福島レポート

2021.06.22

全国新酒鑑評会で福島県が「8連覇」

遠藤乃亜 / ライター

福島の暮らし

2021年の「全国新酒鑑評会」で、福島県の金賞受賞数が17銘柄に上り、長野県と並んで日本一に輝きました。福島県が日本一となるのは、最終審査が中止された2020年を除くと8回連続で、一昨年打ち立てた記録をさらに更新しました。

福島県は、海沿いを「浜通り」、東北新幹線が通る福島、郡山市を含む地域を「中通り」、新潟県と接する西側を「会津」の3地域に分けています。それら地域別でみると、10銘柄が会津、7銘柄が中通りでした。

この鑑評会は1911年(明治44年)に始まり、これまでに109回開かれています。審査項目は主に香りや味で、蔵元の技術レベルを測ることができます。出品は一つの蔵元につき一つの銘柄に限られ、各蔵元の渾身の1本。都道府県の酒造りの総合力の目安と言ってよいでしょう。今年は、全国から821銘柄が出品され、そのうち約25%に当たる207銘柄が金賞に輝きました。

日本一に輝き続ける理由のひとつは、蔵元同士の切磋琢磨と言われます。福島県では、1993年に職業訓練校「福島県清酒アカデミー職業能力開発校」が開設されました。県の酒造組合が運営し、現在、多くの卒業生が酒造りの最前線で活躍しています。

アカデミー設立から13年後の2006年、89回目の全国新酒鑑評会で、福島は初めて日本一に輝きました。前例に頼ることなく、スーパースターが偶然生まれたわけでもありません。ただただ互いに競い高めあい、一人一人が高い成果を残す――。福島の日本酒が全国一を獲得した背景に学ぶものは少なくありません。

みずみずしい果物のような香り高い酒から、食事にあわせやすい味わいの酒、燗につけてふくらむ酒など、酒造りの匠が醸す逸品を、今年も楽しめそうです。

参考リンク
●「令和2酒造年度 全国新酒鑑評会入賞酒について」(酒類総合研究所)
https://www.nrib.go.jp/data/kan/shinshu/award/R02.html
●「令和2酒造年度全国新酒鑑評会において史上初の「金賞受賞数8回連続日本一」達成!」(福島県庁)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/32031c/20210521sake.html