環境倫理学のフロンティア

若手研究者との学際的対話 ――環境倫理学は1990年代に日本に導入され、今では複数の大学にその名を冠した授業が存在します。環境倫理学の特徴は、「学際的」な研究にならざるをえないところにあります。自然環境を問題にする場合には保全生態学の動向を無視することはできませんし、公害や原発を問題にする場合には政治学、法学、社会学、経済学、科学論と無縁ではいられません。実際、環境倫理学者のほとんどは、他分野との交流を行っています。他方で、環境倫理学に本来近いはずの分野との分断や没交渉が目に付くようになりました。このシリーズでは、環境倫理学の隣接分野である環境美学や動物倫理学との対話を行い、従来見過ごされてきた部分に切り込むことで、環境と人間をめぐる倫理学をより豊かなものにしていくことを試みます。

吉永明弘(法政大学人間環境学部)