「新しいリベラル」を構想するために
価値の多元性を肯定するリベラリズムは現在、大きな困難に直面しています。それは、異なった価値観をもつ人たち、あるいは集団が、その多様性を保ったまま、いかに共生しうるのか、という問いです。調停不能な対立や分断に貫かれることなく、また同一の価値観を強制するような共同性に染め上げられることもない社会、そして人びとが自由にその多様な可能性を開花させていくことのできる社会はいかにして可能になるのでしょうか。このコーナーでは、こうした問いを思考するための知や教養をお届けします。
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動物を殺す社会と殺さない社会、あなたはどちらがいいですか?――『ベジタリアン哲学者の動物倫理入門』(ナカニシヤ出版)
浅野幸治
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多様性と統一性のあいだ――『チャールズ・テイラーの思想』ルース・アビィ(名古屋大学出版会)
梅川佳子(翻訳)
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新自由主義の磁力を断ち切る新たな福祉政治へ――『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(朝日選書)
宮本太郎(著者)
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まだ論じられたことのない、自由の三つの新しい始原――『自由原理 来るべき福祉国家の理念』(岩波書店)
橋本努(著者)
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「家族」を擁護する――『事実婚と夫婦別姓の社会学』(白澤社)
阪井裕一郎(著者)
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「リベラルな国際秩序」を超えて――アメリカに生まれる新しい国際協調主義
三牧聖子
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社会問題の構築主義2.0へ――『社会問題とは何か なぜ、どのように生じ、なくなるのか?』(筑摩書房)
赤川学(訳者)
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動物のもつ倫理的な重み――動物倫理と環境倫理の対話
久保田さゆり×吉永明弘
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国連におけるジェンダー主流化ーー”all men”から”all human beings”へ
小林綾子
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カナダの移民政策とスイスの国民投票――社会はどのように移民を受け入れるのか?
穂鷹知美
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「リベラル」なリベラリズムの再生に向けて――『リベラリズム 失われた歴史と現在』ヘレナ・ローゼンブラット(青土社)
三牧聖子(訳者)
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日本国憲法は同性婚を認めるのか?――『同性婚論争 「家族」をめぐるアメリカの文化戦争』(慶應義塾大学出版会)
小泉明子(著者)