大人には話しにくい――LGBTの子どもの学校生活といじめ

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「同年代のごく親しい友人」がキーパーソン

 

(2)カミングアウトの相手は大半が同級生で、教員や親などの大人を選ぶ割合は低い。

 

 

前述したように、大半のLGBTの子どもたちにとって「自分のこと」を周囲に話すのは、とても大変なことです。それでも「周囲のだれかに話した」という人たちは、どんな相手を選んでいるのでしょうか。調べたところ、下記のグラフのようになりました。

 

 

打ち明けた相手

 

 

「周囲のだれかに話した」子どもたちは約6~7割が同級生を選び、また同級生でなくとも部活や同じ学校の友人など、同世代の友人を選んでいました。学校の教師や両親など、いわゆる「大人」を選ぶ割合は2割程度。性別違和がある子どもの場合、服装や立ち振る舞い、性同一性障害の専門病院(いわゆるジェンダークリニック)を受診する際に親から保険証を借りる必要があることなどの側面から、比較的「大人」に話す率が上昇しますが、全体的に「大人」は選ばれにくいようです。

 

 

いじめ被害と「ホモネタ」という踏み絵

 

(3) 全体の7割がいじめを経験し、その影響によって3割が自殺を考えた。またLGBTをネタとした冗談やからかいを84%が見聞きした。

 

 

今回の調査では、LGBTの子どもがいじめ被害に頻繁に会っており、その被害内容も深刻であることが示唆されました。特に性別違和のある男子では、いじめが長期化しやすい上に、身体的な暴力(48%)、性的な暴力(服を脱がされる・恥ずかしいことを強制される)(23%)など、深刻な被害実態があることがわかりました。

 

 

graph

 

 

また、学校の友人や同級生がLGBTについての不快な冗談を言ったり、からかったりしたことがあったかどうか尋ねたところ、回答者全体の84%は何らかの形でこれらを見聞きした経験があったと回答しました。いわゆる「ホモネタ」は蔓延していることがわかります。このような場面でどのように対応したかを尋ねたところ、「やめてほしい」と言えたのはごく一部にすぎず、「何もしなかった」が7割強。「自分がいじめられないように一緒になって笑った」も、ゲイ・バイセクシュアル男子では約4割にのぼりました。これは、自分がLGBTでないことを証明するための「踏み絵」に近く、かなりキツい体験なのではないかと思われます。

 

 

おわりに

 

ここ数年、日本国内でLGBTに関する理解は少しずつ浸透してきたように思います。性同一性障害に関する文部科学省の取り組みも(本来であれば、もっともっと前から取り組んでいるべきだったとはいえ)今後につながる大きな一歩だと思われます。しかし、子どもたちの世界は思いのほか狭いもの。「自分の学校と家だけが世界だ」という子どもも少なくないのです。日本全国どこに住んでいても、安心して子ども時代を過ごせるような社会のためにできることはなんなのか、あなたも、ぜひ一緒に考えてみてください。

 

大人の世界にも「ホモネタ」やいじめはあります。あなたの周りにも、無理して笑っている顔がひとつやふたつ、あるかもしれませんよ。

 

●調査の報告書全文はこちら!

http://endomameta.com/schoolreport.pdf

 

 

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