シノドス・トークラウンジ

2022.11.15

2022年12月15日(木)開催

【レチクャー】日本経済をめぐる「ダメな議論」――「トンデモ経済学」に騙されないための日本経済入門

中里透 マクロ経済学・財政運営 ホスト:芹沢一也

開催日時
2022年12月15日(木)20:00~21:30
講師
中里透
ホスト
芹沢一也
場所
Zoom【アーカイブ動画での視聴も可能です】
料金
2750円(税込)
本トークはある程度の一般教養を前提として行われます。

レクチャー内容

このところ、「日銀が利上げをすることができないのは、利上げをすると日銀が債務超過になり、それをきっかけに円急落が起きるからだ」という話が流行っています。また、「日銀が利上げで債務超過になる」ということを理由に「ただちに消費税率を引き上げて、その財源で日銀に資本注入をすべき」という趣旨の提案をされている報道関係者の方もいらっしゃいます。

このような話は、SNS上でのネタとしてみんなで盛り上がっている間はエンタメとしてとても面白いのですが、実際の政策運営をめぐる議論にこのような話が持ち込まれると、大きなノイズとなり困ったことが起きます。そのようなことが起きないようにするには、情報の受け手の側がネタをネタとして楽しむことのできる(本当のことだと思って真に受けないようにする)リテラシーが必要ということになるでしょう。

そこで、今回のトークラウンジでは、世の中に流布する「トンデモ経済学」の中から、新聞の記事や識者のコメントなどにも登場して人気のあるものを選んで、それらのどこがどのように「ダメな議論」になっているのかを解説するとともに、「有識者」の意見や「通説」に惑わされず、正しい経済知識を得るためのヒントをみなさまにお知らせしたいと思います。取り上げるトピックの候補は以下の通りです。

・マイナス金利が導入されると、銀行は日銀に積んであるお金をおろして貸出に回すようになる。

・増税をすると将来不安が消えて消費が増える。

・団塊の世代が75歳になる2022年から25年にかけて、社会保障費が急増する。

・安倍内閣は「成長頼み」の姿勢で放漫財政を続けていた。

・異次元緩和による「財政ファイナンス」のために、財政規律が弛緩して歳出(財政支出)が膨らんでいる。

今回のトークラウンジの後半部分では日銀が利上げをしない(「利上げができない」ではなく)理由について考えるうえでの基礎をなすものとして、最近時点における物価と景気の動向について、具体的なデータをもとにお話ししたいと思います。

なお、「日銀が利上げをすることができないのは、利上げをすると日銀が債務超過になるからだ」という話のどこかどのようにおかしいのかについては、下記の記事をご参照ください(このトークラウンジの当日の議論のトーンや雰囲気を予想するうえでもお役に立つのではないかと思います)。

●日銀はなぜ利上げをしないのか―マイナス金利について考える https://synodos.jp/opinion/economy/28365/

プロフィール

中里透マクロ経済学・財政運営

1965年生まれ。1988年東京大学経済学部卒業。日本開発銀行(現日本政策投資銀行)設備投資研究所、東京大学経済学部助手を経て、現在、上智大学経済学部准教授、一橋大学国際・公共政策大学院客員准教授。専門はマクロ経済学・財政運営。最近は消費増税後の消費動向などについて分析を行っている。最近の論文に「デフレ脱却と財政健全化」(原田泰・齊藤誠編『徹底分析 アベノミクス』所収)、「出生率の決定要因 都道府県別データによる分析」(『日本経済研究』第75号、日本経済研究センター)など。

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