慰安婦問題で、日本が国際的な理解を得るためには、何が必要なのか?――TBSラジオ「荻上チキ・session-22」

電子マガジン「α-synodos」では、TBSラジオとコラボレーションし、「荻上チキ・Session-22」の文字起こし適宜掲載することになりました。今回は第一弾として歴史学者の和田春樹氏、政治学者の木村幹氏がゲストとして参加された、2013年8月1日放送分「慰安婦問題で、日本が国際的な理解を得るためには、何が必要なのか?」より一部を抄録いたします。(メインパーソナリティ・荻上チキ/アシスタント・南部広美)

 

 

慰安婦問題に向き合う

 

荻上 橋下市長の発言や、アメリカ・カリフォリニア市で在米韓国人が慰安婦像を設置するなど、慰安婦に関する話題が相次いでいます。今日は、これから慰安婦問題についてどう向き合えばいいのかについて議論していきたいと思います。

 

まず、アメリカ国内で慰安婦像を設置されたことについて、和田さんはどうお考えですか。

 

和田 私は、慰安婦の像をつくるのであれば、日本としては賛成するのがいいと思います。90年に韓国側から6項目の要求が出た時に慰安婦像の設置は入っていましたし、アジア女性基金の中でも検討をしたことがあります。政府が責任を感じて、国民としても償いをすることをしてきたわけですから、苦しんだ方たちに対してお詫びの気持ちを込めた慰霊碑を建てるということはよろしいと思います。

 

しかし、現在の状況を見ていると、政治的な動きに感じられますね。政治的な動きが韓国人によってなされて、それに対して日本の外交官や在米日本人が反対するということになっており、これが対立を広げることになっていますよね。その部分に関しては、私は良いことだとは思いません。事実関係が違うのであれば、在米の大使館に事実関係を正確にしてくれと提言し、静かに対応すべきではないかと思います。

 

荻上 木村さんはいかがでしょうか。

 

木村 そうですね。一番感じるのは、もはや慰安婦問題が日韓だけの問題ではないということですね。日韓の間では教科書問題や竹島問題など様々な問題があるわけですが、たとえば、竹島の問題に関しては、日韓両国のようなそれなりに国際社会で影響力がある国が、どうしてあんな小さな島で争うのか、とアメリカやヨーロッパでは冷ややかに見られたりします。

 

意外に思われるかもしれませんが、こういった問題に比べて、慰安婦問題に関する海外の人達の注目はずっと大きい。和田先生もおっしゃられましたが、そこでは日本や韓国の国や社会のイメージが問われている。ある意味、観客のいる紛争です。その点については、慰安婦像についての話はまさにその典型だと思います。

 

だからこそ、銅像設置それ自体よりも、この銅像設置に至るまでの話がどのように語られているか、また、銅像を設置しようとする動きに対する日本側のリアクションが現地でどのように理解されているか、といったことも考えなければなりません。つまり、「第三者の目」を意識しながらこの問題を考えていく必要がある、ということになります。国際紛争を考える上ではいつもこの「観客」、あるいは「第三者の目」は重要なのですが、その点を我々に改めて考えさせてくれる良い機会を与えてくれる問題だと思います。

 

荻上 「自分たちが解釈した『事実』を主張し、国際世論が理解してくれれば、今の議論は変わるのでは」というのが、慰安婦をめぐる日本の一部のムードとしてあるように感じられますが、それでは通用しないということでしょうか。

 

木村 慰安婦像を設置しようとしている在米韓国人の運動が誰に何を訴えようとしているのか、そしてそれを第三者がどのように受け止めているのか、それに対して、日本側が出しているカードや情報が適切に機能しているのか、を考えなければならない、という話です。言いたいことを言いたいように言っているだけでは、必ずしもこちらの主張が相手には伝わらない、ということを真剣に考える必要があると思います。

 

 

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