“ひとり親世帯”の貧困緩和策――OECD諸国との比較から特徴を捉える

日本は世界第三位の経済大国であるにもかかわらず、親世代である若者の貧困化が進んだ結果、子供の6人に1人は貧困状態にあり、かつその貧困の連鎖が止められない、という危機的な状況にあることは広く知られるようになってきた。

 

その中でも特に厳しい状況にあるのが、近年増加傾向にあるひとり親世帯である。厚生労働省の全国母子世帯等調査の結果によると、ここ10年ほど(平成10年度と平成23年度)で、母子世帯数は約28万世帯、父子世帯数は約6万世帯増加し、ひとり親世帯の総数は平成23年時点で約146万世帯(ひとり親世帯の約85%が母子世帯)となっている。この結果、下の図1が示すように、日本の子供の約8人に1人はひとり親世帯で生活しており、その値はOECD諸国でも平均的なものとなっている。

 

 

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このひとり親世帯の増加は、政府や社会の在り方に変化を求めるものとなる。なぜなら、ひとり親世帯の増加は社会保障制度が仮定しているモデル家族(標準世帯)が適応できる割合が減少することにつながるが、前提条件が大きく揺らげば制度の持続可能性に問題が生じる。また、ひとり親世帯の増加は、夫は労働・妻は専業を前提としたPTA参加や行事運営への参加などを求める就学前教育施設や学校運営にも影響を及ぼすだけでなく、同様の前提を持った夫または妻のどちらか一方に子育てを依存させるような長時間労働を求める会社のあり方にも影響を及ぼす。

このようにひとり親世帯の増加は様々な変化を必要とするが、他の先進諸国がひとり親世帯の問題に合わせて変化できたようには日本は変化できず、ひとり親世帯の貧困が深刻なものとなってきている。

 

そこで本稿では日本のひとり親世帯の貧困の特徴をOECD諸国との比較から明らかにし、さらにひとり親世帯に関する様々な国内データから、日本のひとり親世帯の貧困を防ぐためにどのような対処策が求められているのかを議論する。

 

 

日本のひとり親世帯の就業と貧困

 

日本のひとり親世帯の特徴として、高い就業率にもかかわらず貧困率が高い、いわゆるワーキングプアー状態にあることが挙げられる。

 

 

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上の図2が示すように、OECDのFamily Databaseに存在している国の中では、日本は最もひとり親世帯の就業率が高い国となっており、その就業率は85.9%と高い値を示している。また国内データを基にひとり親世帯を母子世帯と父子世帯に分けてみても、母子世帯の母親の就業率が85.4%は高い値を示している。これは、日本の労働年齢人口に該当する女性全体の就業率が60%程度なのと比較すると、国際比較だけでなく、女性間の国内比較の点からも母子世帯の就労率が極めて高いことが分かる。

 

 

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そして、日本のひとり親世帯の就業率は先進諸国で最も高いにもかかわらず、上の図3が示すように親が就業しているひとり親世帯の相対的貧困率は、先進諸国の中で群を抜いて高い値となっている。しかし、相対的貧困率はその国の人口構成にも影響を受けるため、ひとり親世帯の状況がより分かるように、子供のいない婚姻世帯の可処分所得を100としたときのひとり親世帯の可処分所得についても見ておく。下の図4がそれであるが、図が示すように日本のひとり親世帯の相対的な可処分所得は先進諸国の中で最も低く、子供のいない婚姻世帯の半分未満となっている。これらのことから分かるように、日本のひとり親世帯はその高い就労率にもかかわらず貧困にあえいでいる、いわゆるワーキングプアー状態にあることが特徴的である。【次ページにつづく】

 

 

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