2022.06.27

黒田日銀総裁バッシングの問題点

柿埜真吾 経済学

経済

発言を恣意的に切り取った報道

日本銀行の黒田東彦総裁がきさらぎ会での講演【注1】の中で「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言したことへの批判が広がっている。総裁は庶民の苦しみをわかっていない、総裁は買い物をしたことがあるのかといった怒りの声が上がり、黒田総裁も謝罪に追い込まれた。与野党の政治家からも批判が相次ぎ【注2】、共同通信の世論調査でも黒田総裁を不適任とする回答が6割となった【注3】。黒田総裁は猛烈なバッシングを受けている状況である。

しかし、黒田総裁がどんな文脈で値上げ許容度が高まっていると発言したのか、読者は正確にご存じだろうか。怒りに身を任せる前に、きちんと情報を確認してほしい。

きさらぎ会での黒田総裁の講演は、現在の資源高を乗り越えるには賃金上昇が必要であることを訴えたものである。黒田総裁は、資源高の下で消費者が値上げを受け入れているのだから、賃上げが必要であり、日銀は企業が賃金を上げることができるような環境整備に取り組んでいきたいと述べている。一連の報道は前半だけを恣意的に切り取ったものである。

黒田総裁が、消費者が値上げを受け入れていると述べたのは、「馴染みの店で馴染みの商品の値段が10%上がったときにどうするか」という問いに対する家計の回答を調査した東京大学の渡辺努教授の研究に基づいたものである。渡辺教授の研究によると、昨年8月の調査では馴染みの店が馴染みの商品を10%値上げした場合、「他店に移る」が半数以上だったのに対し、今年4月の調査では「値上げを受け容れ、その店でそのまま買う」が半数以上を占めるようになっている。黒田総裁はこの調査を紹介し、「家計の値上げ許容度が高まっている」と述べたが、これは単なる客観的データの説明である。

こうしたデータを踏まえた上で、黒田総裁は、「日本の家計が値上げを受け容れている間に、良好なマクロ経済環境を出来るだけ維持し、これを来年度以降のベースアップを含めた賃金の本格上昇にいかに繋げていけるかが、当面のポイントである」とし、賃上げの必要を強調したのである。前後の文脈から見ても、黒田総裁の発言のポイントがどこにあるかは常識的に言って誤解しようがない。この発言を「日銀総裁「家計が値上げを受け入れている」」【注4】などという見出しで要約するのは極めてミスリーディングである。

ところが、一部で良識ある意見【注5】も見られるものの、大半のメディアは、値上げ許容度とか値上げを受け容れているという部分だけを報じ、庶民の怒りを煽る報道を繰り返すばかりで、黒田総裁の発言の文脈を完全に無視している。黒田総裁自身が国会答弁の中で、批判された発言は「賃金上昇の重要性を強調する文脈の中で言及したもの」【注6】であると説明しているにもかかわらず、黒田総裁の弁明は殆ど報じられていない。黒田総裁が何度も強調している賃金上昇が必要という肝心な部分を伏せた報道は無責任であり、たちの悪い印象操作といわれても仕方がないのではないだろうか。

値上げ受け入れず馴染みの店の店員は低賃金でよいのか?

「#値上げ受け入れてません」【注7】などと黒田総裁に反発する方々には是非一度冷静になって考えていただきたい。あなたが馴染みの店の値上げを受け入れないなら、馴染みの店の、いつも話している店員さんの給与が上がると思いますか?

逆に考えてみてもよいだろう。お客様があなたの会社の商品の値上げを受け入れないならあなたの給与が上がると思いますか?

最近の資源高による実質的所得低下を相殺するには従来以上に賃上げが重要だが、消費者が値上げを受け入れないなら賃金を上げるのは難しいのは当然である。生産性を大幅に上昇させる技術革新でもあれば別だが、一般的には給与は販売している商品の価格が上がらなければ簡単には上がらない。生産性を引き上げるような技術革新もデフレの中で需要不足が続く環境では生まれようがない。日本国民が値上げを受け入れず、値下がりするまで購入を控えるデフレ的な行動様式を続ける限り、賃金が上がるはずがない。

従来の日本では消費者がデフレを予想し、値上げを受け入れないため、企業は賃金を引き下げたり非正社員を雇ったりして賃金コストを下げて製品価格を引き下げ、低賃金の消費者はますます消費しなくなるというデフレと低賃金の悪循環が続いてきた。日本が長期停滞から抜け出すには、黒田総裁が指摘するように、「賃金と物価が、ともに相乗的に上昇していく好循環を創り出す必要」がある。インフレで物価が上がるというと、自分の賃金はそのままで物価だけが上がると思っている人が少なくないようだが、総需要が拡大する持続的なインフレの下では物価も賃金もともに上昇するのが普通である。黒田総裁が目指しているのは、諸外国では当たり前の経済の実現である。

黒田総裁は、就任以来、大胆な金融緩和により雇用を改善させ、人手不足経済を作り出すことで、賃上げを後押しし、物価と賃金の上昇を促してきた。労働力調査によれば、黒田総裁の就任した2013年3月以来2022年4月現在までに就業者数は429万人、雇用者数は538万人も増えている。それまで減少基調だった正社員数も2013年第1四半期から2022年第1四半期までに280万人も増えている。これに伴い、雇用者報酬も2013年第1四半期から2022年第1四半期までに名目で15.1%、実質で7.9%増加している。

足元ではコロナ禍で雇用は伸び悩んでいるが、コロナ禍という強い逆風の中でも我々の暮らしが何とか持ちこたえているのは黒田総裁の功績なしに考えられない。黒田総裁は賃上げの重要性をこれまでも強調してきたし、金融緩和で雇用改善と賃上げを支援してきた。今回の発言はそうした経緯を踏まえて理解すべきである。

金融引き締めでは資源高は解消しない

黒田総裁は現在の資源高による物価上昇が望ましいと言っているわけではない。原油高や穀物価格高騰は供給ショックであり、日銀の意図してきた需要の回復による物価上昇ではない。だが、値上げを許容する動きが広がれば、その間に良好な雇用環境を整備して、災い転じて福となし、賃金の上昇につなげていくことも可能だと指摘している。黒田総裁の講演を偏見なしに読むならば、「黒田総裁は“家計が値上げを受け入れている間に賃金の本格上昇にいかに繋げていくか”と言ったわけで、超真っ当な考え方ではないか」(ジャーナリストの佐々木俊尚氏) 【注8】と感じるのが普通ではないだろうか。

メディアは食品価格やガソリン価格高騰を金融政策のせいにしているが、これは国際的な供給不足によるもので、価格高騰は世界的に起きている。金融引き締めで原油や穀物の価格を下げるのは無理な相談である。個別商品の相対価格はそもそも全体の物価に影響する政策である日銀の金融政策でどうにかできる性質のものではない。今、金融引き締めに踏み切れば、ガソリンや食料の価格は確かに下がるが、景気の悪化で給与も下がり、相対的なガソリン価格、食料価格は相変わらず高止まりしたままになるだけである。

IMFによれば、日本の4月のインフレ率はデータのある90か国中、下から6番目で【注9】、ゼロコロナで混乱が続く中国や香港に次ぐ低さである。日本のエネルギーと生鮮食品を除いた物価は0.8%しか上がっておらず、現状はインフレではなく資源高、穀物高と呼ぶのが妥当である。現在の原油高と食料価格上昇による物価上昇は一過性の現象であり、他の財・サービスの価格にはむしろ下落圧力になる。ガソリンや食料が値上がりすれば、それ以外のものに払うことができるお金は少なくなるからである。日銀が金融緩和を止めてしまい、消費者も値上げを決して受け入れないなら、原油高と食料価格高騰が一服すれば、物価は再び下落し、全ては元の木阿弥である。日本国民がデフレと低賃金が永久に続くことを望むならばそれでも仕方がないが、到底そうは思えない。

議論の劣化しか招かない個人攻撃

賃金上昇と日本経済の景気回復を願う黒田総裁の意図は誤解しようがないし、発言の意図は明確である。専門的な発言を文脈から切り離して面白おかしく報道し、黒田総裁が「庶民感覚のない」人物であるといった勝手なイメージを作り上げるのは中傷に等しい。

著名人からも黒田総裁への批判や揶揄が相次いでいるが、「日銀の黒田総裁が「家計が値上げを受け入れている」とぬかしゃあがった。目の前にいたら「もういっぺん言ってみろ」と怒鳴りつけるところだ」(立川談四楼氏) 【注10】といった感想は、黒田総裁の発言全体を理解した上での発言とは到底思えないし、控えめに言っても乱暴で品位に欠ける。

百歩譲って、仮に黒田総裁の進める政策が間違っているとしても、黒田総裁への個人攻撃や中傷は卑怯なやり方である。経済政策の論争では様々な立場があるが、どの立場であれ、自分が正しいと信じる政策を進め、国民の生活をよくしたいと考えていることでは変わりがない。相手の意図を悪意にとって、道徳的善悪の問題として論じるのは不毛である。

黒田総裁が基本的に買い物は妻に任せていると述べたことを批判する記事も出ているが【注11】、こうしたことは、真偽はどうであれ総裁としての資質とは全く関係がない。私たちが総裁に求めるのは専門的能力で、聖人君子ではないはずである。元経産官僚の宇佐美典也氏は一連の報道について、「総裁は政治家ではない。国民に好かれるような存在である必要はないし、庶民感覚のようなものを求める必要があるのか」と述べているが、卓見である【注12】。

物価はマクロ経済的な指標であり、日銀総裁には経済統計を正確に読み解く能力と経済学の専門知識が求められる。日々のスーパーの買い物でマクロ経済が語れるはずがない【注13】。むしろ経済全体と個人的経験を区別しないような幼稚な発想で政策を実施されてはたまったものではないだろう。黒田総裁があまりスーパーで買い物しないというのはエリートだからでも金持ちだからでもなく、単純に日銀総裁は激務で、深夜まで仕事が続くのが普通なので、総裁が自分でスーパーに行く機会が乏しくなるというだけのことだろう。それは特別なことではないし、普通の会社員でもそうした経験はある。長時間労働は問題だが、日銀総裁に特有の問題ではなく、ことさらに咎められるべきではない。いずれにせよ、黒田総裁の私生活を暴き立てることは、政策の是非に全く無関係である。

そもそも、黒田総裁を「庶民感覚がない」と批判する評論家諸氏、政治家諸氏は、常に自分で買い物し、庶民的な暮らしをされているのだろうか。「庶民」には様々な人がおり、統一的な意見などないのだから、絶対正義の「庶民」の代表気取りで勝手な自分の意見を語るのはやめてもらいたい。

もっと議論すべきことはいくらでもある

庶民の味方を気取るならば、黒田総裁の言動をあれこれ攻撃するよりも、議論すべきことはいくらでもあるはずである。例えば、最近の食料価格高騰は世界的な供給不足によるものだが、日本の穀物は元々かなり割高である。言うまでもなくその理由は高関税が安い食品の輸入を阻止しているからである。日本の消費者はコメに国際価格の2~3倍を支払っているし、小麦も国家貿易という不合理な制度で輸入され、割高になっている。OECDによれば、極端な高関税のため、2019~21年の日本の食料の生産者価格は国際価格よりも60%も高い【注14】。金融緩和による物価上昇が庶民を苦しめていると騒ぐメディアが数百%にもなる高関税を全くやり玉にあげようとしないのは何故だろうか。

ガソリン価格に関しても同じことがいえる。ガソリン価格高騰の理由は国際的な原油価格上昇のためだが、元々、日本のガソリン価格の4割は税金であり、割高になっている。温暖化対策として化石燃料への課税には合理性があるが、現行のガソリン税制は温暖化対策の観点からも正当化しがたい。50年近く続く“暫定”税率や消費税の二重課税といった問題だらけの税制は整理が必要である。暫定税率廃止を唱える提案はもう少し騒がれてもよかった。少なくとも、これは黒田総裁への個人攻撃よりもよほど意味がある。

また、電気代が年々上昇している一因は、再生エネルギー賦課金の負担の増大である。国民を苦しめているのは金融緩和ではなく規制と増税である。

2019年に10%に引き上げられた消費税の引き下げは一部野党も主張しているが、諸外国に比べて遅れている景気回復を支えるためにも望ましいのではないか。金融緩和を批判するよりも増税を批判する方がずっと筋が通っているし、庶民の生活を楽にするはずである。黒田総裁の発言をやり玉に挙げるぐらいならもっとやるべきことはいくらでもある。

言葉狩りのコストは小さくない

今回の黒田総裁の発言問題は従来のような、政府高官の私的発言や予定稿にない発言をとらえたものでない点でも異例である。黒田総裁の講演は専門的な内容であり、マスコミが報道しなければ、まず誰も注目しなかったはずである。今回の黒田総裁の発言は、総裁の政策の賛否とは無関係に、常識的に言って問題にすること自体がおかしいものである。

黒田総裁が使った「値上げ許容度」という言葉は特に異常ではないし、普通に考えて、肯定的意味も否定的意味もない中立的な言葉である。こじつけに近い理由で単なる事実の報告が“失言”としてやり玉に挙げられるならば、日銀官僚は、経済情勢の報告でさえ戦々恐々として言葉を選びながらするはめになりかねない。彼らには専門的知見の報告という大切な仕事がある。政治家やコメンテーターではあるまいし、美辞麗句をひねり出す無駄な作業をさせるのは人材の浪費である。黒田総裁の発言を政治争点化する与野党の政治家は自分のしていることの重大さに自覚と責任を持つべきである。今回の報道を契機に、官僚が政治的に反発を招くような事実の報告を躊躇するようになれば、その損失は計り知れない。事実を事実と報告できず遠回しにしか言えないなら、客観的分析は不可能になる。

景気回復が遅れている現状では、金融緩和継続は不可欠であり、黒田総裁の路線は妥当である。長期停滞が続いたこの30年の間で黒田総裁が進めた金融緩和ほど効果が大きかった政策は他にない。黒田総裁は大胆な金融緩和で雇用を劇的に増やした立役者である。ワイドショーの印象論に流されて黒田総裁を批判し金融緩和反対を叫ぶならば、待っているのはさらなる長期停滞である。国民が真偽は何であれスキャンダル報道を簡単に信じ込み、それに政治が左右されるような国では、事なかれ主義を貫き既得権を守って何もしない政治家や官僚ばかりがはびこることになる。その先に明るい未来などあるはずがない。日本をそんなつまらない国にしてよいものだろうか。

【注1】黒田東彦(2022)「金融政策の考え方─「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現に向けて─きさらぎ会における講演」日本銀行,2022年6月6日、URL:https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2022/ko220606a.htm/ 

【注2】「黒田日銀総裁は引き際 立民幹部「格差に鈍感」」産経ニュース,2022年6月13日,URL:https://www.sankei.com/article/20220612-UBVDYB76BRLFTPPQJCVP3U4DLE/

「黒田日銀総裁に苦言=「生活者目線忘れないで」―自民・福田氏」時事通信2022年6月9日,URL: https://www.msn.com/ja-jp/news/politics/e9-bb-92-e7-94-b0-e6-97-a5-e9-8a-80-e7-b7-8f-e8-a3-81-e3-81-ab-e8-8b-a6-e8-a8-80-ef-bc-9d-e3-80-8c-e7-94-9f-e6-b4-bb-e8-80-85-e7-9b-ae-e7-b7-9a-e5-bf-98-e3-82-8c-e3-81-aa-e3-81-84-e3-81-a7-e3-80-8d-e2-80-95-e8-87-aa-e6-b0-91-e3-83-bb-e7-a6-8f-e7-94-b0-e6-b0-8/ar-AAYfi2k?ocid=BingNewsSearch

【注3】「黒田日銀総裁「不適任」6割、値上げ許容度発言に反発-共同調査」ブルームバーグ,2022年6月13日,URL: https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E9%BB%92%E7%94%B0%E6%97%A5%E9%8A%80%E7%B7%8F%E8%A3%81%E3%80%8C%E4%B8%8D%E9%81%A9%E4%BB%BB%E3%80%8D%EF%BC%96%E5%89%B2%E3%80%81%E5%80%A4%E4%B8%8A%E3%81%92%E8%A8%B1%E5%AE%B9%E5%BA%A6%E7%99%BA%E8%A8%80%E3%81%AB%E5%8F%8D%E7%99%BA%EF%BC%8D%E5%85%B1%E5%90%8C%E8%AA%BF%E6%9F%BB/ar-AAYome3?ocid=BingNewsSearch 

【注4】「日銀総裁「家計が値上げを受け入れている」」産経ニュース,2022年6月6 日, URL:https://www.sankei.com/article/20220606-4YGZQSOX5JMGXKTVOT4ZAW3XJI/ 産経の名誉のために言えば、産経は黒田発言を本文中ではきちんと報じている。だが、このような見出しを掲げたのは見識を欠くといわれても仕方ない。見出しだけを読んで本文まで読まない読者は多い。実際、ネット上の黒田総裁批判には、内容から判断して明らかに本文を読んでいないものがみられる。常日頃、産経新聞は左派メディアを切り取り偏向報道と批判するが、日銀総裁の発言ならば切り取って報道してもよいのだろうか。

【注5】特筆すべき例外として、「「日銀総裁に庶民感覚を求める必要があるのか」「発言の意図を庶民に説明するのがメディアの仕事ではないのか」黒田総裁を批判する“ワイドショー的”報道に苦言」Abema Times, 2022年6月8日(URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/c49892d047d88c0dc9b0aac158f059c90c614a7a?page=1&fbclid=IwAR3yDPdThvX1jWxIdC5NO_lO5yPVk15oHDkT9APLu1sJfM_LLlJ8_v0FASI )、「三浦瑠麗氏 立憲議員の国会質問にあきれ「日本全体の議論の質を落としている」(スポニチアネックス)Yahoo!ニュース,6月7日(URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/2e012d8dd8230ed44ee74bbddcc70189cc656a59)、倉山満(2022)「「値上げ許容」発言で謝罪撤回に追いやられた黒田総裁の“功績”」『週刊SPA!』 Yahoo!ニュース,2022年 6月20日(URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/9adf00ec173d094700e084a09c98fa49f7bd1538)。

【注6】「“家計が値上げ受け入れ”を釈明 黒田総裁“賃金上昇の文脈で説明”」FNNプライムオンライン, 2022年6月7日, URL:https://www.fnn.jp/articles/-/371140

【注7】「#値上げ受け入れてません 黒田東彦日銀総裁へ批判ツイート続々」毎日新聞,2022年,6月8日,URL: https://mainichi.jp/articles/20220608/k00/00m/040/083000c 

【注8】「「日銀総裁に庶民感覚を求める必要があるのか」「発言の意図を庶民に説明するのがメディアの仕事ではないのか」黒田総裁を批判する“ワイドショー的”報道に苦言」Abema Times, 2022年6月8日.

【注9】IMF, International Financial Statistics (IFS) : Consumer Prices, IMF Website, URL:https://data.imf.org/regular.aspx?key=63087884, 2022年6月21日閲覧.

【注10】立川談四楼氏のTwitter, 2022年6月7日 URL:https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1534018729176014848?cxt=HHwWgICp9YL69skqAAAA 毎日新聞は2022年6月8日の記事で、立川氏のツイートを「2400件以上リツイート」されたと紹介している(「#値上げ受け入れてません 黒田東彦日銀総裁へ批判ツイート続々」毎日新聞,2022年,6月8日)。

【注11】「#値上げ受け入れてません 黒田東彦日銀総裁へ批判ツイート続々」毎日新聞,2022年,6月8日.毎日新聞は、「「物価の番人」とも呼ばれる日銀総裁の黒田氏が「スーパーでものを買ったこともあるが、基本的には家内がやっている。物価の動向を直接買うことで感じているほどではない」(3日の参院予算委員会)と答弁したことには<日銀総裁不適格なことは明らか>などと批判が目立つ」と主張している。日銀総裁が物価の動向を直接感じていなければいけないのだとすれば、「戦場での経験が乏しく直接戦闘に参加していない」文官は「防衛大臣不適格なことは明らか」で、防衛大臣は戦前のように現役武官制にすべきだということになりそうだが、それでいいだろうか?

【注12】「「日銀総裁に庶民感覚を求める必要があるのか」「発言の意図を庶民に説明するのがメディアの仕事ではないのか」黒田総裁を批判する“ワイドショー的”報道に苦言」Abema Times, 2022年6月8日.

【注13】政治学者の三浦瑠麗氏は、「黒田総裁は専門家なわけです。専門家がマクロの全体の話を見て言っているのに“私が行った今日のスーパーでは、白菜はこのくらいの値段でしたけど”っていうね、エピソードベースで反論しようというのは一番やってはいけない」とコメントしたそうだが、全く同感である(「三浦瑠麗氏 立憲議員の国会質問にあきれ「日本全体の議論の質を落としている」(スポニチアネックス)Yahoo!ニュース,6月7日)。

【注14】OECD(2022),Agricultural Policy Monitoring and Evaluation 2022: Reforming Agricultural Policies for Climate Change Mitigation, OECD.

プロフィール

柿埜真吾経済学

1987年生まれ。経済学者、思想史家、高崎経済大学非常勤講師。学習院大学文学部哲学科卒業、経済学研究科修士課程修了。立教大学兼任講師等を経て2020より現職。著書に『ミルトン・フリードマンの日本経済論』、『自由と成長の経済学』がある。

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