教育政策のかなめ教員政策を考える――限られた予算で高い教育効果をあげるために

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3. OECD諸国との比較から見る日本の教員政策の特徴

 

教員政策の中で教員給与支出、ひいては教育支出に最も影響を与えるのは、学級規模と平均給与である。

 

平均給与を上げれば教員給与支出も増加するのは言わずもがなだが、学級規模を小さくすると(厳密には意味が異なるが、分かりやすさの観点から少人数学級を実施すると考えて頂いて良い)、より多くの教員を雇わなければならず、これも教員給与支出を増加させる[*7]。

 

そこで、日本の平均教員給与(勤続15年目の値を使用している)と学級規模を他のOECD諸国と比較することで、日本の教員政策の特徴を明らかにする。

 

 

■日本の教員給与の水準

 

スライド7

 

 

上の図5は、OECD諸国の就学前教育における教員給与を各国の一人当たりGDP比で表したものである。日本とニュージーランドのデータはEducation at a Glanceには掲載されていなかったので、OECDのQuality Matters in Early Childhood Education and Careに掲載されている初等教育教員と就学前教育教員の給与比率から計算している。OECD諸国の多くの国で就学前教育の教員は一人当たりGDPよりも高い額の給与を受け取っているが、日本はそうではなく、OECD諸国の中でも低い方に分類される。

 

 

スライド8

 

スライド9

 

スライド10

 

 

上の図6・7・8は初等・前期中等・後期中等教育の教員給与を図5と同様に表したものである。ここ10年で日本は教員給与の額を10%以上下げており、他国との差が縮まってきたものの、依然として日本は、これらの教育段階の教員給与が平均よりも高い。

 

しかし、教育段階が上がるに従ってその順位を落としている。これは、日本は初等・前期中等・後期中等教育でほぼ同水準の教員給与を支払っているが、OECD諸国の中には教育段階が上がるに従って教員給与の水準を上げている国があるためである。

 

[*7]一般的に学校の増築・新築を必要とし、資本支出も伴う高コストな選択肢であるが、日本の少子化状況を考慮し、本稿では資本支出への影響を無視して議論を進める。

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.268 

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