車椅子から見える世界――私はこんな、困ってるズ!

「見えない障がい」をテーマにした情報共有メールマガジン「困ってるズ!」。様々な障がい当事者が、「どういう障がいなのか」「何に困っているか」をテーマにコラムを執筆。メルマガというかたちで、「伝えたい人」と「知りたい人」とをつなぎます。今回は、2月20日に配信された『困ってるズ!』vol.52から、小杉あやさんの「困ってること」をお届けします。

 

 

プロフィール

 

40代の元自営業者。今は主に介護をして暮らしています。2013年5月に当時55歳の夫が右側・脳出血で倒れました。規定ぎりぎりの7ヶ月のリハビリ入院を経て2013年12月から在宅介護生活に突入。

 

夫の両親はすでに他界し、ほか親類も一切おらず、妻である私に生活のすべてが覆いかぶさりました。現在左半身の麻痺で手足がほとんど動かず、半側空間無視という視野が極端に狭くなる注意障害があり車椅子利用をしています。

 

要介護4級・身体障害2級。週に数日介護保険利用のデイサービスやリハビリを利用し、少しでも身体が自由に動くよう、日々精進している夫を「えらいなあ」と思いながら見守っています。

 

 

私はこんな、困ってるズ!です

 

夫は車椅子を利用しているため、目に見える障害者といえます。車椅子を押していると大抵のかたが親切で道を譲ってくださったり、声をかけてくださったりします。あたたかい人のつながりがありながら「それでも当事者にしか見えていない」ことをいくつかあげてみます。

 

 

■車椅子って

 

自ら押して歩くようになるまで車椅子は移動できる椅子という認識でした。座って移動できるんだから楽チンねー!なんて思っていたくらい。確かに低反発の座布団など優れものアイテムも多くありますがよく考えれば健常者でも座りっぱなしはきついのです。

 

特に半身麻痺の人間は気軽に座り直しができません。我が家のように多少4点杖などで動くことができるとしても決まったところがあたって床ずれのようになったり。麻痺の箇所が床づれになると気がつきも遅く血行も悪い場合が多く、完治までに時間がかかることが少なくありません。

 

また移動手段に優れた椅子なので、乗り物などの乗り込むときはそのままだととても不安定です。具体的には車輪がついた事務椅子などを想像していただけるとよいかと思います。バスなどに乗り込んで運転手の方に「ブレーキをかければ動きませんよね?」と聞かれることもありますが車椅子のブレーキはごく簡単に解除できるようになっていて(事務椅子のストッパーより簡単に解除されてしまいます。)大変不安定です。

 

たいていの場合は車椅子と身体を結ぶベルトはしません。揺れるバスで座席よりも車輪つき事務椅子に座りたい人はあまりいないと思います。混雑バスで、電車で、車椅子の人間は座っていてイイナーと思われそうですが、乗り物の上でさらに車輪に揺られ、乗り物酔いをすることも多いです。

 

電車の乗車時にはホームと電車の高低差はスロープがないとかなり危ないです。そのため乗り駅とおり駅で連携がとられ、車両内は自由に位置が動けないことが多いです。もっとも、最近はホームドアがあり、電車とホームがフラットな電車も増えました。今後ほかの乗客の方にお待たせせず多くの駅員さんからの手助けなく乗車ができるようになればすばらしいと思います。【次ページにつづく】

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.2019.4.15 

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