過去を生きた人びとに寄り添って――「島」から学ぶ、歴史社会学

歴史社会学がわかる! 高校生のための6冊

 

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前者は、いわずと知れた歴史社会学の古典です。人びとをたえざる利潤追求・資本蓄積へと駆り立てる資本主義という制度が、なぜプロテスタントのなかでも最も禁欲的な宗派であるカルヴァン派が強いイギリスで最初に発達したのか、ブルジョワジー(有産階級)の信仰にかかわる精神構造と行為様式に着目しながら、緻密かつ大胆に解き明かしています。後者はこのインタビューでも簡単に解説した、「伝統的支配」や「合法的支配」についての歴史社会学的な分析です。「合法的支配」に関する議論は、有名なウェーバーの近代官僚制の定義と関連しています。

 

 

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1848年から翌年にかけて西欧で同時多発的に革命が起こります。フランスでは、革命で最も大きな役割を果たしたプロレタリアート(もたざる者)たちがブルジョワジー(有産階級)側の勢力によって弾圧された後、男性普通選挙制度に支えられた議会制民主主義が成立します。だが、この民主主義体制はまもなく、ブルジョワジー(有産階級)諸派の代表を自任する政治集団間の抗争によって空洞化していき、ルイ・ボナパルト(ナポレオンIII世)による帝制を呼び込んでしまうことになります。そうした過程を分析した歴史社会学的著作の古典のひとつであり、マルクスの著作のなかで最もとっつきやすいもののひとつです。

 

 

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著者の専攻は「社会学」ではなく「歴史学」(社会史)ですが、近代日本を歴史社会学的/社会史的に考えるさいに、まず読むべき著作です。幕藩体制後期から明治期にかけて、エリートや知識人が主導する近代化・文明化のプロジェクトの底流で、「民衆」の世界で何が起こっていたのか?同時期の農民の抵抗運動は、「勤勉」や「倹約」を是とする「通俗道徳」に支えられていたために、結果的に幕藩体制を崩すような運動に成長することはできず、近代日本国家のエリートたちもこうした「通俗道徳」を積極的に取り込んでいきました。しかし、こうした「通俗道徳」を基盤とする農民の抵抗運動は、幕末期から明治期にかけて何度か、国家と決定的な敵対関係に入ることがありました。かれらの抵抗は、エリート・有産階級側の激しい弾圧によって潰されていきます。近代日本国家が何を取り込み、何を鎮圧しながら形作られていったのかを、痛いほどよく表した著作です。

 

 

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著者の専攻は同じく「社会学」ではなく「社会思想史」ですが、日本/東アジアの近代を歴史社会学的/社会史的に考えるさいに、まず読むべき著作です。東アジアは、世界市場・資本主義・主権国家・国民国家など、それぞれ異なるルーツをもつ近代的な諸制度が、19世紀に一気に押し寄せた地域です。そのなかで日本国家は、西欧産の諸制度を積極的に模倣して主権国家・国民国家の体裁を急速に整備し、資本主義的生産体制を養成するとともに、さらに東アジア諸地域への植民地主義的介入を進め、覇権国家としての地位を築いていきます。そして、アジア太平洋戦争で日本は敗戦国となり帝国も崩壊したにもかかわらず、日本は東アジアの冷戦秩序のなかでいち早く高度経済成長を許され、先進国としての特権的地位を確保し続けました。このような過程で東アジアの近代のなかに幾重にも刻まれてきた暴力や摩擦・亀裂に向き合うために、わたしたちが何を考えるべきなのかというヒントが、この本にはつまっています。

 

 

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今回のインタビューでお話した内容に最も関連が深い拙著を、1冊だけあげておきます。もとになっているのは博士論文ですが、高校生でも読める平易な文体に書き直してありますので、ぜひ手にとってみてください。

 

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.2019.4.15 

・打浪文子「知的障害のある人たちと「ことば」」

・照山絢子「発達障害を文化人類学する」
・野口晃菜「こうすれば「インクルーシブ教育」はもっとよくなる」
・戸谷洋志「トランスヒューマニズムと責任ある想像力」
・濵田江里子「「社会への投資」から考える日本の雇用と社会保障制度」
・山本章子「学びなおしの5冊 「沖縄」とは何か――空間と時間から問いなおす」
・鈴木崇弘「自民党シンクタンク史(6)――設立準備期、郵政民営化選挙後」