私たちはここにいる!

4月28日(日)、LGBTをはじめとするセクシュアルマイノリティを讃えるパレード「東京レインボープライド2013」が開催される。さらに今年は、「Tokyo Rainbow Week 2013」も同時開催され、ゴールデンウィークの10日間が虹色に彩られることになりそうだ。今回はパレードを主催する東京レインボープライド代表の山縣真矢さんと、広報担当で共同運営委員長の乾宏輝さんにお話を伺った。(聞き手・構成/山本菜々子)

 

 

―― 東京レインボープライドも今年で2回目を迎えますね。

 

山縣 今年はパレードだけではなく、東京を中心に活動する他の団体と協力してゴールデンウィーク中に様ざまなイベントを行います。「Tokyo Rainbow Week 2013」と銘打ち、7団体がそれぞれパーティーや講演会、ピクニック、映画上映など、さまざまな催しが開催されることになりました。パレードもその一環です。

 

そのきっかけは、グッド・エージング・エールズ代表の松中権さんとの会話からでした。パレードの協力をお願いする打ち合わせの席で、松中さんの方から、東京にある他の団体にも声をかけて「ゴールデンウィークをレインボーウィークにしよう」というアイディアが出ました。

 

パレードは警察への届け出的には「デモ行進」ということになるので、色々と制限もある。しかも、集まる人数にも限界があります。去年の実績では、沿道の人もふくめて5000人程でした。

 

でも、1週間を「レインボーウィーク」に設定し、さまざまなイベントをやると、パレードトータルの人数よりも多くの動員が見込めます。1万人や2万人動員できれば、数としての威力も発揮できます。動員人数が多ければ多いほど、経済も動くし、LGBTコミュニティだけじゃない人たちも動いていく。そうなると社会への影響力も大きくなります。パレード単体でやるよりも発展性があるのではと感じていますね。来年以降もウィークをやっていくなら、テニス大会やバレーボール大会などもやってみたい。そして、将来的にはゲイゲームズを誘致できるまでになったら素晴らしいですね。

 

ゲイゲームズというのはセクシュアルマイノリティが集まるオリンピックのことです。とても大きな規模で開催されています。アジアではまだやられてないので、最初に日本に誘致できたらいいですね。

 

また、今後、パレードを継続して開催していくという観点から見ても、他の団体と協力してやっていくことが不可欠なのではとおもいました。たとえば、アジア最大のパレードをおこなっている台北では、いくつかの団体が協力して運営しています。

 

パレードの運営は、基本的にはボランティアベースでやっていますので、それぞれ本業がある中で、毎年開催をしていくのはとても大変なことです。ぼくは東京のパレードに10年ほど関わっていますが、とくに東京は色んな団体があったり参加する人が多かったりと、その分エネルギーが必要なんです。東京では90年から、どういうわけか3年つづくと立ち切れてしまうというジンクスがあって……。

 

まだ、4年以上東京でつづいたことがないので、少なくとも4年間はつづけたいですね。今回レインボーウィークもあって、他の団体とも連携できたので、その可能性も広がったのではとおもっています。

 

 

写真左から山縣氏、乾氏

写真左から山縣氏、乾氏

 

 

私たちはここにいる

 

山縣 日本では、ある意味、セクシュアルマイノリティは存在しないことにされてきました。たとえば、テレビでは「オネエ系」と呼ばれる人たちがもてはやされていますが、あれはメディア用にかなり誇張されている部分があります。ほとんどの当事者は普通に働き、普通に生きています。

 

日本企業ではとくに可視化されていませんね。日本の企業の中にもダイバーシティをうたい、その中に「性的少数者」という項目をあげている企業もありますが、なかなか認知されているとは言い難い。

 

日本企業に協賛をお願いしにいっても、「我が社では、とくに声があがっていないので……」という答えが返ってくるんです。セクシュアルマイノリティの数は約5%と言われていますから、どの会社にも必ずいるはずなのに、みんな周りにいないと思いこんでいる。実際は声が上げられないだけで、いないわけではないんです。みんなが異性愛者だとおもって接している人も、会社以外のところでは楽しくゲイライフを送っているのかもしれません。

 

欧米、とくにアメリカとかだと、ゲイに対するヘイトクライムがまだまだ多いんです。ゲイであることで殺されたりしかねない。でも、それは、ある意味ゲイの存在が可視化されているということでもあります。

 

日本では殺されてしまうほどのヘイトクライムは今のところほとんどありません。しかし、それは身近にそもそも存在しないことにされてしまっている部分も大きいとおもうんです。たとえば、進歩的な考え方をもっていると自認している人は「同性でも愛があれば一緒」というようなことをよく言います。でも、実際に身内にゲイがいたら、受容できなかったりする。なんとなく、みんな理解しているようなふりはしても、実際にはそんなこともないんです。

 

乾 ヘイトクライムがあまりないというのはもちろん良いことなのですが、一方でセクシュアルマイノリティが見えなくなっている部分もあります。その分、当事者が抱える問題も可視化されにくいです。

 

以前、シノドスさんでも報道(「セクシュアルマイノリティと自殺リスク」日高庸晴×荻上チキ https://synodos.jp/society/2252)していただきましたが、たとえば自殺念慮率が6倍高いとか、セクシュアルマイノリティとメンタルヘルスはとても大きなイシューです。また、制度としても、さまざまな恩恵や福利厚生を受けられません。たとえばパートナーがいたとしても、会社の中で転勤に一緒にいけなかったり、病院の付き添いができなかったり。法律上の“家族”ではないとできないことが色々あります。改善の余地がものすごく多い。

 

山縣 だからこそ、「私たちはここにいるんだよ」ということをわかってほしい。異性愛社会に対してアピールする部分もあるし、自分のセクシュアリティに悩んでいる人にも「仲間がいる」ということを知って欲しいんです。私たちは存在していると、みんなで声を上げる。別に恥じることもなく、こうやってみんな生きていて、こうやってパレードしているんだよと。パレードにはそういった意義もあるとおもっています。

 

 

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