風俗嬢の『社会復帰』は可能か?

坂爪さんによる質問

 

赤谷 中山さん、角間さんありがとうございました。ここからは坂爪さんとわたしからお二人にいくつか質問をさせていただき、お答えいただければと思います。まずは坂爪さん、質問をよろしくお願いします。

 

坂爪 中山さんに質問です。「ガールズケア」の法人化は考えていましたか?  性に関する事業はNPO法人化が困難と聞きます。というのも、ホワイトハンズも創業から3年間、行政に対してNPO法人の設立申請を何度も行ったのですが、「事業内容が社会通念上、認められない」という理由で、すべて不認証になりました。これについては、いかがお考えでしょうか。

 

中山 NPOにはメンバーが4人必要なのですが、今までその4人が集まりませんでした。ここ半年はメンバーも固定しているので、法人化も可能だと思います。やはり性に関する事業の法人化は難しいので、わたしが六本木で働いた頃のお客さんに相談しながら法人化を目指している状態です。

 

坂爪 しっかり根回ししていますね。

 

中山 元ホステスですから(笑)。

 

坂爪 次の質問です。風俗嬢にお薦めする転職先はありますか。

 

中山 お話したように一言で「風俗嬢」と括れませんが、多いのは看護師から風俗嬢、風俗嬢から看護師という流れです。人の体に触れることに抵抗がないことと関係があるのかもしれませんが、エステシャンなども多いですね。もちろん人によりけりですが。

 

坂爪 ありがとうございます。つづいて角間さんに質問です。「福祉」ではなく「可愛い」が大事とのことですが、事業の規模を大きくすることを考えていますか。

 

角間 そうですね、大きくしていきたいです。「プロダクトレッド」って知っていますか?

 

坂爪 プロダクトレッド?

 

角間 Apple社のサイトを見ていただけるとわかりますが、iPhoneやiPodに1つ赤いデザインのものがあります。これは購入金額の一部が「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に寄付されるんです。これはNikeやDellも取り組んでいます。ただ赤い色にするだけで、寄付が集まるんですね。

 

いま考えているのは、女の子がわたしたちのイベントに関わってくれたらシールを配布しようと思っています。「シールが何枚集まったか」「君のおかげで誰がきてくれたか」など、成果がわかれば、貢献度がわかって嬉しいでしょう。ディープなことをするよりもカジュアルなものを目指したいと思います。

 

坂爪 日本にはNPOが4万団体ほどあると言われていますが、性風俗に関する問題系に取り組んでいる団体は、残念ながらほぼゼロだと思います。この現状を変えるためのアイディアがあればお聞かせください。

 

角間 いま「NPOに参加すればどうにかなる」という淡い期待が世のなかにあると思います。SNSのプロフィール欄に参加しているNPOの名前を書く人をよくみかけるでしょう? それはエコや教育といった分野で活躍していた先人の成果によるものです。しかし性に関する活動はそうはいかない。やはりリスクがあるんです。だったら素敵でオシャレな活動にすればいい。もちろん本質的な部分がぶれてはいけませんが、性に対してかっこよく、素敵にやっていくことが大事だと思います。

 

 

赤谷さんによる質問

 

赤谷 わたしからもいくつか質問をさせていただきます。

 

まず中山さんにお聞きしたいのですが、本日のお話のなかで中山さんは「セックスワーカーは一概に括ることはできない」と仰っていました。実際に、日本の性産業にはさまざまな職種のセックスワーカーがいると思います。中山さんはどんなセックスワーカーに関わっていこうと思っているのでしょうか。

 

中山 いわゆる「お酌をするだけのホステス」以外がターゲットです。でもキャバクラでも愛人派遣をやっていたり、ただのバーだけど援助交際の場になっているところもあるので、線引きは難しくて。だからとりあえず「ガールズ的な」とゆるく大きく括って考えています。

 

赤谷 ありがとうございます。つづいて角間さんにも同様の質問をします。GLOW AS PEOPLEは、どんなセックスワーカーをターゲットに考えていますか。

 

角間 基本的には派遣型のお店に勤務している女の子です。理由は簡単で、わたしがGLOW AS PEOPLEを始めるきっかけとなった方が、派遣型の風俗を経営されていたんです。それに派遣型なら比較的見えやすいので、活動がしやすいんです。あと店舗型に行くのは怖い(笑)。踏み込みが深ければ深いほどいろいろな問題は見えてくるのでしょうが、いまは把握している問題に対して、支援を提供するスタンスで活動をしているので、踏み込みの範囲をこのレベルにしています。それに店舗型を経験している派遣型の女の子や併用している子もいるので、店舗型の実態がまったく分かっていないわけでもありません。

 

赤谷 なるほど、ありがとうございます。

 

(この後、60分間、会場の参加者との質疑応答)

 

では最後に、ホワイトハンズの坂爪さんより終了の挨拶をお願いします。

 

坂爪 本日はどうもありがとうございました。おかげさまで数多くの方にお集まりいただき、大変有意義な議論ができたと思います。性風俗の現場はまだまだ見えにくく、多くの問題を抱えているでしょう。すべてを一気に解決することは不可能です。問題をしっかり定義し、細分化して、個別に支援していく必要があります。セックスワーク・サミットは、「風俗嬢の社会復帰支援」について来年以降も取り上げていきたいと思っていますので、ご注目いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

(2012年11月25日 歌舞伎町にて)

 

 

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