病児保育を社会インフラに ―― 認定病児保育スペシャリスト資格

今年1月、(財)日本病児保育協会より、仕事と育児の両立のためには欠かせない病児保育を当たり前の社会インフラとして広めるべく、「認定病児保育スペシャリスト」資格を創設したと発表された(認定病児保育スペシャリスト資格および資格取得web講座の受付開始は2013年3月25日。一般財団法人 日本病児保育協会の公式サイトの専用フォームにて受付)。いま病児保育にはどのような問題があるのか。そして認定病児保育スペシャリスト資格とはなにか。本資格を創設した(財)日本病児保育協会の理事長であり、認定NPO法人フローレンス代表として病児保育に携わっている駒崎弘樹氏にお話をうかがった。(聞き手・構成/金子昂)

 

 

―― 認定病児保育スペシャリスト資格を創設した理由をお聞かせください。

 

保育所で熱をだして体調の悪いお子さんが預かってもらえないケースが多々あります。病気にかかっているお子さんを預かってくれるその他の施設やご親戚がいない場合、仕事を何度も休まざるをえなくなり、仕事と育児の両立を諦めてしまう方も多くいらっしゃいます。

 

働きながら育児をされている親御さんに行われた「仕事と育児の両立で最も悩むことはなにか」という調査によって、7割もの方が「子どもの病気で遅刻や欠席をすることがあり周囲に迷惑をかけてしまう」と悩まれていることがわかりました。

 

病気のお子さんを保育所で預かってもらえない方の代わりに、お子さんを預かってケアすることを「病児保育」といいます。この「病児保育」を行う施設は、全国に845施設ほど、保育所全体のたった約3.6%しかありません。また、病児保育の利用可能者枠は約3400人で、認可保育所の総入所児童数約212万人に対して、わずか0.16%しかないんです。病児保育には非常に高いニーズがあることをうかがえるかと思います。

 

そのニーズに応えるためにも、もっと病児保育の施設やサービスが増えなくてはいけません。そのためには病児保育の担い手を増やす必要があるでしょう。そこで、この認定病児保育スペシャリスト資格を創設しました。

 

病児保育スペシャリスト http://www.sickchild-care.jp/

 

 

―― なぜ「資格」なのでしょうか。

 

じつはこれまで病児保育を担う人たちに求められているノウハウは体系化されてきませんでした。体系化されていないので、ノウハウを学ぶことのできる環境もありません。ノウハウもないのに人のお子さんの命を預かることになったら、非常に心もとないですし危険です。

 

また、先ほどもお話したように、もともと病児保育のサービスは全国的に足りていません。さらに、たとえば東京には、わたしが代表を務める認定NPO法人フローレンスが病児保育を行っていますが、札幌のように病児を預かれるベビーシッターがほとんどいない地域もあるんですね。

 

そこで認定病児保育スペシャリスト資格では、病児保育のノウハウを体系化し、誰もがどこでも学べるようにeラーニングで講義を受講できるようにしました。

 

 

―― eラーニングであれば、全国どこにいても講座を受講できるわけですね。

 

そうです。認定病児保育スペシャリストの資格を創設した(財)日本病児保育協会は、病児保育を当たり前の社会インフラとすることを使命と考えています。

 

東京で座学の研修を開いても、事実上、北海道の方は受講できませんよね。しかしeラーニングを使ったウェブ講座であれば、全国どこでも、いつでも、誰もが自分のペースで学習することができます。加えて、TOEICでも使用されているシステムを活用し、1次試験もウェブで受験できるようにしました。

 

資格を取得するまでの流れですが、まずは、いまお話したウェブ講座を受講いただき1次試験に合格する必要があります。加えて、各地域にあるNPO団体や病児保育団体の施設で24時間ほど病児保育を実践的に学んでいただきます。1次試験に合格し実習を終了すると、2次試験の口頭試問が行われ、無事合格された方が認定病児保育スペシャリストとして登録されるようになっています。

 

 

―― どんな方にこの資格を習得していただきたいですか。

 

ベビーシッターの会社で働いている人や病児保育施設に勤める保育士さん、またあるいは普通の保育所に勤務する保育士さんたちに取得していただきたいですね。

 

この資格を習得していただければベビーシッターが見てあげることもできるようになりますし、資格習得者がいる保育園でお子さんを預かることも可能になるでしょう。病児保育がまったく足りていない現在の状況を改善できると考えています。

 

 

 

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