福島レポート

2022.06.01

福島第一原発事故後の除染の規模は?

基礎知識

東京電力福島第一原子力発電所(以下福島第一原発)の事故によって放出された放射性物質は、福島県はじめ東北、関東一円に拡がりました(除染特別地域・汚染状況重点調査地域の合計は約25,000㎢、居住人口約700万人)。これほど広範囲に放射性物質が拡がったのは、日本では初めてのことです。そこで国は、世界的に前例のない大規模な除染事業を行いました。

環境省は、2011年8月に成立した「放射性物質汚染対処特別措置法」に基づいて、関係法令やガイドラインなど、除染事業に必要な制度や体制を整えました。

除染特別地域(事故後1年間の積算線量が20mSvを超えるおそれがあるとされた区域および福島第一原発から半径20㎞圏内の区域。国が直接除染を行う)の除染は、2011年12月に避難指示が出た区域の役場などの拠点からはじまり、2017年3月末まで行われました。除染作業にあたった作業員はのべ1300万人以上です。

汚染状況重点調査地域(0.23μSv/時以上の地域を含む市町村。市町村が中心となって除染を行い、国はそれを財政・技術の面でサポートする)の除染は、2011年4月頃から住民による自主的な除染をきっかけにはじまり、住民の要望を受けた市町村が、学校や保育園、幼稚園、公園などの除染をはじめました。2012年4月からは市町村の作成した除染実施計画に基づいて除染が行われ、2018年3月末まで続きました。この除染作業にあたった作業員はのべ1700万以上にのぼりました。

面的な除染は2018年3月末までに、帰還困難区域(年間積算線量50mSv以上で、事故後5年を経過しても年間積算線量が20mSvを下回らない可能性がある地域)を除く8県100市町村のすべてで完了しました。その後も、必要に応じて個別にフォローアップ除染が行われています。

2022年5月現在、帰還困難区域以外のすべての避難指示が解除されています。また、帰還した住民の年間の追加被ばく線量は概ね1mSv以下であることもわかっています。

除染では、放射性物質を含む土や側溝の汚泥、草木や落ち葉などを取り除き、フレコンバッグなどの容器に入れていきます。この量は約1400万㎥(東京ドーム11杯分)と推計されています。

参考リンク

東京電力福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質汚染の除染事業誌(環境省)
http://josen.env.go.jp/archive/decontamination_project_report/

放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料令和2年度版(環境省)
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/r2kisoshiryo/r2kisoshiryohtml.html