「ホームレス」は減少しているのか――岐路に立たされるホームレス支援の今後

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国の定義の「ホームレス」は「ホームレス状態」の一部にすぎない

 

さて、「ホームレス」が減少しているのかどうか考えるにあたって、まずこの「ホームレス概数調査」がどういったものかを説明しよう。

 

「ホームレス概数調査」は、2002年に成立した「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(以下「ホームレス自立支援法」)」に基づいておこなわれている。

 

この「ホームレス自立支援法」によれば、

 

 

「ホームレス」とは、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場とし、日常生活を営んでいる者(法第2条)

 

 

と定義されている。

 

この法律が成立した2002年は、まだ「ネットカフェ難民」や「派遣切り」(製造業派遣の解禁は2004年)などの言葉は存在しておらず、24時間営業のファストフード店等もまだまだ少なかった時代である。

 

当時の「ホームレス」と言えば、駅構内に段ボールを敷いて寝泊まりしていたり、河川敷にブルーシートやテントをはって生活している人を想定している。

 

しかし、現在では、ネットカフェやサウナなどに寝泊まりしている人や、友人宅を転々としている人、そういった一時的な寝場所と路上を行き来している、多様な「ホームレス状態」の人たちの存在が認識されており、「国の定義のホームレス」は「ホームレス状態」の一部でしかない。

 

 

調査方法は昼間に目視

 

また、この「ホームレス概数調査」の調査方法は、基本的に昼間に目視でおこなっている。つまり、例えば、テントをはっていたり、小屋を建てていたりしている「定住しているホームレス」の人でないと捕捉されない。

 

目視であるがゆえに、2014年の調査でも、例えば「防寒具を着込んだ状態等により性別が確認できない者」が313人もいる。それこそ、服装や身だしなみによって「ホームレス」と誤解されたり、逆に「ホームレス」ではないとカウントされたりと、誤差がある程度発生していることが想定される。

 

このように、繰り返しになるが、この「概数調査」は、ホームレス状態の人の実態をひも解くには必ずしも十分なものではない。

 

 

多様な拡がりを見せる「ホームレス状態」

 

下記の表は筆者が住まいの状況に応じて(住居の不安定具合に応じて)生活困窮層を区分けしたものだが、国の定義の「ホームレス」は、A群のみがそれに相当する。B~Dに関しては、実態は「ホームレス状態」であっても、統計的にはなかなか捕捉されていない。

 

 

graph1

 

 

また、A群やB群は、「見えるホームレス(貧困)」、C群~F群は「見えづらいホームレス(貧困)」と言えるだろう。

 

A群の人は支援者が会いに行くことができるし、B群の人も夜回りや炊き出しなどのアウトリーチの活動で支援につながれるかもしれない。しかし、C群~F群の人は、なかなかその人が「ホームレス状態」にあるかどうか傍目には分からない。もしかしたら、自分自身でもそう思っていない場合があるかもしれない。

 

「ホームレス」は「状態」であり、可変的なものである。今日A群の人が明日には自分の住居を得る可能性もある。A~Fの区分けは便宜的におこなっただけで、それぞれの区分けはグラデーションであり、そして多くの人がそれぞれを行き来している。

 

「ホームレス状態」と言っても、一人ひとりの状況は違うし、多様で、一概に定義できるものではない。ただ、明らかに言えることは、国の定義の「ホームレス」が約7000人で、その人たちが「ホームレス状態」の一部であるということは、少なくとも広義の意味での「ホームレス状態」にある人が、全国で数万人以上はいて、しかもその数字を誰も正確に把握できていない、ということである。

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

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