「新しいリベラル」を構想するために
価値の多元性を肯定するリベラリズムは現在、大きな困難に直面しています。それは、異なった価値観をもつ人たち、あるいは集団が、その多様性を保ったまま、いかに共生しうるのか、という問いです。調停不能な対立や分断に貫かれることなく、また同一の価値観を強制するような共同性に染め上げられることもない社会、そして人びとが自由にその多様な可能性を開花させていくことのできる社会はいかにして可能になるのでしょうか。このコーナーでは、こうした問いを思考するための知や教養をお届けします。
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哲学・倫理学は環境問題にどのように応答できるのか――シュレーダー=フレチェット『環境正義 平等とデモクラシーの倫理学』(勁草書房)
吉永明弘(監訳者)
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多文化社会を「きちんと」論じるために——『アメリカ多文化社会論[新版] 「多からなる一」の系譜と現在』(法律文化社)
南川文里
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歴史修正主義とウクライナ戦争――『歴史修正主義 ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで』(中公新書)
武井彩佳(著者)
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自律を超える善き生(ウェルビイング)の理想を探る――橋本努『自由原理――来るべき福祉国家の理念』をめぐる対談
橋本努×若森みどり
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思想家がみた時代と思想家からみた時代──『ジョン・ロールズ 社会正義の探究者』(中公新書)
田中将人(著者)
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経済成長と自由を選ぶのか、脱成長と全体主義社会を選ぶのか――『自由と成長の経済学 「人新世」と「脱成長コミュニズム」の罠 』(PHP新書)
柿埜真吾(著者)
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結論が凡庸になっても論理的な哲学的思考を手放さない――『21世紀の道徳 学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える』(晶文社)
ベンジャミン・クリッツァー(著者)
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人新世と気候工学――経済思想と環境倫理学の対話
桑田学×吉永明弘
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踏みにじられたい人はいますか?――『「オピニオン」の政治思想史 国家を問い直す』(岩波新書)
堤林剣+堤林恵
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シングルマザーの貧困を労働から考える
中囿桐代
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ジョブ型は成果主義にあらず――『ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機』(岩波新書)
濱口桂一郎(著者)
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「連帯」という視点から人間の存在構造を辿る——『連帯論 分かち合いの論理と倫理』(筑摩選書)
馬渕浩二(著者)