確率的影響と放射線防護

放射線は人の健康に影響を及ぼすことがあります。放射線防護では、放射線が人の健康に及ぼす影響を、「確率的影響」と「確定的影響(放射線組織反応)」とに分類しています。このうち確定的影響には「これ以下なら影響が生じない・これ以上なら影響が生じる」という閾(しきい)値があり、閾値以上では放射線の線量が増えるほど症状が強くなります(参考リンク:「確定的影響としきい値」https://synodos.jp/fukushima_report/21573)。確率的影響は、がん(白血病を含む)や遺伝病などを引き起こす影響のことを指します。

 

原爆投下の被害を受けた広島や長崎において、ほぼ70年にわたり10万人規模の人たちを対象とした調査が継続的に行われています。この調査によると、およそ200ミリシーベルト~2000ミリシーベルトの範囲では、放射線を原因とした発がんリスクがほぼ線量に比例して増加することがわかっています。

 

現代の日本人の2人に1人は、一生のうちになんらかのがんに罹患するといわれています。 がんの原因は、加齢をはじめとし、感染症や遺伝、生活習慣など無数に存在します。100ミリシーベルトよりも低い線量では、これら放射線以外の原因によるがんの発生率(自然発生率)の増減の方が大きく、放射線によるがんの発生率が増えているかどうかを、統計上検出することは困難です。広島や長崎における調査でも、がんの自然発生率の増減に埋もれてしまい、100ミリシーベルト以下の放射線被ばくによる発がんの増加は確認されていません。

 

しかし、100ミリシーベルト以下の線量であっても、放射線量と放射線被ばくによる発がんが、200~2000mSvの領域と同じ比例関係であると仮定して(「LNTモデル」といいます)、放射線防護の方策を立てたり、放射線防護の方法のうち最適なものが何かを選択したりしています。つまり、「低線量の確率的影響」とは、LNTモデルによって評価される仮想の健康影響です。(2018.9.20更新)

 

 

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