2022.08.29

ロシアによるウクライナ侵攻に直面する隣国ポーランド―ドゥダ大統領の歴史認識を基礎とした対露強硬論の形成―

市川顕 EU政治 、グローバル・ガバナンス論、国際関係論

国際 #安全保障をみるプリズム

1:長期化するロシアによるウクライナ侵攻と隣国ポーランド

2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻から6か月が経過しようとしている(注1)。筆者は7月下旬にポーランドを訪問し、政府系および民間シンクタンクとの意見交換を持つ機会を得た。そこでの中心的な話題は、EUおよびEU加盟国による経済制裁を中心とした「脱ロシア化(De-RussianizationもしくはDecoupling Russia)」についてであった。この侵攻開始から、新聞報道や政府要人のスピーチなどを参照してきた身としては、第二次世界大戦でソ連とナチス・ドイツに挟まれ辛酸を舐めたポーランドにおける対露強硬姿勢については十分理解しているはずであった。しかし、面談で出てきた発言は、予想以上に強硬であった。

いくつかの機関での聞き取りの結果を踏まえて、全体的な雰囲気を記すと以下の通りである。まず、ロシアによるウクライナ侵攻については、ロシアとウクライナの間の紛争という理解ではなく、西側民主主義・市場経済体制に対する意図的な挑戦であるという認識が示された(注2)。そして、この侵攻は「4-5年は終わらない」というのが共通認識であった。政治経済における「脱ロシア化」は「苦痛をともなうものだが、必ずや行わなければならない」ものであるとし、遅かれ早かれこのようなロシアによる西側諸国に対する挑戦が行われたという認識の下で、「(この侵攻は)危機ではあるが、(「脱ロシア化」を進めるうえでの)機会でもある」とした。

経済制裁については、西側世界が対露経済制裁を強化しても、中国やインドが協調しなければ十分な効果はみられないとし、これを「アジア・ファクター」と呼んで、懸念が表明された。また、ポーランドは化石燃料輸入においてはロシアに一定の割合で依存しているものの、ポーランドの産業による対露投資はそこまで大きなものではないという見方から、経済の「脱ロシア化」は化石燃料輸入の部分さえ代替できれば、さほど大きな影響をポーランド経済に与えないとの楽観的な見方が大勢を占めた。またポーランドとしては、自国の人口3800万人とウクライナの人口4200万人を合計した8000万人の経済圏ができることのほうに関心が強く、ウクライナ支援を強化するとともに、戦後ウクライナの復興にも携わる強い意志が伝わってきた。

このような議論の中で、特に多くの面談相手が主張したのは、ポーランドの対露認識形成における歴史の役割の大きさである。特に第二次世界大戦におけるソ連による「カチンの森」事件、さらにはポーランド南部の都市クラクフ近郊に建設され多くのユダヤ人が虐殺されたアウシュビッツ強制収容所は、現在でもポーランド人にとって強い心の傷となっている。ところで歴史とは、ある時点の政治的文脈において、語られ紡がれるものである。そこで、本稿ではポーランド大統領アンジェイ・ドゥダ(Andrzej Doda)の演説から紡がれる彼なりの歴史認識を俯瞰していきたい。

なぜ保守系右派ナショナリスト政党である与党「法と正義(PiS)」系の大統領であるドゥダの言説を取り上げるのか。それは、こんにち与党と野党の勢力が拮抗している状況にもかかわらず(注3)、それでもなお、彼が現在最も信頼に値する政治家(注4)とされていることである。ポーランド国民に対して一定程度大きな役割を果たす政治家の言説を通じて、その歴史認識が世論形成に果たし得る役割について考えていきたい。

2:2022年4月10日ドゥダ演説

最初に紹介したいのは、2022年4月10日のドゥダによる「カチンの森」演説である。1940年にソ連が2万人以上のポーランド人将校や聖職者らからなる捕虜をスモレンスク近郊で無慚にも虐殺した「カチンの森」事件について、これをジェノサイドの事例として国際法廷にかけるべきであると主張したドゥダの演説を見ていきたい(注5)。

ロシアによるウクライナ侵攻:「カチンの森」事件と本質は変わらず

この演説は印象深い一文から始まっている。

「80年前もこんにちも、罪のない人々が殺害され、その痕跡が隠蔽されている。彼らは当時も今も嘘をついている。彼らは1インチも変わっていない」。

ドゥダのこの演説は、明らかに「カチンの森」事件とロシアによるウクライナ侵攻を、同じ視角から理解しようと促すものである。つまり、ジェノサイドを実行しうるロシア、そしてそれを他者のせいにした嘘を重ねるロシア、という共通項をもってである。

「1940年、スターリン(Joseph Stalin)の命令で、ポーランド軍の兵士、警察官、国境警備隊、そして多くの民間人、あわせて約2万2000人の同胞が残酷に殺害された。これは、ソ連が完全に無防備な犠牲者に対して行ったジェノサイドであった。そしてそれは決して罰せられなかった。そのかわりに、私たちは「カチンの嘘」に遭遇した。この恐ろしい犯罪の責任はソ連ではなく、ナチス・ドイツであると言いふらされたのである。事実に反して、論理に反して、計画的に。それを数十年続けたのだ」。

ウクライナへの連帯の表明:ポーランド国民への称賛

さらにドゥダは、ロシアによるウクライナ侵攻以降、献身的にウクライナ難民を支えるポーランド国民を称賛し鼓舞する。

「こんにち、私たちはウクライナ戦争による課題に直面して、(ウクライナとの)共同体感覚を必要としている。そして(中略)ウクライナからの何百万人もの難民に援助を提供することで、私たちはこのテストに見事に合格している。私はポーランドを、そしてポーランド人を、非常に誇りに思っている。」

「私たちポーランド人は、ロシアによるウクライナ支配からきっぱりと決別すべく全力を尽くしている。ウクライナをあらゆる方法で支援し、難民を援助し、自国の安全を強化し、国際政治におけるポーランドの重要な役割を果たすことが求められている」。

3:2022年4月13日ドゥダ演説

4月10日演説から3日後、ワルシャワのカチン博物館における「カチンでの虐殺の犠牲者を追悼する日」に臨席したドゥダ大統領は演説を行った。同国のモラヴィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相が「(ロシアの)カチンの罪を忘れてはならない」(注6)と呼びかけると、ドゥダ大統領も10日の演説にも増して、ロシアによるウクライナ侵攻と「カチンの森」事件を重ね合わせて語気を強めた(注7)。

ロシアによるブチャの虐殺:「カチンの森」事件と本質は変わらず

この演説はカチン博物館関係者、ポーランド政府機関関係者、外交団、研究者、そして「カチンの森」事件を伝承するNGOs関係者の前で行われた。ドゥダはブチャでの虐殺とそれを否定するロシアに触れつつ、以下のように述べた。

「中東欧の歴史は、こうして繰り返されることになった。いつものように、他民族を服従させようとする欲望、人間の生命と自由の蔑視、尊厳と真実を踏みにじることによって、ロシアの帝国主義の痕跡が見て取れる。私たちポーランド人、ウクライナ人、そして中東欧地域の国々は、このロシアの精神性、残酷さ、および嘘に完全に精通している。残念ながら、無防備なウクライナ住民に対する攻撃、国際法違反、民間人の殺害、地方エリートの誘拐・拷問、などについて私たちは驚くことはない。このようなことは何世紀も前からわかっていたことである」。

このようにドゥダは一連の「カチンの森」行事での演説で、ポーランド国民にとって対露不信の最大の要因の一つである歴史的事件とロシアによるウクライナ侵攻を重ね合わせることにより、対露強硬に舵を切るポーランド政府の姿勢を正当化していった。

4:2022年4月28日ドゥダ演説

4月28日、ドゥダ大統領はアウシュビッツにいた。当地で行われるホロコースト犠牲者への追悼と記憶の証として行われる「生者の行進(the March of the Living)」に出席するためであった。この行進は、アウシュビッツ第一収容所の有名な「Arbeit Macht Frei」門から3キロ先のアウシュビッツ第二ビルケナウ収容所跡地の間で行われた。アウシュビッツに近いクラクフ出身のドゥダとしては思い入れの深いイベントである。ここでドゥダはナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺とロシアによるウクライナ侵攻を重ね、以下のような論理でロシアを断罪する(注8)。

ロシアによるウクライナ人虐殺:ナチス・ドイツによるホロコーストと本質は変わらず

ドゥダはまず、ナチス・ドイツによる無慚な虐殺によってでも、人々の生存のための意志を打ち砕くことはできないと、次のように述べた。

「「生者の行進」に参加する人々は、ユダヤ人を殺害し、いくつもの国を消滅させようとしたドイツのヒトラーのイデオロギー、ナチズムに象徴される最悪の権威主義でさえ、生きる意志、生き残る意志、粘り強さに打ち勝つことは出来ないことを実証した」。

その上で、現在ウクライナで起こっているロシアによるウクライナ侵攻について、ナチズムに重ね合わせて次のように述べた。

「ウクライナに侵攻しているロシア兵たちと、一般のロシア人が交わす電話の速記録を、私たちは信じられない思いで見聞きしている。そこから発せられるのは憎悪であり、そこではしばしばウクライナ人を全滅させるべきだという発言を耳にする。理解不能であり、信じがたいことである」。

「私たちは、ウクライナの自由を侵害するいかなる企てにも同意しない。ウクライナでこんにち行われているようなロシアによる野蛮な振る舞いが免責されることに同意しないことを明確にするために、ここにいる。私たちは、すべての国家には神聖な生存権があり、伝統を育む神聖な権利があり、発展する神聖な権利があることを示すために、ここにいる」。

そして、過去の、またウクライナにおいて現在進行形で行われている事態に対して次のように主張するのである。

「戦争はもういやだ。ホロコーストはもういやだ。ホロコーストはもうたくさんだ。殺害された人々の記憶が永遠に生き続けるように。憎しみの犠牲となったすべての人々の記憶が、永遠に生き続けるように」。

5:2022年4月29日ドゥダ演説

4月29日、ドゥダは5月3日憲法を引き合いに、ウクライナへの連帯を訴える演説を行った。5月3日憲法は1791年5月3日に成立したポーランド・リトアニア共和国(現在のポーランド、バルト三国、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアにまたがる)の憲法であり、近代的成文国民憲法としては欧州初のものである(注9)。

ロシアによるウクライナ侵攻:絶対主義勢力による5月3日憲法の破壊との対照

この5月3日憲法は、民主的かつ啓蒙主義的なものとして現在では評価されているものの、当時の欧州社会においては危険思想と考えられ、周辺諸国からの侵略を招いた。このことを参照して、ドゥダは以下のように述べた。

「約1年前、5月3日憲法採択から230周年を迎えたとき、ワルシャワにウクライナ、エストニア、ラトビア、リトアニアの大統領が訪問された。隣国としての絆に加え、私たちの国は共通の価値観、文化、歴史、そして現在の課題も共有している。これらの繋がりは、1791年5月3日憲法に象徴されている。しかしこの試みは脆くも砕け散った。ロシア、プロイセン、オーストリアの3つの絶対主義勢力が力を合わせ、他民族・他宗教の共和国という政治的・文明的プロジェクトを破壊してしまったのである。このようにして、こんにちの中・東欧諸国国民の祖先は、皇帝の臣下となった」。

ウクライナとの連帯:旧ポーランド・リトアニア共和国構成国として

このような共通の歴史を背景として、ドゥダは、ロシアによるウクライナ侵攻の悲劇的現実を訴え、バルト三国とポーランドによるウクライナとの連帯を呼びかける。

「2022年2月24日は、世界の歴史における分岐点となる日である。30年前のボスニア・ヘルツェゴヴィナでの悲劇的な紛争の後、ヨーロッパで新たな戦争が勃発したのだ。1945年以来目にしなかった光景が再び起こっている。何千人もの兵士や民間人が殺されている。村や都市は爆撃で破壊され、ロシアの侵略者たちは住民の避難を許さない。彼らの戦術は、恐怖と焦土化である。彼らは、略奪、レイプ、拷問、そして大量虐殺的な処刑を行っている」。

「何よりもまず、犯罪的な侵略から自らを守っているウクライナ人への支援が必要である。ロシアの戦争マシーンを弱体化させるために、軍事装備と揺るぎない経済的圧力が必要なのだ」。

6:2022年5月3日ドゥダ演説

2022年5月3日、ドゥダはワルシャワ城郭広場で開催された5月3日憲法記念日を祝う演説を行った。ここでは4月29日の演説に基づき、ポーランド市民社会への感謝、ロシアへの強い経済制裁の必要性とその犠牲、そして5月3日憲法という共通の歴史的背景に基づくウクライナへの連帯を主張した(注10)。

ウクライナとの連帯:ポーランド市民社会への感謝

この演説でドゥダは、ウクライナ人に対するポーランド市民社会の協力について、以下のように称賛した。

「(ポーランド市民社会は)、ウクライナの隣人たち、とりわけ彼らにとって最も大切な人たち、つまり彼らの子どもたち、妻たち、母親たち、姉妹たち、祖父母たち、戦争からの避難民たち、私たちを信頼してここにやってきた人たちを受け入れるために、住居、家族、心を開放した」。

「政治家からも、聖職者からも、誰からも促されることなく、皆さんはこれを実行した」。

「すべての国民に感謝する。これは、私たちの最近の歴史の中で、おそらく最も素晴らしい時間であり、偉大な共同体としての国家全体が、国民が一緒になって、そして個人として取り組んだ成果である。きわめて多くの人たちが心を開いてくれたのだ」。

ロシアへの経済制裁の必要性:制裁のコスト

そのうえで、ドゥダはロシアへの経済制裁の必要性と、それに起因する困難について国民の理解を求めた。

「困難な時代は、決して終わったわけではない。残念なことに、私たちの前にはまだ多くの苦難が待ち受けており、おそらくは非常に多くの心配事が待ち受けていると私は確信する。ウクライナで今起きていること、それに応じて、わが国だけでなく全世界で追求しなければならない政策、すなわちロシアに侵略を止めさせるための経済制裁を含む政策にはコストがかかるからだ」。

ウクライナとの連帯:旧ポーランド・リトアニア共和国構成国として

そして、旧ポーランド・リトアニア共和国構成国として、また5月3日憲法という共通の歴史を有する国々として、ウクライナとの連帯について以下のように繰り返した。

「昨年の5月3日、5月3日憲法採択から230周年を迎えた日、エストニア、ラトビア、リトアニア、ウクライナ、そしてポーランドの大統領たちは、ワルシャワ城郭広場で共同宣言を採択し、兄弟愛、自由、自決権、国家の存在を訴えた。これは、帝国主義、権利の抑圧、自国と民族の主権問題への干渉、クリミア・ドンバス・ルハンシクのロシア占領に反対したものであった」。

「こんにち、ウクライナは強大なロシアによる侵略に対抗して、その国家を粘り強く守っている。純粋に軍事的な面ではそれほどの強国ではないにしろ、ウクライナは精神的な面では間違いなく大国なのだ。こんにち、私たちは再び一緒になった。(2022年4月13日の)バルト三国、ポーランド、ウクライナの大統領が、ロシアの侵略の最中にキエフで手を合わせた写真は歴史に残るものであり、新しい歴史を築くものになると私は固く信じている」。

「私は、今後数十年、そして神が望まれるならば数世紀にわたって、ウクライナがポーランドと兄弟関係にある国、つまりゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領が予言的に述べたように、彼らと我々との間には国境はなく、この土地で共に暮らし、共通の幸福と力、あらゆる危険に耐えることができ、将来のあらゆる攻撃や脅威を抑止できるものを再建し、回復させることを希望している」。

7:まとめにかえて

ここまで、ポーランド大統領ドゥダによる5つの演説をもとに、いかにしてロシアによるウクライナ侵攻の位置付けが、同国の歴史をもとに紡がれてきたのかを概観してきた。これらを参照すると、以下のようにまとめることができる。

第一に、今回のロシアによるウクライナ侵攻が、「カチンの森」事件や「ナチス・ドイツによるホロコースト」といったポーランド人にとって最も辛い記憶として刻まれてきた歴史的事件になぞらえられたということである。このような解釈により、ポーランド社会のロシアによるウクライナ侵攻に対する知覚は、おおよそ許すことのできない歴史的事案として認識されることになる。

第二に、ポーランド市民社会がウクライナ難民に示した協力に対して、感謝の意を表したことである。ポーランドにおいては近年、与党系保守ナショナリズム政党を支持する人たちは郊外に住む敬虔なカトリック教徒を中心とし、野党系リベラル政党を支持する人たちは都市住民であるという傾きが強かった。今回のウクライナ難民受け入れに際しては、ワルシャワやクラクフといったポーランド大都市における都市住民による貢献が大きく、与党系大統領としてのドゥダの言動が注目されていた。このような状況において、ドゥダは元首としての立場から、しっかりとポーランド都市住民の貢献に対して感謝の意を伝えた。言うなれば、分裂したナショナルなるものの再構築が図られた。

第三に、ポーランドを軸とするバルト三国およびウクライナを繋ぐ地域としての連帯の表明である。ここではとくに5月3日憲法およびポーランド・リトアニア共和国という歴史的事象に基づき、ロシアおよびベラルーシの隣国地域としての協力体制をより強いものとした。

最後に、対露経済制裁の強化とそれに附随する制裁のコストに対して理解を求めている点である。この時期EUでは対露経済制裁に関する議論が高まりをみせていた。ロシア経済との結びつきの強い国やロシアのエネルギーに過度に依存している国を中心として、対露経済制裁に対して躊躇するような動きも見られた。しかし、ポーランド(およびバルト三国)にとってはこの問題は最早、経済の問題ではなく、安全保障の問題であった。「次に攻撃されるのはわが国か」という差し迫った安全保障上の認識の下、強硬な対露経済制裁を主張するに至ったことがわかる。

7月下旬の筆者のワルシャワ訪問中、とある面談者が以下のように述べた。「対露経済制裁は、経済合理性の問題ではない。至極、安全保障の問題なのだ」。ドゥダによる歴史認識が正しいかどうかではなく、ドゥダによってロシアによるウクライナ侵攻が、歴史上の事象とどのように関連づけられて紡がれ語られたのかを明らかにすることが本稿の目的であった。EU加盟国において、対露経済制裁は「経済的合理性(制裁を科した側が経済的に損害を受けることに対する躊躇)」の問題として把握する国もあれば、ポーランドのように「安全保障」の問題として把握する国もある。欧州委員会を中心としたEU機関にとって、この問題に対する今後の舵取りは難しいものになりそうだ。

注1:本稿は2022年8月中旬に執筆された。

注2:彼らはこれを「(この侵攻は)システミック・イシュー」だと表現する。つまり、米欧を中心とした国際秩序に対するロシアの挑戦と捉えている。

注3:5月26日に公表されたSuper Express紙での世論調査では、5つの野党が共闘すれば、49.79%の票を獲得することができ、これは与党系の36.53%を上回る、とされる。The Visegrad Group(2022.5.23), “Polish Minister Says Gas should be Avoided as Transition Fuel”, https://www.visegradgroup.eu/news/polish-minister-says-gas News Archive Section, [2022.5.31]。

注4:世論調査会社CBOSが5月27日に発表した数値によると、ドゥダは回答者の58%から信頼を得て、最も信頼できる政治家であるとされる。The Visegrad Group(2022.5.27c), “Duda Most Trusted Politician in Poland – Poll”, https://www.visegradgroup.eu/news/duda-most-trusted News Archive Section, [2022.5.31]。

注5:本節の括弧内は以下から訳出のうえ引用。The President of the Republic of Poland(2022.4.10), “President: Poland Has Never Come to Terms with the Katyn Massacre and its Aftermath”, https://www.president.pl/news/president-poland-has-never-come-to-terms-with-the-katyn-massacre-and-its-aftermath,52108  [2022.4.11]。

注6:The Visegrad Group(2022.4.13a), “Poland Marks Anniversary of Katyn Massacre”, https://www.visegradgroup.eu/news/poland-marks-anniversary-220413 News Archive Section, [2022.5.22]。

注7:本節の括弧内は以下から訳出のうえ引用。The President of the Republic of Poland(2022.4.13), “The Day of Remembrance for Victims of Katyn Massacre”, https://www.president.pl/news/the-day-of-remembrance-for-victims-of-katyn-massacre,52406 [2022.4.14]。

注8:本節の括弧内は以下から訳出のうえ引用。The President of the Republic of Poland(2022.4.28), “The March of the Living attended by the President”, https://www.president.pl/news/the-march-of-the-living-attended-by-the-president,52936 [2022.5.31]。

注9:本節の括弧内は以下から訳出のうえ引用。The President of the Republic of Poland(2022.4.29), “Andrzej Duda: Solidarity in the Face of Russian Aggression”, https://www.president.pl/news/andrzej-duda-solidarity-in-the-face-of-russian-aggression,53021 [2022.5.31]。

注10:本節の括弧内は以下から訳出のうえ引用。The President of the Republic of Poland(2022.5.3), “President’s Speech Marking the Central Celebrations of the National Day of the Third of May”, https://www.president.pl/news/presidents-speech-marking-the-central-celebrations-of-the-national-day-of-the-third-of-may,53322 [2022.5.31]。

プロフィール

市川顕EU政治 、グローバル・ガバナンス論、国際関係論

東洋大学国際学部教授、博士(政策・メディア)。専門はEU政治 、グローバル・ガバナンス論、国際関係論。慶應義塾大学総合政策学部卒業。東京工業大学産官学連携研究員、関西学院大学産業研究所准教授などを経て2020年4月より現職。著書に『EUの社会経済と産業 』(2015年/関西学院大学産業研究所)、『ASEAN経済共同体の成立』(中央経済社/2017年)、共著に『EUの規範とパワー 』(中央経済社/2021年)、『世界変動と脱EU/超EU』(日本経済評論社/2022年)などがある。

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