参議院選、政党選択という視点を超えて

24日第22回参議院選挙が公示され、選挙戦の本番に突入。すでに各党のマニフェストに目を通したという人も多いだろう。今次の参院選マニフェスト(政策集)は、各党とも、これまでのそれに比して具体的で詳細なものになっており、政策を通じた政党選択という方向性がさらに明確化していることを感じさせる。

 

 

なぜマニフェストは似通ってくるのか?

 

その一方で、今次のマニフェストをみて「なぜこんなにも各党のマニフェストが似ているのだ」と感じた人も多いのではないだろうか。筆者も複数のメディア関係者から、「民主党と自民党のマニフェストがどう違うのかわからないのだがどうしたらよいか」と質問された。

 

二大政党システムの下では二党の政策は近接していく。これは経済地理学の古典的な定理であるホテリングモデルから導かれる教訓である。

 

民主党は政策をやや自民党寄りに変更することで、これまで自民党に投票されていた票の一部を奪い取ることができる。このような姿勢変更は、民主党従来の政策方針を強く支持していた層の失望にはつながるであろうが、そのような層が自民党支持にまわることはない。自民党の政策は、政策変更後の民主党のそれよりも、さらに彼らの好みとはかけ離れているであろう。

 

つまりは「自民党と民主党の中間くらい」の政策を望む票を取り込むことで、総得票数を伸ばすことが可能なのである。

 

自民党にとっても事情は同じだ。「自民党と民主党の中間くらい」の票を取り込むために、その政策はさらに民主党に近いものとなる。その結果、両党の政策姿勢は次第に近づいていき、党ごとの差異は最小化される。政党が「より多くの票が欲しい」と考えるかぎり、二大政党制下での政策提言は似通ったものにならざるを得ない。

 

 

最小差別化がもたらす経済政策上のメリット

 

二大政党制下での最小差別化は、選択対象となる政策バラエティーが狭くなるという、デメリットとして語られることが多い。しかし、こと経済政策に関しては、これはデメリットばかりとはいえない。

 

経済政策は他の政策に比べて多分に技術的である。他の事情が一定ならば自分の収入が上がって悲しむ人はいない。他の政策に比べて確度の高い基準をもっていることが、工学的な解決を可能にしてくれる。そのため経済政策には、全員が納得とまではいかなくとも、大多数にとってお得になるような方針というものがあり得るのだ。

 

今次のマニフェストでは、民主党・自民党はともに1%から2%のインフレ率を含む、3~4%の名目成長率を、経済政策の大目標として提示している。数字の大小はあれど、公明党、みんなの党、国民新党も同様の目標を掲げている。さらにその手段としてインフレーションターゲットを明示している党も多い。

 

さらに民主党マニフェストでは、財政再建の方針について超党派での協議を開始することが提言されており、先週の菅総理の、消費税率に関して自民党案をたたき台にして議論を進めたい、との言及もこれにしたがったものといえよう。

 

 

 

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