福島レポート

2018.10.18

タイのコーヒーチェーンが国内初出店――川内村の「Cafe Amazon」

遠藤乃亜 / ライター

福島の暮らし

福島県川内村にあるカフェ「Cafe Amazon(カフェ・アメィゾン)」は、2016年11月に、日本第1号店としてオープンしました。Amazonはタイ国内に約1600店舗を抱えるコーヒーチェーンです。川内村のお店では、タイ直輸入の豆を使ったコーヒーやスムージーなどのドリンクのほか、カレーなどの軽食や、地元の人気パティスリーから仕入れるケーキやプリンなどのスイーツも充実しています。

川内村は阿武隈高地の麓にある、人口約2500人の小さな自治体です。2011年3月の福島第一原子力発電所事故を受けて、村役場ごと住民が避難する「全村避難」をしました。2012年1月、健康な生活を再開できる環境であることを確認して、遠藤雄幸村長が「帰れる人から帰ろう」と帰村宣言を出しました。現在は子育て環境整備などに力を入れ、着実に新たな村づくりが進んでいます。

Amazon福島1号店の運営会社は「コドモエナジー」という大阪市に本社がある会社です。この会社はエネルギー関連商品の開発事業をてがけています。光を蓄えて暗闇でも輝くタイル「ルナウェア」の開発、生産で知られています。この製品が内閣総理大臣賞受賞した際、同社は国の担当者から、震災後の生活再建を模索する福島県への進出を勧められました。2014年に川内村に工場を建設し、地元スタッフを雇用することで復興の一翼を担っています。同社はタイとの関係が深く、Amazon福島1号店の川内村への出店につながりました。

2018年8月に、タイ北部の洞窟に13人の少年が閉じ込められる事故がありました。少年たちの救出の際に、川内村の工場で生産された「ルナウェア」が使われました。福島で生まれた製品が海外の子どもを救ったニュースに大きな注目が集まりました。川内村は震災と原発事故からの復旧・復興に向けて、国内のみならず海外からも多大な支援を受けました。復興が進むにつれて、福島発の製品や技術、情報が国内外で活躍する機会が増えると期待されます。

「Cafe Amazon福島1号店」(http://amazon-cafe.jp/)は国道399号線沿い、JA福島さくら川内支店のすぐ近くにあります。営業時間は10:00~19:00。また近隣にある「蕎麦酒房 天山」(http://komatsuya-tenzan.jp/tenzan_guide.html)では美味しい手打ち蕎麦が楽しめます。