け入れに関する入り口の議論(出入国管理政策)と、(2)すでに日本で生活をしている外国人に関する受け入れ後の議論(社会統合政策)を、一体的に捉えつつも整理して議論する必要があると考える(加藤 2016)。

 

すでに紙幅が尽きているため詳細は控えるが、これから先、重要な論点になり得ることとして、出入国管理政策では、外国人労働者のうち就労目的外で入国している外国人が大きな割合を占めているという在留資格制度の歪みの適正化(たとえば、高度外国人材ではない「中技能の外国人労働者」を対象とする在留資格の新設に向けた検討等)があげられる。

 

また、社会統合政策では、(1)日本で暮らす外国人の処遇に関する根拠法の制定、(2)外国人の日本語習得等にかかる社会的費用負担への合意形成と制度化、(3)外国人の散住が進むなかで、外国人をあまり受け入れてこなかった地域も巻き込んだ地域間連携、といった点が考えられる。今後は、こうした2つの政策的視座から、データに基づいた実態把握や諸外国の教訓・取り組みなどを踏まえた建設的な議論が求められる。

 

【参考文献】

・井口泰, 2015, 「東アジア経済統合下の外国人労働者受入れ政策」社会政策学会編『社会政策』7(2): 9-26.

・加藤真, 2016, 「『移民政策はとらない』発言にみえるズレと求められる論点の整理」三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 サーチナウレポート.

・是川夕, 2017, 「日本における国際移動転換とその中長期的展望――日本特殊論を超えて」移民政策学会シンポジウム(2017年度年次大会)「日本における移民政策のグランドデザイン構築に向けて~入国管理体制の再検討」発表資料.

・文部科学省, 2017, 「『日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)』の結果について」.

・鈴木江理子, 2016, 「非正規滞在者からみた日本の外国人政策――本音とタテマエ」有田伸・山本かほり・西原和久編『国際移動と移民政策――日韓の事例と多文化主義再考』東信堂: 23-46.

・丹野清人, 2016, 「顔の見えない定住化」北川由紀彦・丹野清人『移動と定住の社会学』放送大学教育振興会:105-19.

 

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