世界は経済で決まる!?

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―― マクロ経済学ってなんの役に立つんですか?

 

国民経済について考えるときマクロ経済学の知識が役立ちます。国民経済と関係の深い経済政策の是非を問うとき、損と得、希望とリスクを比較しなくてはいけません。そのためにも、ある経済政策を実施した場合に考えられる効果やリスクを知っておく必要がある。

 

さらにマクロ経済学を勉強していくと、次第に「物事には必ず裏表がある」という考え方が身につくようになります。例えば、服を買ったとき、ただ服を手に入れたのではなく、その分のお金を手放しています。すべての取引はつねに双方向的なものです。

 

またテレビでよく「デフレから脱却しなくてはいけない」といったニュースを目にすると思います。デフレは物価が下がること、反対にインフレは物価が上がることを指すのですが、一見すると、物価が下がるということはお小遣いで買えるモノの量が増える、嬉しいことのように思えますよね。

 

でもそのお小遣いをくれる両親が会社に売っている「労働力」の値段も下がっているわけです。皆さんのご両親や自身の収入が減ってしまっては元も子もありませんよね。自身は買い手であると同時に売り手でもあるという点は、つねに意識しておかなければならない。

 

マクロ経済学を勉強していると、物事の裏表やその関係について考える思考法が身につくようになります。これは社会に出てからとても役に立つ思考法です。

 

 

―― 他に経済学がどんなことを考えるのか教えてください。

 

経済理論の問題整理力が典型的にみてとれるのが、経済学の黎明期である1800年代にイギリスの経済学者・デヴィッドリカードがまとめた「比較優位説」です。

 

たいていどの学年にも、顔も頭も人当たりもよく、成績はトップクラス、部活ではエース級で、演説もうまい同級生が一人はいるものです。仮にA君としましょう。そしてA君に比べると何をとってもいまいちのB君もいる。でも学級委員も図書委員も生徒会長もと、何から何までA君に頼ることは出来ません。A君の体は一つですし、時間の制約があります。こんなとき、A君にはA君がもっとも得意とすることを任せて、B君はB君がもっとも得意とすることを任せると、もっとも効率的に仕事ができる、と考えるのが「比較優位説」です。

 

もう少し具体的に説明しましょう。

 

例えばぼくが一本の原稿を書くのに必要な時間を2時間、研究室の掃除を終えるのに2時間かかるとしましょう。一方、小島さんが原稿を書くのに必要な時間が10時間、掃除を終えるために必要な時間は5時間だとします。絶対的な比較をすれば、執筆も掃除もぼくの方が早く済みますよね。

 

でもだからといって、ぼく一人で執筆と掃除をする方が効率的かというとそうではありません。よく考えてみてください。ぼくの執筆と掃除に必要な時間には1対1の関係があり、小島さんの場合は、2対1の関係がありますよね。小島さんが原稿を1本書くために必要な時間を掃除にあてた場合、研究室を2部屋掃除できます。ということは、小島さんがぼくの研究室を掃除してくれたら、ぼくは掃除する手間が省けた分、原稿をたくさん書ける ―― このような分業を通じて小島さんとぼくとの合計の作業量は増加するというわけです。

 

それぞれが相対的に手間のかからない方を選んだほうが、全体的にもっとも効率的になる、ということです。ぼくと小島さんに限らず、どんな2人のあいだにも、いずれかの仕事において片方が比較優位を持っているはずです。どんな人にも、必ずその人にとって優位な経済活動があるはず。これは人生訓においても重要なことかもしれません。

 

比較優位についてもっと詳しく知りたいという人は、安藤至大さんがお書きになった「誰にでも出番がある社会を実現するために」を読んでみてください。

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.264 

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