特集:国会

1.福元健太郎氏インタビュー 世襲議員は選挙に強い!?

 

一般的に世襲議員は3バン(地盤・看板・鞄)を持つため選挙に強いと言われますが、実際、世襲はどの程度投票に効果があるのでしょうか。

 

◇世襲にはどのくらいの効果が?

 

――世襲は得票にどの程度効果があるのか、今日は福元先生にお話を伺いたいと思います。論文「得票の継承に対する世襲の効果」が日本選挙学会の学会賞を受賞されましたが、学部生の方との共同研究なんですよね。

 

そうですね。私のゼミで学んでいた学生の論文をもとにしています。よく書けた論文で、そのまま放置するのはもったいない、せっかくなので社会に還元できれば、と考えました。私と一緒に分析方法をより厳密なものにして、全面的に書き直し、学会誌に投稿しました。とはいえ、他の雑誌では学部生との共著論文はダメだと断られたり、いろいろと紆余曲折はあったのですが……。賞をいただけたのは嬉しいことでしたね。

 

――なぜ、世襲議員について取り上げようと思ったのでしょうか。

 

現在はあまり議論されていませんが、政権交代前の2009年当時は世襲議員の多さが問題視されていました。そのため自民党や民主党は二世・三世の政治家の立候補に条件・制限を設けていました。

 

これまで、世襲議員は選挙に有利だと言われていました。地盤・看板(知名度)・鞄(資金)のいわゆる「3バン」を親族から引き継ぐからです。

 

ですが、実際にどの程度得票率に効果があるのかについての研究は十分ではありませんでした。この論文では、小選挙区で自民党から公認された候補に絞り、同じ選挙区で前回立候補した親族を持つ新人を「世襲新人候補」とし、分析を行ってみました。

 

 

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――では、実際にどの程度得票率に関係があるのでしょうか。

 

この論文では、同じ選挙区における前回選挙の自民党候補から引き継いだ票に着目しています。新人候補は前任者の後援会を受け継ぎますが、もちろん、その前任者個人を応援していた票もあるので全員がついてくるわけではありません。そこで前任者の得票を3つに分けます。……つづきはα-Synodos vol.192で!

 

 

2.増山幹高 見たくなる国会審議映像へ

 

「国会審議映像検索システム」http://gclip1.grips.ac.jp/video/では、衆参両院について議員の発言内容に対応する審議映像を検索し、該当する審議映像の部分的視聴が可能。

 

◇国会の記録とはなにか

 

昨年9月の参議院における安保法制審議は騒然としたものであった。委員長不信任案が否決され、委員長が席に戻ると、与野党の議員が委員長席近くで入り乱れるなか関連法案が採決された。

 

http://gclip1.grips.ac.jp/video/video/4544/speech_id/3522703#main

 

その様子はニュースでも繰り返され、YouTubeなどでも動画が配信されている。残念ながら、現在の参議院の運用では、審議動画の配信を1年に限り、参議院のサイトではそのうち視聴できなくなる。

 

国会の会議録には、以下のようにある。

 

○理事(佐藤正久君) … 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員長鴻池祥肇君不信任の動議に賛成の方の起立を願います。

〔賛成者起立〕

○理事(佐藤正久君)起立少数と認めます。よって、本動議は賛成少数により否決されました。鴻池委員長の復席を願います。速記を止めてください。

〔速記中止〕

〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕

○委員長(鴻池祥肇君)……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)

〔委員長退席〕

 

続いて、委員長復席後の議事経過が追記され、議題とした法案を列挙し、いずれも可決されたとしている。

 

この会議録から、会議が成り立っていないと手続き的瑕疵を主張する向きもあるが、それは「サインじゃダメです。ハンコ押してください」と言うのと変わらない。

 

審議映像が明らかにするのは、騒然としているものの会議が開かれ、委員長の議事進行が聞き取れないほどに騒いでいる議員がいたということである。こうした国会の様子を世界に配信し続けるのは体裁の良いことではないが、どんな会議であったのかの証拠であり、それが見られなくなるということのほうを問題にして欲しい。

 

国会の記録とはなにか。憲法第57条は国会に会議の記録を保存し、公表・頒布することを求めている。記録技術の限られた時代において、紙媒体に記述された文字情報は唯一の記録であり、会議録は帝国議会の最初から1世紀余に連綿と残されている。……つづきはα-Synodos vol.192で!

 

 

3.『誰でもできるロビイング入門』著者、明智カイト氏インタビュー ロビイングで社会を変える

 

ロビイングってどういうもの?「政策を実現したいのであれば、政治家ではなくロビイストになれ」という明智さんのお話を伺ってきました。

 

◇ロビイングってなに?

 

――明智さんは、LGBTなど性的マイノリティの自殺対策、いじめ対策をしている「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」の代表をしながら、認定NPO法人フローレンスでもロビイストとして活動されてましたよね。初の単著を出すと伺い、LGBTではなく、ロビイングの方で出すんだと意外な感じを受けました。

 

今回、この本を書いたのはあまりにもロビイングについて取り上げたものがなかったからです。本では、私のほかに、自殺対策に清水康之さん、病児保育・待機児童問題に駒崎弘樹さん、いじめ対策に荻上チキさん、児童扶養手当削減の反対に赤石千衣子さんと、それぞれのロビイングについてインタビューをしました。

 

私もそうなのですが、やはりメディアで発言するときは自殺やLGBTなど、それぞれのイシューの問題点についてばかりです。ロビイングの話をすることはありませんし、ロビイングそのものに関する取材もほとんどありません。

 

その上、ロビイングの技術はこれだけITが発達しているのに口頭で伝えられてきました。そもそもだれも記録を取っていない。ですから、ロビイングってなに? ロビイストって何してるの? と思っている人が大半でしょう。

 

 

――未確認生物のようになっている。

 

そうですね。荻上チキさんは本書の中で「概念をつくる」と言っています。たとえば、「マタハラ」や「ブラック企業」という概念をつくることによって、社会問題が可視化される。ロビイングも同様で、今まで知っている人だけが知っているものでしたが、今回の本で可視化されることを狙いました。

 

よく「おれが選挙にいっても政治は変わらない」「デモじゃ政治は変わらない」という人がいますが、選挙やデモだけではなく、ロビイングという手段もある。民主主義の一つの方法であるにも関わらず、暗黙のルールになっているのは、政治において損失だと思っています。

 

そのために、必要な人が知りたいと思ったときに、すぐ手に取れる新書というかたちで世に出したかった。たしかに、ロビイングは難しいかもしれませんが、情報にすらアクセスできないのはおかしい。……つづきはα-Synodos vol.192で!

 

 

4.逢坂巌 安倍政権のトラウマ――国会はメディアでどのように報じられたのか

 

安倍首相のマスメディアや世論への思いは、おそらくとてもとても深い。マスメディアと世論は、調子がいいときは従順な顔をみせるが、いったん「空気」が変わると、手のひらを返し、牙を剥く――安倍氏のマスメディアや世論への「トラウマ」に迫る。

 

編集部からは、「第二次安倍政権、国会はメディアでどう報道されたか」について書けとのお話をいただいた。本来ならば、第2次政権下で如何に国会が扱われたかについて、新聞やテレビの報道量や内容を分析し、第1次政権の傾向と比較するなどとなるのだが、いかんせん、依頼をうけたのが1月の末で締め切りが2月末、データの処理などを考えると到底間に合わない。そこで、実証的な分析とは程遠いエッセイでもよろしいかとお尋ねしたところ、それでもよいとのご返事でお受けすることになった。よって、以下は表題をめぐる取り留めのないエッセイである。お気楽にお読みいただければ幸いです。

 

 

◇テレビ報道と支持率の関係

 

さて、「第2次安倍政権、国会がメディアにどう報じられたか」。この論題が立った背景、なぜ編集部がこれを論じよといってきたかの後ろには、もちろん復活した安倍晋三政権の「メディア統制」についての危機感が控えている。第1次政権で新聞やテレビ、そしてネット上でもコテンパンに批判(揶揄?)された安倍氏は、2次政権ではメディアに対してとても「上手に」向き合うようになった。

 

郵政造反派復帰でミソがつき、松岡農相の自殺と「消えた年金問題」でキリモミ状態に入ってしまった第1次政権。「事件」のたびごとに支持率は低下し、やがて久間章防衛相の「失言」と赤城徳彦農水相の「絆創膏」、そして麻生太郎外相の「アルツハイマー」発言のなか参院選に敗北した。その後、「参院選に負けたからといって、総理の座を辞するのはおかしい」と安倍氏本人は頑張るが、野党やメディア、そして国民からもクソミソのように言われ、結果、体調不良で退陣となったのはご記憶の通り。

 

この間、彼は「KY」だの「下痢ピー総理」だのと言われ続けたわけだが、それらの「事件」を大きく報じ、第1次安倍政権にダメージを与えたものこそ、そのころは元気の良かったテレビであった。

 

図1は、2007年の参議院選挙前3ヶ月の間におこった主な「事件」の地上波テレビ(東京キー局)での報道量を表したものである。表中、それら「事件」のニュースが一日の政治・選挙関連情報に占めた割合を棒グラフで示している。

 

また図2は、その間の内閣支持率や自民党への投票意向の変化である(テレビのデータはテレビ番組の放送内容を調査・分析する「株式会社エム・データ(http://mdata.tv)」のデータを分析。支持率は、FNN「報道2001」の首都圏500名のデータ。詳しくは拙稿「2007年参院選のテレポリティクス(中)「安倍劇場」? サプライズさせられ続けた2ヶ月」『朝日総研リポートAIR21』209号、朝日新聞社ジャーナリスト学校、2007)。

 

 

図1:地上波テレビのニュースにおける「事件」の放送量とその政治・経済関連ニュースに占める割合

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図2:内閣支持率と自民党投票意向の変化(フジテレビ報道2001調査)

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これをみると、一連の事件とそのテレビ報道が波状になって5月から参院選までの2ヶ月、間断なく政権を襲い、それに従うかのように内閣や党への支持が減っていたことがわかる。

 

やがて迎えた参院選、自民党は選挙区で23議席、比例区で14議席のあわせて37議席。「リクルート選挙」(1989年・宇野内閣)の36議席はかろうじて上回ったものの、史上2番目の歴史的な惨敗であった。これによって、参議院で与党が少数となる「ねじれ」が生じることになり、その後の政権運営は困難を極めることになる。

 

安倍氏は参院選敗北の責任をとっての退陣には抵抗していたが、体調不良となり政権を去る。小泉純一郎氏から政権を引き継いだときには7割近い支持率を有し、党内からは長期政権すら期待されていたプリンス政権の無惨な幕引きだった。……つづきはα-Synodos vol.192で!

 

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