「子ども兵士」の背景と実情 ―― なぜ子どもが兵士になるのか

おわりに

 

子ども兵士に関しては、子どもの権利条約やパリ原則などの国際的規範が明文化されている。しかしながら紛争国において、国際法主体ではない武装集団と、暴力と貧困にさらされている子どもたちとの間の「需給関係」が成立している中、規範を掲げるだけでは状況を好転できないのも事実である。

 

 

photo5

ウガンダのリハビリ施設で子どもたちが描いた絵。紛争時の経験を描いている。2005年撮影。(写真提供 アフリカ平和再建委員会)

ウガンダのリハビリ施設で子どもたちが描いた絵。紛争時の経験を描いている。2005年撮影。(写真提供 アフリカ平和再建委員会)

ウガンダのリハビリ施設で子どもたちが描いた絵。紛争時の経験を描いている。2005年撮影。(写真提供 アフリカ平和再建委員会)

ウガンダのリハビリ施設で子どもたちが描いた絵。紛争時の経験を描いている。2005年撮影。(写真提供 アフリカ平和再建委員会)

ウガンダのリハビリ施設で子どもたちが描いた絵。紛争時の経験を描いている。2005年撮影。(写真提供 アフリカ平和再建委員会)

 

 

地域社会に受け入れを拒否されたり、偏見の目で見られたりすることで、居場所を得られなくなった元・子ども兵士の中には、再び武装集団に身を投じる者もいる。その結果、子どもたちは「都合のいい消耗品」であり続け、また紛争の拡大や長期化にもつながっていく。このことはひいては社会開発の遅れにも影響していくのである。

 

紛争が続く限り子どもは好むと好まざるとにかかわらず兵士とされ、子ども兵士がいることで紛争が長期化するという悪循環。今この瞬間も、コンゴ、シリア、ミャンマーなどの国々で、子どもたちは政府軍や反政府勢力によって軍事的に徴用されている。子ども兵士問題の解決とは、極論するならば、紛争をなくすしかないのである。

 

 

参考文献・映像資料

 

アフリカ平和再建委員会活動レポート2005年7月号「ウガンダ―子ども兵士リハビリ施設現地調査」

アフリカ平和再建委員会活動レポート2005年11月号「ストップ子ども兵士アクション-元・子ども兵士の来日講演」

アフリカ平和再建委員会活動レポート2007年12月号「停戦したウガンダ北部への医療物資支援報告」

Child Soldiers International, “Louder than words – An agenda for action to end state use of child soldiers”, 2012.

レイチェル ブレット/マーガレット マカリン『世界の子ども兵―見えない子どもたち』新評論(2002年)

P.W.シンガー『子ども兵の戦争』日本放送協会出版(2006年)

小野圭司「子ども兵士問題の解決に向けて―合理性排除に向けた検討と今後の課題―」防衛研究所紀要第12巻第1号(2009年12月)

NHKスペシャル「チャイルドソルジャー―リベリアの少年兵」(1999年)

映画『Invisible Children』(2003年)

 

 

 

 

1 2 3 4
シノドス国際社会動向研究所

vol.277 

・坂口緑「生涯学習論にたどり着くまで──人はいかにして市民になるのか」
・平井和也「ジョージ・フロイド殺害事件から考える米国の人種差別問題」
・野村浩子「日本の女性リーダーたち」
・安達智史「「特殊」を通じて「普遍」を実現する現代イギリスの若者ムスリム」
・太田紘史「道徳脳の科学と哲学」
・石川義正「「少女たちは存在しない」のか?──現代日本「動物」文学案内(2)」