グルジア紛争から3年 交錯するグルジアとロシアの内政・外交事情 

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「隣国」としての生き方を模索すべき両国

 

グルジア紛争から3年経った現在においても、グルジアとロシアの関係は非常に厳しい状態にあり、またそのはざまでロシアとの「リセット」を推進したい米国がジレンマを抱える様子が強くうかがえる。

 

本問題の解決には長い時間が必要となりそうであるが、それは全当事者が覚悟をしていることである。たとえば、グルジアの野党政治家のアラサニアは、解決には長い時間がかかるが、その間に、グルジアはまず自由化からはじめ、政治的にも経済的にも魅力的な国になって、アブハジアと南オセチアがグルジアを魅力的だと感じるようにならなければならないと主張する。

 

そして、グルジアの著名な研究者であるロンデリは、次の3年のありうべきシナリオについて、「最悪のパターンはグルジアに親露的体制が生まれ、その政権とロシアが全コーカサスを支配することであり、最善のパターンはグルジアがロシアの妨害なしに発展しつづけているという状態だ」と述べる。つまり、少なくとも3年ではアブハジアと南オセチアの奪還は困難だと考えているということだ。

 

それでもロシアは早期に停戦合意に応じるかたちで軍をアブハジア、南オセチアから撤退させ、そして両国は無条件で話し合いをつづけていくことで、頂点にまで達した相互不信を緩和していくべきである。また、地域の平和や安定を脅かすような軍事行動やテロ、そしてそれらの脅迫を相互にやめることも求められている。さらに、グルジア紛争が大統領選挙や政権維持のために利用されている雰囲気があるが、このような国際的影響の大きい重要な問題を国内の政争の具にするべきでは絶対にない。

 

本問題の解決にいくら時間がかかったとしても、グルジアとロシアが隣国関係にあることは変わらない。両国は、まず地域の安定と自国の発展のために、相互に「隣国としての生き方」を模索し、その上で時間をかけて信頼を構築し、問題の真の解決を目指していくことが現実的でありそうだ。

 

 

推薦図書

 

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拙著の紹介となり、手前味噌で恐縮であるが、本書は、冷戦終結後の米ロ関係を中心とした国際構造の推移と、グルジア紛争の勃発について最初に論じた後に、グルジア紛争後の世界の状況を旧ソ連圏からみたかたちで分析したものである。その多くの部分は、このシノドス・ジャーナルに掲載した原稿をもとにしているが、その後の状況の変化などについてはすべて加筆修正を行っている。グルジア紛争を考えるうえでは、4レベルからの視野が必要であり、また紛争後の状況も国際情勢と密接な関係があることを、本書からぜひ知っていただきたい。その前提がおさえられると、本拙稿もずいぶんと理解しやすくなると考えている。

 

 

 

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