投票前に確認したい「生活保護」をめぐる議論と争点

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各党のスタンス 生活困窮者支援に関して

 

■自民党

 

これまで通り、「自助」「自立」を第一にするというスタンスは変わらない。

生活保護制度については、自助努力による生計の維持ができない者に対する措置、ということを原点に「改正」をおこない、また生活困窮者の自立を促進するため、生活困窮者自立支援法の制定を目指すとしている。

生活扶助基準についても、これまで通り物価の変動を勘案して、3年で6.5%程度の引下げ。それ以外には、貧困の連鎖の防止やケースワーカーのマンパワーの拡充が盛り込まれている。

 

 

参考:自民党J-ファイル2013総合政策集

http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/sen_san23/j-file-2013-06-27-1.pdf

 

 

■公明党

 

公明党を見てみると、生活保護に関する言及はない。一方で、「生活困窮者対策等の拡充・強化」ということで、ここでは廃案になった「生活困窮者自立支援法」に盛り込まれた新しいセーフティネットの各事業の内容が書かれている。

 

また、制度の狭間や複数の困難さを抱えるなど、既存の福祉サービスだけでは対応困難な方への支援として、コミュニティソーシャルワーカー(CSW)を配置し、地域における見守り・発見・つなぎ機能の強化を図るという。自民党の「自助」「自立」とはスタンスが少し異なり、地域の力などの「共助」を前面に出していることが特徴だ。

 

また、減税と低所得者への給付を組み合わせた「給付付き税額控除制度」の導入を検討するとしている。

 

 

参考:公明党政策集2013

http://www.komeito.com/policy2013/index.php?page=result&cd=42

 

 

■民主党

 

民主党は、生活保護に関して、真に必要な人に適切な認定をおこなう一方で、「不正受給の防止」や「医療扶助の適正化」「後発医薬品の促進」などを掲げている。

 

また、生活保護基準の引き下げに関しては見直しを求めている。

 

加えて生活困窮や社会的に孤立している方の生活支援の拡充をおこなうとしている。公明党に近いところもあるが、自立支援の項目の中に、生活困窮だけでなく社会的な孤立も含めたことは特徴である。

 

 

参考:民主党マニフェスト

http://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto2013.pdf

 

 

みんなの党

 

みんなの党は、マイナンバー制度を活用して、低所得者層への「給付つき税額控除方式」を導入するという。また、生活保護制度の不備・不公平、年金制度との不整合等の問題を段階的に解消し、最終的には、基礎年金と生活保護を統合した「ミニマムインカム」を創設するとある。

「給付つき税額控除方式」や「ミニマムインカム」について、具体的にどのような形を想定しているのかはまだわからないが、新たな最低生活保障の整備と低所得者層向けの施策を提起している。

 

 

参考:みんなの党アジェンダ2013

http://www.your-party.jp/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%802013%EF%BC%88%E5%85%A8%E4%BD%93%E7%89%88%EF%BC%89.pdf

 

 

■日本維新の会

 

日本維新の会は、本当に必要な人が生活保護を受けられるように、自立化に向けた生活保護の見直し(公営住宅の活用等現物給付の拡大・受給認定の適正化)をおこなうとしている。また、低所得者へは保険料の軽減(一部税負担)。最低生活保障に「負の所得税」的な考え方を導入する、とある。

 

 

参考:日本維新の会公約

https://j-ishin.jp/pdf/2013manifest.pdf

 

 

■日本共産党

 

日本共産党は、生活保護法改正法案に反対で、かつ生活保護基準引き下げも反対の立場をとっている。また、水際作戦をなくすために「生活保護の実施要項」を改善し自治体に徹底するとしている。論点が多いのでまとめると、貧困問題に取り組み、基本的に社会保障制度を拡充することを提起している。

 

 

参考:2013年参議院選挙各分野政策

http://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/06/2013-17.html

 

 

■社会民主党

 

社会民主党は、生活保護法改正に反対で、生活保護基準引き下げにも反対。雇用の劣化や格差・貧困に歯止めをかけ、暮らしの底上げを目指すとしている。また、生活困窮者へは個別的・継続的に支える「パーソナル・サポート」サービスの確立を目指す。

 

ほかにも「住まい」に関する施策で、家賃補助等による「住宅支援制度」を創設し(生活保護の住宅扶助は廃止)、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化するとしている。

 

 

参考:社民党選挙公約

http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2013/commitment/02.htm

 

 

■生活の党

 

生活の党は名前の通り、国民1人ひとりの命と暮らしが守られる安心、安定した社会保障を構築するとしている。

 

生活保護については、過剰な医療行為の提供等貧困ビジネスの解消や、就労支援の強化、ケースワーカーの適切な配置を図るとともに、適正な受給体制を整備するとしている。

 

 

参考:生活の党参院選政策項目2013

http://www.seikatsu1.jp/political_policy

 

 

■みどりの風

 

適切な所得再分配を実現する、最後はしっかり国が支えるセーフティネットの再構築とある。

 

 

参考:みどりの風の「約束」

http://mikaze.jp/news/upload/1372851421_1.pdf

 

 

■緑の党

 

最低賃金・生活保護・基礎年金の拡充で年間200 万円の最低所得保障を実現し、将来的なベーシック・インカムの導入に向けた制度設計に取り組むなど。

 

 

参考:2013参院選「公約」

http://greens.gr.jp/uploads/2013/07/Green_MFT2013.pdf

 

 

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