男女雇用機会均等法では「共働き」を実現できない

改正男女雇用機会均等法の施行

 

先日(2014年7月1日)、男女雇用機会均等法の施行規則が改正された。男女雇用機会均等法は、1986年の施行から、1999年、2007年の比較的大きな改正法施行を経て、ふたたび改正された。大まかな流れは以下のとおりである。

 

 

1986年施行

– 採用、昇進における男女差別の撤廃を努力義務に。

– 教育訓練、福利厚生、定年・解雇における男女差別を禁止。

 

1999年改正法施行

– 採用、昇進における男女差別の撤廃を努力義務から禁止に。

 

2007年改正法施行

– 間接差別の禁止。これにより「合理的な理由なく総合職の募集において転勤を要件とすること、転勤経験を昇進の要件とすること」が禁止された。

 

2014年改正法施行

– 間接差別の禁止の範囲拡大。「すべての労働者の採用、昇進、配転などにおいて合理的な理由なく転勤を要件とすること」が禁止された。

 

 

男女の機会均等について識者の間でもしばしば注目されているのは「間接差別」の取り扱いである。間接差別とは、たとえば採用に際して「男性のみ」とするような直接差別ではなくても、実質的に女性が不利になるような要件を採用・昇進の条件とするような措置のことをいう。しばしば念頭に置かれているのは転勤である。つまり「合理的な理由なく転勤の可能性の承諾を総合職採用の条件とするな」ということである。

 

識者の間でたびたび問題とされてきたのは、転勤要件における「合理的理由」である。合理的な理由があれば、転勤を採用の条件とできるのだが、合理的ではないケースとは、具体的には以下のようなものだ。すなわち、「広域にわたり展開する支店、支社等がなく、かつ、支店、支社等を広域にわたり展開する計画等もない場合」ならびに「広域にわたり展開する支店、支社等はあるが、長期間にわたり、家庭の事情その他の特別な事情により本人が転勤を希望した場合を除き、転居を伴う転勤の実態がほとんどない場合」(厚生労働省告示)である。

 

つまりは、転勤の実態があれば転勤を採用の要件としてよい(それを拒む者を不採用にしてよい)、となる。日本の大手企業の多くは全国(海外)展開しており、また転勤の実績もあるだろう。実質的に多くの女性を総合職から排除してきたコース別採用制度がこれまで「間接差別」とされずに残ってきたのは、こういった中途半端な適用があったからだ。

 

厚生労働省の調査(「コース別雇用管理制度の実施・指導状況」)によれば、調査対象企業の2011年度における総合職採用者に占める女性の割合は11.6%であった。同年採用の応募者に対する内定者の男女別割合では、男性が5.8%であるのにたいして、女性は1.6%であった。さらに2000年に総合職女性を採用した企業の約半数において、10年後の2010年には、その時採用した総合職女性がすでにゼロになっていたのである。

 

2014年の改正法施行は、間接差別の適用範囲を広げるということがポイントであり、コース別雇用管理制度や総合職採用における転勤要件について、抜本的に改めるような内容にはなっていない。

 

 

「男女均等の先にあるのは性別分業」というパラドックス

 

以上のような惨憺たる有り様をみるにつけ、間接差別の禁止という男女雇用機会均等法がいまだに有効性を持ちえていないことが分かる。「ザル法」といわれるゆえんである。

 

では、間接差別を本格的に禁止し、罰則を強化すれば「女性の社会進出」は進むのだろうか?【次ページにつづく】

 

 

 

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