報告3 地殻変動する東アジアと日本の役割

2030年の東アジア:4つのシナリオ

 

それでは2030年の東アジアはどのように変わっていくのか。下記のような表を作ってみました。

 

 

新潟シンポ

 

 

縦軸が強い日本と弱い日本、横軸がアメリカと中国の相対的な力関係を示しています。東アジアの秩序については、日本の影響力が強い場合と弱い場合、米国と中国との相対的な地位によって4つのシナリオが描けます。

 

第1に、日本の影響力が弱く中国が強くなれば、中国中心の地域秩序が生まれます。そこでは中国を中心とした階層型の勢力圏が広がり、閉ざされた東アジア統合が進むことになります。

 

第2に、日本が弱いが米国の影響力が強い場合、不安定な現状維持が続き、米国を中心とした同盟関係を主軸とするが不安定な東アジアとなるでしょう。

 

第3に、日本の影響力が強まるが同時に中国も強まる場合、中国が日米同盟と対峙する勢力均衡秩序が生まれ、米国の関与が後退する形で新しい冷戦型の枠組みが生まれることになるでしょう。

 

第4に、日米両国が強い場合、中国が柔軟化と民主化を進展させ、東アジア共同体のような開かれた地域統合が進む多国主義的地域秩序が生まれると考えられます。

 

ここで最も重要な変数は、中国とアメリカです。中国がどのような国になっているかでシナリオが大きく変わります。経済がハードランディングする可能性もありますし、民主化が進む可能性もある。強権的な体制が強いまま続くことも考えられます。また、アメリカの国民が東アジアに対するコミットメントによっても変わります。アメリカがコミットを維持する可能性も、より内向きになる可能性もあります。

 

日本としてすべきことはまず自国の国力を高め、この図で上半分に向かうようにする。そして日本が応分の負担をすることによって、東アジアに対するアメリカのコミットメントを維持するようにし、図の中の右上にある多元的な国際秩序の形成に努めることが必要でしょう。

 

この他、さらに提言もしているのですが、詳しくは2月に行われる日本アカデメイアの発表をご注目ください。(「地殻変動する東アジアと日本の役割/新潟県立大学大学院開設記念シンポジウム」より)

 

⇒「報告4 北朝鮮の「並進路線」と新たな経済政策/三村光弘」へ

 

 

 

 

 

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シノドス国際社会動向研究所

vol.277 

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