2013.04.04

クリエイティブ・コモンズとは何か?

水野祐 弁護士

情報 #著作権#Q&A#クリエイティブ・コモンズ

Q1 クリエイティブ・コモンズとはなんでしょうか?

クリエイティブ・コモンズとは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を提供している国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称です。

Q2 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとはなんでしょうか?

CCライセンスはインターネット時代のための新しい著作権ルールの普及を目指し、さまざまな作品の作者が自ら「この条件を守ればわたしの作品を自由に使って良いですよ」という意思表示をするためのツールです。CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどをすることができます。

Q3 クリエイティブ・コモンズ・ジャパンはどのような活動をおこなっているのですか?

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)は、日本でクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの普及を行っています。CCライセンスの日本法とのすり合わせ、CCライセンスを利用したいユーザに対するサポート、各種イベントやプロジェクトの企画運営、取材対応、事務管理等、多様な活動を行っています。

Q4 クリエイティブ・コモンズが解決しようとしているのは、どのような課題なのでしょうか?

既存の著作権制度のなかで作り手の権利が守られながらも、受け手にも作品を自由に扱う領域を確保することを実現しようとしています。この方法により、既存の著作権制度を前提とした「ありかなしか」「1か0か」という極端で硬直した状態を解きほぐしていき、作品の流通や共有をスムーズにしていきたいと考えています。

わたしたちは、作品の創作者や権利者たちが、自分の作品がどのように利用されることを認めているかを示す簡単な方法を提供しようと考えました。そうすれば、簡単に、かつ合法的に、作品を共有したり、その作品に手を加えて新しい作品を作ることができるようになります。逆に、どのような利用は認めていないと明示することもできるのです。これが、わたしたちクリエイティブ・コモンズのもっとも大事な使命です。わたしたちは、著作者が自分の著作権をより簡単に、有効に活用できる方法を提供したいと考えています。

Q5 どんな場合にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが役に立つのですか?

CCライセンスは、あなたの作品をどのように利用してよいかを表示することができます。たとえば、他の人があなたの作品を複製できる、改変できる、二次的著作物を創作できる、または販売できるなどというメッセージを伝えることができます。これらは、著作権法上認められている引用等の利用行為に制限を加えるものではなく、また、そもそも著作権法では保護されない事実やアイデアといったものの利用を制限しようというものでもありません。

CCライセンスは、その作品を見た人に、ライセンスの条件に従った利用の許可を与えるものです。すなわち、もしAさんがCCライセンスの付いているあなたの作品のコピーを所有している場合に、AさんはそのコピーをBさんにあげることができ、Bさんもまたその作品をCCライセンスに則した利用をすることが許可されているということになります。これで、あなたはAさんとBさんに対して、それぞれ利用許諾契約を結んだことになります。

Q6 どんなものにライセンスを付けることができるのですか?

CCライセンスは、すべての著作物を対象としておりますので、インターネット上で発信される著作物にかぎらずCCライセンスを付けることは可能です。

オンラインの作品にCCライセンスを付ける場合とオフラインの作品に付ける場合の唯一の違いは、オフラインの場合はメタデータが含まれないために、結果としてサーチエンジンからの検索ができないということです。

インターネット上以外の作品については、次のいずれかの方法でライセンスを表示してください。

1 例・「本作品はCC-BYライセンスによって許諾されています。ライセンスの内容を知りたい方は http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/ でご確認ください。」といった記載をする。

2 該当するライセンスのバナーやアイコンの画像を掲載し、1と同様の文章を記載する。

なお、プログラムも著作権法で保護されますが、CCライセンスを付けることはお薦めしていません

Q7 クリエイティブ・コモンズがついている作品はどのようにして見分けるのでしょうか?

クリエイティブ・コモンズがついている作品には、その旨の表示や、わかりやすくマークがついています。

また、CCライセンスについているメタデータなどを使って、CCライセンスがついている作品を検索するツールがいくつか提供されています。こちらからご利用ください。 http://search.creativecommons.org

Q8 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにはさまざまなバナーがあるようですが、それぞれどういう意味ですか?

CCライセンスの基本となる「BY(表示)」「NC(非営利)」「ND(改変禁止)」「SA(継承)」の4つの要素は、それぞれの要素は次のような意味を表わしています。

BY(表示) … 作者や作品に関する情報を表記すること。

by_large

NC(非営利) … 非営利目的で利用すること。

nc_large

ND(改変禁止) … 作品を改変しないこと(その作品の全部または一部をそのまま利用すること)。

nd_large

SA(継承) … 作品を改変することは自由ですが、もしも作品を改変して新しい作品を作った場合には、その新しい作品にも元の作品と同じライセンスを付けること。

sa_large

たとえば「BY‐NC(表示−非営利)」というライセンスの表す意味は、「『作者や作品に関する情報を表記すること』と『非営利目的で利用すること』を条件に、作品の利用を許可する」ということです。なお、「BY(表示)」の条件は、6種類あるCCライセンスのすべてに入っています。つまり、CCライセンスの下で公開された作品を利用するときは、必ず作者や作品に関する情報を表記しなければならない、ということになります。

by-nc

 

Q9 ライセンスがついている作品を使用する際に気を付けるべきことはなんでしょうか?

CCライセンスの元で公開されている作品は、利用許諾条件に定められた条件の範囲内で利用することが認められます。したがって、まずは自分が利用しようと思っている方法が認められているものかどうか、利用許諾条件を確認してください。CCライセンスにはいくつかのバージョンがありますので、利用しようとする作品につけられたライセンスのバーションをよく確認し、そのバージョンに関する利用許諾条件を参照することによって、希望する利用方法が認められるかどうかを確認する必要があります。

また、いずれのCCライセンスについても「BY(表示)」条件が課されており、作品を利用する際には、著作権表示等を正しく表示しなければなりません。

Q10 現在、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが活用されている事例をお教えください。

Wikipedia、flickr、YouTube、TED、Sound Cloudなど世界中のさまざまな分野にCCライセンスが活用されていています。最近では、初音ミクの公式キャラクターのイラストがCCライセンスに対応するようになり、話題となりました。

その他の活用事例については、以下のサイトをご参照ください。

http://creativecommons.jp/features/

Q11 自分の作品にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスをつけたいときには、どうすればよいのでしょうか?

インターネット上で公開する作品の場合は、こちらのページから自分の希望に合ったライセンスを選んでCCライセンスを付けます。まず、2つの質問に答えてライセンスを選択したら、表示されるHTMLコードをウェブページのソースに追加します。

このコードによって、自動的にライセンス・ボタンが表示されます。このボタンは、作品を見た人たちに、その作品がCCライセンスのついたものであることを表示する役割を担っています。また、HTMLコードはメタデータも含んでいて検索エンジンでその作品が見つかるようになっています。

Q12 作品にライセンスを付ける際に注意すべきことはありますか?

気をつけなくてはいけないのは、CCライセンスは著作権に関するライセンスであるということです。その作品が商標権や特許権でも保護されているような場合、CCライセンスで商標の使用や特許発明の実施を許諾できるわけではありません。

CCライセンスは次の3段階で提示されます:

  1)コモンズ証(一般的に読解できるもの)

  2)利用許諾書(弁護士などの専門家向け)

  3)メタデータ(コンピュータが読み取るもの)

また、CCライセンスの使用にあたって、とくに署名などは必要ありません。

他に、CCライセンスについて理解しておいていただきたいことは、CCライセンスは、独占的・排他的なものではないということです。つまり、CCライセンスによって、作品を一般の人に対し利用を許諾しながら、それとは別に特定の人と利用許諾契約を結ぶこともできるということです。この場合、その利用許諾契約によって利益を得ることも可能です。

プロフィール

水野祐弁護士

弁護士。クリエイティブ・コモンズの思想、ライセンスに内在する「パンク」精神に衝撃を受けて、現在に至る。 法律というツールを使って、日本のカルチャーの新しいプラットフォームを作り、世界に向けて発信していくこと、社会を編集・デザイン(「リーガル・デザイン」)することに興味がある。

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