『自由か、さもなくば幸福か? 二一世紀の<あり得べき社会>を問う』(筑摩選書)/大屋雄裕
アマゾンによってほぼ外れのない「おすすめ商品」が紹介される。街中のいたるところに監視カメラがセットされている。ジョージ・オーウェルが監視社会の恐怖を描き出した『一九八四年』よりもはるかに高度な情報技術と監視の網の目の世界で生きる私たちは、しかし、あれほどまでの恐怖を感じながら生きているのだろうか?
自由と幸福の両立可能性という古典的な問題を考える本書は、自由と幸福の親和的な関係という十九世紀の夢が、どのようにして破られ、我々はいまどのような問題に直面しているのかを問うている。
情報技術の発展とグローバリゼーションによって国家や企業による監視・支配が強化されるだけでなく、それらを監視・抵抗する手段を個人や組織が得る。それによって噴出した、これまで想定されていた国家の主権を超えた様々な問題。本書ではその例として、国家や企業を監視するだけでなく、人びとを脅かすこともある小さな権力者たちの存在――ウィキリークスやアノニマス――があげられている。
このような、掟に従うか否かではなく、どの掟に従うかというメタレベルの思考を迫られる社会は、領主それぞれが権利と義務、その対象を決め、市民はその中で適切に振る舞うことを要求されていたヨーロッパ中世の構造に非常に近しい。著者は我々が迎えつつある社会を「新しい中世」と呼ぶ。
中世を乗り越え、近代は生み出された。「新しい中世」の中で我々の社会は、いまどのように歩を進めつつあるのか。そしてその先に描かれる新しい社会はどのようなものか。われわれの覚悟が問われている。
著者・大屋雄裕氏と稲葉振一郎氏のトークイベントが4月5日(土)に開催! 詳細はこちら → https://synodos.jp/info/7666/3
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著者・大屋雄裕氏記事一覧 → https://synodos.jp/authorcategory/oyatakehiro
『思春期サバイバル』(はるか書房)/ここから探検隊
思春期はとてもデリケートだ。友人との諍いに心を痛め、身体の成長とまどい、大人達に憤りを感じる。本書はそんな思春期を「サバイバル」するための、多くのヒントがつまっている。
「『やりたいことは何ですか?』って何ですか?」「親って勝手!」「教師ってウザイ」「理不尽な先輩」「友だち関係もムズカシイ」誰もが一度は思ったことのあるモヤモヤを、堅苦しい言葉を使わず丁寧に扱う。
10代の時にこの本があれば! と思ってしまう読者も多いのでは。ぜひ、学校図書館で取り扱ってほしい本だ。
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