貧困の「現場」から見た生活保護

最低生活=生活保護基準

 

では、その基準はどうやって決められるのであろうか。「生活保護基準」は1年に1度、消費実態などをもとに厚生労働省の「生活保護基準部会」で議論され、厚生労働大臣が決定する。よって、一般世帯の消費の動向などにより毎年少しずつ変更がある。具体的な「基準」を見てみるとわかりやすい。ここでは、主に「生活扶助」と「住宅扶助」について数字をあげていこうと思う。

 

まず、一番基準額が高い東京都23区(1級地の1)を見てみよう。

 

 

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【50歳男性の単身世帯、東京都23区居住の場合(加算等省略)】

<生活扶助>

l類(個人消費・年齢と居住地域で決まる)は38,180円。ll類(世帯消費・世帯人数と居住地域で決まる)は43,430円。合計で81,610円である。

<住宅扶助>

53,700円以下の実費分(家賃が3万円なら3万円分、家賃が5万円なら5万円分のみ)

<合計>

81,610円+~53,700円=~135,310円(住宅扶助は上限額にて計算)

 

【50歳男性と50歳女性の2人世帯、東京都23区居住の場合(加算等省略)】

<生活扶助>

l類は38,180円×2人分=76,360円。ll類は48,070円。合計で124,430円である。

<住宅扶助>

69,800円以下の実費分

<合計>

124,430円+~69,800円=~194,230円

 

生活保護基準では地域差が大きい。例えば、被災地でもある岩手県大船渡市(3給地の1)と比べてみよう。

 

 

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【50歳男性単身世帯、岩手県大船渡市居住の場合(加算等省略)】

<生活扶助>

l類は31,310円。ll類は35,610円。合計で66,920円である。

<住宅扶助>

25,000円以下の実費分

<合計>

66,920円+~25,000円=~91,920円

 

【50歳男性と50歳女性の2人世帯、岩手県大船渡市居住の場合(加算等省略)】

<生活扶助>

l類は31,310円×2人分=62,620円。ll類は39,420円。合計で102,040円である。

<住宅扶助>

33,000円以下の実費分

<合計>

102,040円+~33,000円=~135,040円

 

このように地域差は顕著である。東京の単身世帯と岩手県大船渡市での2人世帯の生活保護基準はほぼ同じである。この「基準」をもとに「最低生活ライン」が設定され、「生活に困っている状態」の「基準」となる。この「基準」に満たない状態の方が、生活保護を利用することができる。

 

そして、生活保護は8つの扶助によるパッケージとして「基準に満たない部分」に関してのみ、総合的なセーフティネットとして、必要な支援を必要な範囲で行う。よって、生活保護基準が例えば13万円だとして、収入が5万円あれば、足りない分の8万円の支給を受けることが出来る、ということである(注:実際は収入には控除等が発生する)。

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.2019.4.15 

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