福島レポート

2018.06.01

福島第一原発事故による避難指示について

基礎知識

福島第一原発の事故で放射性物質が放出されたため、住民の健康を守るために避難指示などの措置がとられました。事故当日の夜以降、原発からの距離が近い地域から段階的に住民に対して避難指示が出され、2011年4月22日に改めて「警戒区域」と「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」が設定されました。

「警戒区域」は、福島第一原発から半径20kmの区域で、原則として人の立ち入りが禁止されました。福島第一原発の半径20kmより離れた地域でも、空間線量率から年間の積算線量が20mSvに達すると予測される区域は「計画的避難区域」と呼ばれ、1ヵ月以内に避難するよう指示が出されました。

また、福島第一原発からの距離が半径20~30kmで、空間線量率から住民の年間積算線量が20mSvに満たないとされた区域は、「緊急時避難準備区域」と呼ばれ、緊急の場合は屋外に出ない(屋内退避)か避難することという指示が出されました。

2012年4月、福島第一原発からの距離ではなく、空間線量率から推定される年間積算線量に応じた区域再編が行われ、「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の3つに区分されました。

「帰還困難区域」とは、「原発事故後6年を経過しても、空間線量率から推定された年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれがある」とされた区域のことです。この区域には宿泊ができません。立ち入ることは原則的にできませんが、住民の意向に配慮した形での一時立ち入りや、復旧・復興にかかせない事業は手続きを踏んで行えます。

「居住制限区域」は、「2012年3月時点では、空間線量率から推定すると年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがある」とされた区域です。住民の帰還やコミュニティの再生を考え、計画的に除染を行って生活インフラなどの復旧を目指します。

「避難指示解除準備区域」は、「2012年3月時点で、空間線量率から推定すると年間積算線量が確実に20ミリシーベルト以下になる」とされた区域のことです。帰還準備や事業活動のために自由に立ち入りができますが、宿泊は原則として禁止されています。

また、避難指示解除の要件としては、以下の3点が2015年6月の閣議決定で定められました。

(1)空間線量率から推定された年間積算線量が、確実に20ミリシーベルト以下になること。

(2)生活インフラやサービス(医療や郵便など)が復旧できること。また、子どもの生活環境として十分な除染作業が進められること。

(3)各自治体が住民との十分な協議をすること。

県内で政府により避難指示が出されたことのある11の市町村(南相馬市、田村市、大熊町、双葉町、浪江町、川俣町、楢葉町、富岡町、飯舘村、川内村、葛尾村)は段階的に避難指示解除が行われており、現在避難指示解除がされていない地域の面積は福島県全体の2.5%です。(2019.4.10更新)

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