福島レポート

2018.05.12

魚の体内で放射性物質は濃縮、蓄積しないのか?

基礎知識

福島の魚の体内で、放射性物質は濃縮されたり、蓄積したりしているのでしょうか?

海水・淡水や餌に含まれる放射性セシウムは、魚の体内取り込まれた後、カリウムと同じように排出されます。

海産魚に含まれる放射性セシウムは、魚の種類によって程度に差があるものの、海水中の放射性セシウム濃度の5倍から、最大で100倍程度まで濃縮されることが報告されています。しかしそれと同時に、海水やエサなどから取り込んだ放射性セシウムは、たとえ濃縮されても長期間蓄積されることはありません。

海水魚の体の中に取り込まれた放射性セシウムは、海水中に含まれる他のミネラルとともに、50日程で半分が魚の体の外に排出されます。これはそもそもの魚の体の仕組みによるものです。

このように比較的速やかに(放射性セシウムを含む)体内のミネラルの循環が行われているため、海水中の放射性セシウムの濃度が低下すれば、それに比例して魚の体の中の放射性セシウム濃度も低下します。

そもそも海水中の放射性セシウム濃度がすでに1ベクレル/Lを下回っているということもあり、海産物は9割以上が検出限界値未満(平成28年度第3四半期)となっています。

淡水魚については、ミネラルを保持しようとする機能が働くため、海産魚に比べて放射性セシウムの排出に要する時間が長くかかります。しかし、淡水魚も海産魚と同様、環境中の放射性セシウム濃度の低下とともに、体内の放射性セシウム濃度も低下します。

徐々に淡水魚の体内の放射性セシウムが排出され、またその後新たに放射性セシウムを取り込んでいないこともあり、淡水魚においても基準値を超えるものは年々少なくなってきています(平成27年度は全国で14検体のみ)。(2019.3.12更新)

●参考リンク

水産物についてのご質問と回答(放射性物質調査)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/Q_A/index.html