参議院選挙を障害者政策の観点から考える ―― 各党の選挙公約をもとに

■日本共産党

 

公約の主要政策46項目の26、27番目として「障害者・障害児」、「難病」が挙げられており、障害者政策重視の姿勢がうかがえる。その記述量はほかの政党の公約と比較して圧倒的に多く、施策毎に具体かつ詳細に述べられている(ここでは、そのすべてを掲載する紙面はないので、公約の主題のみ挙げておく。主題別の具体的な解説については公約で確認していただきたい)。

 

 

【障害者・障害児】
(1)障害者総合支援法を見直す
「基本合意」「骨格提言」にもとづいた障害者総合福祉法の制定をめざし、障害者権利条約を実効性ある批准にする国内法の整備をすすめます。
具体的内容として-
・応益負担はすみやかに廃止し、利用料は無料に・支給決定は障害者の希望の反映を
・グループホームとケアホームの一元化は安心して暮らせる場に・「新体系」の見直しを
・地域支援事業の自治体間格差の解消を
・日額払いを月額払いへ・発達障害者の特性をふまえた支援に・障害の谷間をなくす

 

(2)地域でのゆたかな生活の保障を
具体的内容として-
・住まいの選択の保障
・年金の保障
・労働の保障
・教育の保障
・被災時や復興の保障

 

(3)障害者の医療の拡充を
・自立支援医療を無料化に
・重度心身障害者医療費助成制度を国の制度に

 

(4)精神障害者の医療・福祉の向上を

 

(5)介護保険の優先原則の廃止を

 

(6)交通、参政権、情報のアクセス保障を
・バリアフリー、運賃割引制度の拡充を
・参政権、司法の場の保障を
・情報、アクセスの保障を
・アクセシブルな情報通信技術の調達を政府に義務づけるとともに、「新技術」の開発を

 

(7)障害児の療育・生活の保障を

 

(8)障害者権利条約の批准にふさわしい国内法の見直しを
・障害者基本法を見直す

・障害者差別禁止法制の実現を

・虐待からまもる体制整備を

 

(9)財源は消費税増税ではなく大企業や富裕層の負担
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/06/post-525.html

 

 

【難病】
(1)難病、慢性疾患のある人の新たな段階にふさわしい医療
・福祉を新しい難病医療制度は難病患者すべてを対象とするものに
・軽症者も引き続き医療費助成の対象に
・患者をさらなる苦境に追い込む“重症者への負担導入”はやめるべき

 

(2)小児期から成人期への移行期の疾患問題を緊急に解決する

 

(3)生存権に基づいた医療費無料化を
・高額療養費制度を応能負担に
・障害者自立支援医療の対象の拡充と負担軽減を

 

(4)治療研究や医療体制の抜本的拡充をすすめる
・有効な医薬品の開発を迅速に
・地域の難病治療体制の確立を

 

(5)新たな障害の谷間を作らず難病患者等に必要な福祉サービスを

(6)雇用、所得保障、教育の保障を
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/06/post-524.html

 

 

■社民党

共産党と同様、障害者政策についての記述にかなりの紙面が割かれている。15の政策提案の一つである「社会保障」の項目に、「障がい者」があり、以下のように記されている。

 

 

<障がい者>
1,当事者が主体となる障がい者制度改革を推進します

 

○成立した「障害者差別解消法」を円滑に実施し、障がい者権利条約が原則とする「社会への完全且つ効果的な参加とインクルージョン」を推進していきます。国連「障害者の権利条約」の批准を目指します。

 

○「障害者自立支援法」が改訂され、「障害者総合支援法」ができましたが、抜本的な改正には至っていません。収入認定を世帯単位から障害児者本人のみに変えること、自立支援医療に減免制度を導入すること、難病者・慢性疾患者等を制度の谷間に残さないことなど、残されている課題に取り組みます。

 

2.国際的な水準に基づいて「障がい者の定義」を確立します

○2011年通常国会では、障害者基本法の改正、障害者虐待防止法の制定が行われました。法律の徹底、実効性を高めるとともに、さらに法整備をすすめ、「国連障がい者の権利条約」の批准を目指します。

 

○国際的な水準による「障がいの定義」を確立します。「国連障がい者の権利条約」にもとづいて障がい者の所得保障、働く場や生活の場など基幹的な社会資源の拡充、就労支援策の強化などを行います。

 

○発達障害者が犯した事件に対し、社会的な危険視から量刑を行う判決が裁判員裁判で出されました。これは発達障害に対する無理解によるものであり、正しい認識を広げなければなりません。発達障害者支援法による支援策を強化し、都道府県の発達障害者支援センター、地域生活定着支援センターにおける受け皿つくりをすすめます。

 

3.障がい者の働く場、雇用を広げます

 

○障がい者の法定雇用率が2013年度から引き上げられ、民間企業は2.0%(現在1.8%)、国・地方自治体は2.3%(現在2.1%)になります。障がい者の自立と共生社会の実現に向けて、法定雇用率の達成をすすめます。

 

○ハードルの高い「一般就労」と訓練的な要素が強い「福祉的就労」の中間となる「社会的雇用」の実践をもとに、社会的雇用の制度化をすすめます。

 

○障がい者の暮らしの基盤となる障害者年金を拡充します。

 

4.障がい者の社会参加を推進します

○障がいを持つ人が「参加しやすい選挙」は、お年寄りや体の不自由な人などすべての国民にとって「参加しやすい選挙」です。選挙のバリアフリー化、ユニバーサル化を推進します。

 

○地上デジタル放送への移行に際しては、「視覚障がい者にも使えるリモコンを」、「障がい者にもチューナーを」という要求への対応を強化します。

 

○障がい者が放送を通じて情報を入手するうえで必要な手段である字幕放送ならびに手話放送の増加を求めます。

 

○移動困難な障がい者が住み慣れた地域の中で自立し、社会参加の機会を増やすには、公共交通を整備することが第一ですが、運転免許の取得がネックとなっていることも否定できません。障がい者の運転免許取得を支援するためのバリアフリー化をすすめます。教習所や各種の講習、免許行政窓口で、手話通訳、文字通訳、字幕などの情報保障の整備をすすめます。指定教習所において手動・足動運転補助装置を普及させます。交通の安全と障がい者等の社会参加が両立するよう、障がい者団体を含め、広く各界の意見を聴取しつつ、運転免許の適性試験・検査についても科学技術の進歩、社会環境の変化等に応じて見直しを行います。障がい者の運転免許取得を支援するため、取得費用に対する助成制度をつくります。

 

○著作者の音訳を制限する著作権法を改正するとともに、「EYEマーク」運動をすすめます。

 

さらに、【教育】の項目では3つの公約のうち2つが障害児教育に関するものとなっている。

 

○インクルーシブ教育を実現し、障がいを持つ子どもと持たない子どもが共に学び育つ総合教育と総合保育に取り組みます。

○視覚障がい者、高齢者の読書権を保障するため、大活字出版物やデイジー教科書(デジタル化して文字と音声を同期させて読むことを可能とした教科書)に助成を行ないます。代読・代筆サービスを図書館などで受けられるように制度を広げ、人員養成への支援を行ないます。http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2013/commitment/02.htm

 

 

■みどりの風

 

社会保障改革の項目で以下が記されているが、その具体的内容の記述はない。

 

 

障がいがあっても安心して暮らせる社会づくりを進めます。
・真の自立につながる障がい者対策
http://mikaze.jp/news/upload/1372851421_1.pdf

 

 

■日本維新の会

 

「社会保障を賢く強くする」の項目で、年金、医療政策、子育て、生活保護制度について政策を述べているが、そこに障害者に関する記述は一切ない。

 

 

https://j-ishin.jp/pdf/2013manifest.pdf

 

1 2 3 4
シノドス国際社会動向研究所

vol.273 

・山本貴光「語学は裏切らない――言語を学び直す5冊」
・片岡栄美「趣味の社会学――文化・階層・ジェンダー」
・栗田佳泰「リベラリズムと憲法の現在(いま)と未来」
・渡邉琢「介助者の当事者研究のきざし」
・松田太希「あらためて、暴力の社会哲学へ――暴力性への自覚から生まれる希望」
・穂鷹知美「スイスの職業教育――中卒ではじまる職業訓練と高等教育の役割」